「COMPUTEX TAIPEI 2009」の2日目となる3日、米AMD社は記者説明会を開催して、サーバー向けマルチコアCPUからGPUまで、同社のプロセッサー製品の最新事情について講演した。ここでは講演の中でも注目のトピックを抜粋してお届けしよう。
実物披露はないが期待の高まる
DirectX 11対応GPU
講演最初のトピックは、現在開発中のDirectX 11対応新GPUである。DirectX 11はWindows 7に合わせて登場する新しいマルチメディアアプリケーション用API(Vistaも対応予定)。DirectX 10.1をサポートするGPU「Radeon HD 4000」シリーズを出荷しているAMDだけに、次のDirectXへの対応もいち早く表明したというところだろう。
ただし、残念ながら新GPU自体の名称や詳しい仕様については発表されず、実物の披露もなかった。製造プロセスのみは公表され、現行のRadeon HD 4770と同じ40nmプロセスで製造されるという。GPUの製造を委託している台湾TSMC社から、この新GPUの半導体ウェハーがAMD上級副社長のリック・バーグマン氏に手渡されるというセレモニーが披露されるなど、GPUの製造自体は始まっているようだ。
新GPUの特徴として強くアピールされたのが、DirectX 11でサポートされる「テセレーション」の機能だ。テセレーションとは、少ないポリゴンで形作られたオブジェクトのポリゴンを細かく分割して、より複雑な形状を作り出す技術である。デモでは、新GPUでDirectX 11のテセレーション機能を使って人物を表示してみせたり、山脈を表示するといった様子が披露された。
DirectX Cumpute対応で、AMD GPUでのGPGPUも身近に
GPUで汎用並列演算を処理する「GPGPU技術」への対応もアピールされた。NVIDIA GPUの「CUDA」に対して、AMD GPUでは「Stream」と呼ぶ技術でGPGPUを実現している。
Windows 7で搭載される「DirectX Compute」にAMD GPUが対応することで、DirectX ComputeのAPIを使うプログラムから、Streamの機能を使えるようになるという。ソフトウェア開発者はGPUの種類を気にせずに、標準的な手段でGPGPUを利用するソフトを開発できる。
Windows 7でGPGPU機能を使い、動画をトランスコードするデモも披露された。GPUで処理した場合は26秒程度で終わるが、CPUのみの処理では、ほぼ倍の48秒近くかかっている。NVIDIAも同様のデモを披露しているが、Windows 7ではGPGPUを使ったアプリケーションも一般的になり、HD動画の編集やトランスコードといったヘビーな処理も快適になりそうだ。
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