米AMD社は13日、45nmプロセスで製造される新しいサーバー向けCPU「クアッドコアAMD Opteronプロセッサ」を発表した。コード名「Shanghai」で知られていたCPUで、既存のOpteronとの高い互換性と、消費電力あたり性能の高さを特徴としている。搭載製品は年内に出荷の予定。
発表された製品ラインアップは、2プロセッサーシステム向けのクアッドコアOpteron 23xxシリーズ 5製品と、4プロセッサー以上のシステム向けのクアッドコアOpteron 83xxシリーズ 4製品。いずれも通常電力版で、最高動作周波数は2.7GHz。今回発表のラインアップには含まれていないが、シングルプロセッサーシステム向けの製品や、低消費電力版の投入も予定されている。
クアッドコアOpteron 23xxシリーズ | ||||||
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クロック周波数 | 2次キャッシュ | 3次キャッシュ | TDP | 価格(ドル、円) | ||
Opteron 2384 | 2.7GHz | 2MB (512KB×4) | 6MB | 75W | 989ドル(約9万6922円) | |
Opteron 2382 | 2.6GHz | 873ドル(約8万5554円) | ||||
Opteron 2380 | 2.5GHz | 698ドル(約6万8404円) | ||||
Opteron 2378 | 2.4GHz | 523ドル(約5万1254円) | ||||
Opteron 2376 | 2.3GHz | 377ドル(約3万6946円) | ||||
クアッドコアOpteron 83xxシリーズ | ||||||
Opteron 8384 | 2.7GHz | 2MB (512KB×4) | 6MB | 75W | 2149ドル(約21万602円) | |
Opteron 8382 | 2.6GHz | 1865ドル(約18万2770円) | ||||
Opteron 8380 | 2.5GHz | 1514ドル(約14万8372円) | ||||
Opteron 8378 | 2.4GHz | 1165ドル(約11万4170円) |
対応CPUソケットは、既存のOpteronと同じSocket F(1207ピン)で、メモリーはDDR2-800に対応する。CPUコア数は4個で、各コアごとに64+64KBの1次キャッシュと512KBの2次キャッシュを備える。さらに共有3次キャッシュを6MB内蔵する。チップ間インターコネクトバスにはHyperTransport 3.0を使用する。
今までのAMD CPUはいずれも、65nm SOI製造プロセスで製造されている。製造プロセスだけが消費電力当たり性能やコストパフォーマンスを決定するわけではないが、競合のインテルが1年ほど前から45nmプロセス製品を投入しているのに比べると、遅れを取っている点は否めなかった。今回の新クアッドコアOpteronは、より微細な半導体製造のキーになる「液浸露光技術」を用いて製造されるという。インテルは32nmプロセス世代のCPUから液浸露光技術を用いると発表しており、それを先取りする形となる。
新クアッドコアOpteronのアーキテクチャー自体は、65nmプロセス世代のOpteron/Phenomと変わらない。CPUパッケージやソケット形状も同等で、消費電力は下がっているため、既存Opteron向けのプラットフォームでも、BIOS変更などで対応可能な互換性を有する。
特に消費電力の改善は顕著で、既存の通常電力版Opteronが2.6GHzでTDP 95Wなのに対して、新クアッドコアOpteronは75Wとなっている。さらに、「AMD Super Fetch」と呼ぶ技術により、動作中の消費電力はさらに低減しているという。
ハードウェア仮想化技術に関する強化も、新クアッドコアOpteronの特徴とされている。同社の仮想化技術「AMD-V」に改良を加え、仮想メモリー管理の高速化を達成。そのほかに、Opteronシリーズ搭載サーバー間で仮想マシンを稼働させたままでの移行を実現する「Extended Migration」など、エンタープライズサーバー向けの機能を強化している。
自作派ユーザーに気になるのは、デスクトップパソコン向けの45nmプロセス世代CPU「Deneb」だが、こちらは2009年第1四半期への投入を予定されている。ブランド名は「Phenom II」になるとのこと。期待して待ちたい。