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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第72回

ケータイ専用放送局は動画配信のスタイルを確立できるか?

2009年05月12日 12時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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ケータイのパーソナル性を
どう映像配信サービスに反映するか

BeeTVのコンテンツ例

BeeTVに登場するのは一般の視聴者になじみがあるテレビタレントだが、通常のテレビ番組とは明らかに作り方が違うこともすぐにわかる

 ちょっと話がそれたので、BeeTVの話題に戻る。ケータイらしい視聴の方法、ケータイらしい映像作りで個性を見せるBeeTVだが、登場するタレントは強力なキャスティングでいきたいと意欲を見せる。

 和田アキ子、さまぁ~ずなど、テレビを連日賑わしているタレントが登場するケータイ向けの番組は、テレビ番組をわざわざ録画する必要なく、出先でいつでも見られるというBeeTVの強みが生きてきそうだ。また、堀氏は家の中での視聴も見込んでいるという。

 「ケータイは枕元にまで一緒に付いてくるメディアです。20~30代の女性に話を聞くと、ドラマを寝る前に一人でのんびり見たいという感覚を持っている人も多いのです。それぞれのお客さんのシチュエーションや気分に対応できるラインアップにしています」(堀氏)

 前田氏はケータイが持っている「パーソナル」という意味をキチンと考えた方が良いと指摘する。

 「ケータイで成功しているコンテンツ、たとえば待ち受け画面に始まり、着メロ、着うた、親指ゲームなどは、みなケータイ向けにデザインされたコンテンツばかりです。メディアの価値を高めるのはコンテンツであり、ケータイに合わせた、インタラクティブ性、パーソナル性を生かした映像コンテンツを揃え、好きなように使ってもらう放送局にならないといけません」(前田氏)

 ケータイ向けにデザインされたコンテンツを流す放送局。BeeTVはその成功に自信を見せる。

 一方で動画投稿サイトに合法・違法を問わず流れる映像が消費されたり、それで映像視聴を済ませている人たちもたくさんいる。ケータイでもYouTubeやニコニコ動画が手軽で快適に見られれば、それでいいじゃないかという人も現実にいる。

 YouTubeは無料だが、BeeTVは月額315円で共に見放題だ。僕は今後良いコンテンツが配信されていくことで、評価され、視聴者も増えることを期待しているが、ユーザーもコンテンツに対する価値付けをする視点を持つことも大切だと思う。

筆者紹介──松村太郎


ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性に付いて探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET


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