テレビとはまったく違う作り方は
強く意識している
それではケータイ専用の映像として意識している点はどのような部分なのだろうか。堀氏は、時間、カット、字幕という要素を挙げた。
「通勤や通学の時間のような30分から1時間の空き時間にずっと同じ番組を見たいかと言われると、決してそんなことはないと思う。マーケティングの結果から、1駅単位でコンテンツを区切りたいという意識が如実に表れていました。たとえば地下鉄だと2~3分。この長さにフィットしたコンテンツでなければなりません」(堀氏)
1コンテンツをとにかく短くする事が重要で、たとえばドラマでも従来のような30分や60分の作品ではなく、1話5~10分といった短い時間で完結するように脚本から作り込んでいるそうだ。
コンテンツの長さ以外の番組編成について、ドコモの前田氏も違いを出したいという。
「ワンセグとの大きな違いとして、自分が見たいコンテンツをどんな時間にでも見られるという点があります。WBCのようにみんなが見たいと思うコンテンツもありますが、普段のユーザーの生活は多様性があります。好きなときに好きなモノをいつでも見られるようにしたい」(前田氏)
映像の撮影に関しても、機材からのこだわりを見せる。
「撮影時にはケータイと同じ画面サイズのチェック用モニターを開発して、現場の監督には小さな画面で確認してもらっています。一次利用としてケータイ向けに作られていない映像では、(ケータイでは)無理があるシーンが多々あります。たとえば集合の全景のカットよりもバストアップを重視したり、役者さんの演出にも“ケータイ向け”を研究しています」(堀氏)
これと同様に字幕についても、小さな画面のケータイで読みやすいチューニングがなされており、ケータイ向けの映像製作のノウハウを作り、それを惜しみなく実践しているのだ。
確かに僕にとっても、多くの人にとっても、映像のクオリティはテレビや映画で流れてくる映像が基準になっているように思われる。ホームビデオやケータイで撮影する動画は、画質や編集、字幕、アニメーションなどの面でテレビのような質感は体験できない。
パーソナルメディアにおける映像の価値はいわゆる“テレビ番組”と同じ要素では決まらない。しかし見ていて盛り上がらない、物足りない、という経験は多々あるのだ。
たとえばAppleの動画編集ソフトiMovieでは、編集のテンプレート機能とも言える「テーマ」を用意している。ユーザーがより簡単に(テレビのような)見栄えのする映像を作ることを手助けしている。もしかしたら、BeeTVのケータイ向け映像メソッドがケータイカメラで撮影されるムービーにも生かせるかもしれない。
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