このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

基礎から学ぶネットワーク構築 第3回

ITを支えるインフラを知ろう

サーバルームとバックボーンネットワークとは?

2009年05月13日 13時30分更新

文● ネットワークマガジン編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

コアスイッチ

 フロアごとにまとめられたネットワークは、バックボーンネットワークにまとめられる。このバックボーンの中核に位置するのが、コアスイッチと呼ばれる大規模なL3スイッチだ。コアスイッチの障害は企業内ネットワーク全体に影響が及ぶため、他の部分以上に信頼性を高めるための工夫が施されている。

 コアスイッチに使われるハイエンドのL3スイッチ製品は、図3のように「シャーシ」と呼ばれるケースに、機能別のモジュールを組み込む構成が一般的だ。このような構成を採ることで、将来的な拡張が可能となる。モジュールは、(1)基本制御ユニット、(2)インターフェイスユニット、(3)電源関係のユニットに大別される。

図3 コアスイッチとして用いられるハイエンドのL3スイッチ

 基本制御ユニットはL3スイッチの機能に必須のもので、複数搭載することで冗長化したり、スイッチング容量を増やすことができる。

 インターフェイスユニットは、銅線を用いた一般的なギガビットEthernetに加え、さまざまな光ケーブル用のものや、10ギガビットEthernetなどが用意されており、用途に応じて必要なものを組み込むようになっている。インターフェイスユニットはホットスワップ、すなわち稼働中の取り外しに対応しているものが多く、故障の際にもシステム全体を停止せずに交換可能にしているものもある。

 電源関係のユニットは、電源ユニット以外に冷却ファンモジュールがある。電源ユニットは複数搭載の冗長構成を採る。また一般的な100ボルト電源以外に、交流200ボルトや直流48ボルトに対応したものも存在する。直流48ボルトの電源は特に国内の通信会社で多く採用されている。

バックボーンネットワークに必要な広帯域と冗長性

 バックボーンネットワークは、すべてのトラフィックが集中するため、下流のネットワークよりも広帯域のものが使われてきた。すなわち、クライアントが10Mbpsだった頃には100Mbpsのものが、クライアントが100Mbpsになった頃にはギガビットEthernetが、という具合だ。

 現在、新たに導入されるクライアントマシンでは、ギガビットEthernetは標準装備といえる状況だ。しかし10ギガビットEthernetはまだ高価であり、それほど利用されているわけではない。その代わりに利用されているのが、複数のリンクを束ねて仮想的な広帯域の接続を実現する「リンクアグリゲーション」だ。リンクアグリゲーションはIEEE802.3adとして規格化されており、これを使うことは「トランキング」と呼ぶ。

 リンクアグリゲーションにはバックボーンの広帯域化だけでなく、冗長化の効果もある。コアスイッチを構成するモジュールも冗長化されているが、図4のようにコアスイッチそのものを二重化し、フロアスイッチ⇔コアスイッチ間の接続をトランキングすることで、コアスイッチの負荷分散と冗長化を実現している。この仕組みは、「L3スタッキング」や「バーチャルシャーシスタック」など各ベンダーごとに呼び名が異なっている。

図4 コアスイッチを冗長化したバックボーンネットワーク

 図4では、バックボーンはスター型のネットワークとなっているが、これ以外にリング型のネットワークでバックボーンを構成することもある。

 システムからSPOFをなくすためには、1つしかないものを複数持つようにするという単純だが有効な手段が使われる。さまざまな階層で二重化、冗長化を施すことで、ネットワークが止まらないように工夫されている。

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事