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WWW完全制覇 第1回

Webブラウザから拡がる楽しい世界

2009年04月28日 12時30分更新

文● 遠藤哲、中塚寛幸、ネットワークマガジン編集部

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インターネットは実にさまざまなアプリケーションの動作環境となるネットワークである。実際、現在ではメールやP2P、オンラインゲーム、Skypeなどさまざまなアプリケーションがインターネット上で利用されている。しかし、多くのユーザーにとって、Webがインターネットの代名詞となっているのは間違いない。Webはインターネットアプリケーションの王様である。

 Webブラウザを開けば、そこはさまざまなサービスの入り口だ。たとえば、「Googleで検索する」、「Wikipediaで用語を調べる」、「mixiに日記を書き込む」、「ニコニコ動画でビデオを楽しむ」など、我々が普段特に意識しないで利用している操作も、すべてWebを使っているのだ。

 また、Webは個人の利用のみに留まらず、ビジネスにおいても重要なプラットフォームになっている。もとより、Webの技術を業務向けのアプリケーションに利用し、LAN内に展開したイントラネットは、1990年代の後半から広く導入されている。また、2000年以降は、こうしたWeb対応のアプリケーションを外部の事業者がサービスとして運用するASP(Application Service Provider)がスタート。その後、インフラやビジネスモデルを改良したSaaS(Software as a Service)として、企業での導入も本格化している。

 利用可能な端末も、もはやPCだけに限らない。フルブラウザを搭載する携帯電話はもちろんのこと、ゲーム機やテレビでもWebの利用が可能だ。

オーソドックスな基盤技術に流行の技術をプラス

 昨今は、従来と違う新しいWebという意味を込めて「Web 2.0」という言葉がいろいろなところで使われている。Web 2.0の意味合いや解釈はさまざまだが、代表格といわれているグーグルのサービスを見ているだけでもなんとなく新しいっぽいというイメージは沸くだろう。ドラッグ&ドロップ可能なユーザーインターフェイスや、ユーザーが自ら選択して情報やコンテンツを整理するサービスの中身を見ると、確かに今までのWebと違った印象を受ける。

 しかし、Webを支えている技術の基本はきわめてシンプルでオーソドックスなものだ。ひと言でいえば「Webブラウザでアドレスを指定すると、Webサーバと通信し、HTTP経由でコンテンツを取得する仕組み」とまとめることができてしまう。だが、現在のWeb 2.0の環境は、この基板技術の上にさまざまな技術が積み重ねられていることで実現されている。拡張性の高いXML、HTTPを使ってアプリケーション同士を連携させる仕組み、ユーザーの操作環境をリッチにするスクリプトや動的コンテンツ環境、公衆のネットワークでありながら高いセキュリティを実現するセキュアプロトコルなど。この10年で、実にさまざまな技術が導入されてきた。

1990年代に一気に発展したWebの歴史

 1970年代に登場したメールやTelnet、FTPなどと比べると、Webはかなり新しいアプリケーションである。

 Webは1989年にCERN(欧州素粒子物理学研究所)のティム・バーナーズ・リー氏によって考案されたものだ。その際には、ファイルを転送するHTTP、リソースを識別するURL、そしてコンテンツを記述するHTMLなどWebの3要素は完成しており、まさに実用化のレベルに近づいていた。

 1990年には、CERNが世界初のWebサーバとWebブラウザを試作し、1992年には文部省(当時)高エネルギー加速器研究機構によって日本で初めてのホームページが公開された。その後、1993年にWebブラウザの「Mosaic 1.0」、続く1994年には「Netscape Navigator 1.0」がリリースされ、本格的なWebの歴史が到来する。1995年にはマイクロソフトがInternet Explorer 1.0を公開し、Windows 95とともにインターネットは一気に普及した。

 その後、ヤフーやグーグルなどを筆頭とした数多のWebサービス業者や、草の根的な多くのユーザーによってWebは全世界規模の巨大メディアとして成長した。ここまでの経緯はご存じの通りだ。

(次ページ、「Webの基本構成をおさえよう」に続く)


 

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