このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

WWW完全制覇 第5回

マルチメディアを多用するアプリはどうやって動いているの?

高度なWebアプリケーションを実現するRIAの仕組み

2009年06月02日 09時00分更新

文● 遠藤哲、中塚寛幸、編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

Webブラウザ上やPCのデスクトップ上で動作する高度なWebアプリケーションとして注目が集まる「RIA(Rich Internet Applications)」。アドビのAIRとマイクロソフトのSliverlightなどを例に、このRIAの仕組みを紹介する

WebアプリケーションからRIAへ

 Webアプリケーションはアクセスカウンタのような単なる表示だけのものから始まった。現在では、さらに高度に進化したWebアプリケーションをRIA(Rich Internet Applications)と呼んでいる。厳密な定義はないが、ユーザーインターフェイスにFlashやJavaアプレット、Ajaxなどを用いて、単純なHTMLで記述されたページよりも操作性や表現力に優れたWebアプリケーション全般を指す言葉である。

 RIAの起源は、Flashを使った直感的な操作が可能なWebアプリケーションのことを指して使ったのがきっかけといわれている。動画やアニメーションなどを取り入れた華やかなコンテンツは、デザイン面で優れているだけでなく、画面遷移をスムーズにしたり、ユーザーインターフェイスを改善してブラウザ内でドラッグ&ドロップなどの操作も実現できた。こうした機能はWebサイトの表現を豊かにする局所的な流行に止まらず、ユーザーはより直感的な操作ができるようになり、作業効率のアップなどが見込めると考えられるようになったのである。

RIAの実現方法

 RIAの実現手法は大きく3つのタイプに分かれる。まずは、JavaScriptを使ったWebサイトのように、Webブラウザの標準機能で動作するタイプである。最近では、検索サイトのGoogleやYahoo!、そしてインターネットショッピングのAmazonが自社の検索エンジンや商品データベースを利用するためのWebサービスを提供している。

 次にRIAを実現する手段として、Adobe Flash PlayerやMicrosoft Silverightといったプラグインをインストールし、ブラウザ上で動作させるアプリケーションがある。Adobe FlashはこれまでRIAを実現する手段として不動の地位を築いていたが、最近になってマイクロソフトがFlashに対抗する製品としてSilverlightを発表したのである。

 Flashのコンテンツの作成は、Adobe Flash CS3 Professionalという製品などで作り、ブラウザ上で動作させるFlash PlayerはアドビのWebサイトから無料で提供されている。

図1 Flashで作られたアドビ製品の紹介。マウスオーバーでメニューが出てくる動的なコンテンツはフラッシュが得意とするところだ

 一方のSliverlightは、FlashでいうところのFlash Playerにあたる製品で、SilverlightのWebページからダウンロードできる。コンテンツを作成するには、同社のVisual Studioや無料の「Microsoft Silverlight 1.0 SDK」を用いる。

 このように、これまでは専用のソフトウェアを使わなければコンテンツが制作できなかったが、ここで耳寄りな情報がある。マイクロソフトが、複数のWebサービスを組み合わせてマッシュアップを作成するWebアプリケーションサービス「Popfly」の提供を開始した。

 マッシュアップとは、Web上に提供されている情報やサービスなどを組み合わせて、新しいソフトウェアやサービス、データベースなどを作ることである。たとえば、地図を表示するWebサービスと画像共有サービスを組み合わせて、撮影した場所に合わせてマップ上で写真を表示するといったWebアプリケーションが作成できる。このように、マッシュアップはWebサービスとして公開されているAPIを利用し、それらを組み合わせて新しいサービスを実現するもので、Web 2.0の構成要素として注目されているキーワードだ。

(次ページ、「Popflyを利用したマッシュアップ」に続く)


 

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事
  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード