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池田信夫の「サイバーリバタリアン」 第61回

ウェブは民主主義を救えるか

2009年04月01日 13時00分更新

文● 池田信夫/経済学者

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米国ではウェブが民主主義の一部になった

クルーグマンもNewYorkTimesのサイトでブログを持っている。もちろんコメント欄もある

 経済危機が拡大するにつれて、ウェブの役割が大きくなっている。特に米国では、オバマ政権の打ち出した巨額の財政政策について、ウェブ上で賛否両論が渦巻いている。特に激しく政府案を批判しているのはプリンストン大学教授のポール・クルーグマンで、Newsweek誌は「政権の頭痛の種」と評している。クルーグマンはもともと民主党に近く、ブッシュ政権を批判していたのだが、オバマ政権になってからはその政策が共和党と妥協して中途半端だと批判している。

 さらに多くの批判は、保守派の経済学者から浴びせられている。シカゴ大学教授のゲアリー・ベッカー、スタンフォード大学教授のジョン・テイラー、ハーバード大学教授のロバート・バローなどは、巨額の財政政策の効果は疑わしく、政府の裁量的な介入は市場を混乱させると批判している。

 注目されるのは、こうした論争が学会誌でも新聞でもなく、ほとんどウェブで行なわれていることだ。リーマン・ブラザースの破綻から、まだ半年しかたっていない。経済学の論文が学会誌に投稿されてから載るまでは2年ぐらいかかるのが普通だから、急速に進行する危機にはとても間に合わない。新聞や雑誌も、アメリカではほぼ丸ごとウェブに出ているので、ほとんどリアルタイムで論争が行なわれる。

 そしてホワイトハウスの政策を決定しているローレンス・サマーズ国家経済会議委員長や、経済諮問委員会のクリスティーナ・ローマー委員長も、こうしたウェブ上の批判に答えて、政策の意図を説明する論文を発表する。大統領選挙でオバマ候補を支持したHuffington Postは、ページビューではワシントン・ポストに並ぶメディアになった。ウェブ上の言論は、米国では民主主義の一部になっているのだ。

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