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【CEATEC JAPAN 2006レポート Vol.5】「人々はコンテンツが好き」――TVとパソコンの融合を説いたインテルの基調講演

2006年10月03日 15時34分更新

文● 編集部 小西利明

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ソニーのVAIO type Uを手にした米インテル 上席副社長兼デジタルホーム事業本部長のエリック・キム氏
ソニーのVAIO type Uを手にした米インテル 上席副社長兼デジタルホーム事業本部長のエリック・キム氏

“CEATEC JAPAN 2006”の初日午前に開催された基調講演では、米インテル社にてデジタルホーム部門を担当する上席副社長兼デジタルホーム事業本部長のエリック・キム(Eric B.Kim)氏による、“TVとパソコンの融合(コンバージェンス)”をテーマとした講演が行なわれた。

TVが勝つかパソコンが勝つか、は無意味

インテルが世界13ヵ国の家庭で行なった、TVやパソコンの使用状況に関するデモビデオの1シーン。コンテンツに対する強いニーズ自体は各国共通と結論している
インテルが世界13ヵ国の家庭で行なった、TVやパソコンの使用状況に関するデモビデオの1シーン。コンテンツに対する強いニーズ自体は各国共通と結論している

キム氏はまず、家電市場で最も重要な2つの製品がパソコンとデジタルTVであると定義したうえで、この2つの流れを融合させる技術は現在はないと述べた。だがその融合はユーザー主導で生まれているとして、同社が世界13ヵ国で86の家庭を対象に行なったユーザー調査をまとめたビデオを放映した。これは同社がホームユーザーを対象に、TVとパソコン/IT技術がどう使われているかを調査したもので、地域によっての違いもうかがえたものの、キム氏は各国共通の消費者のニーズについて、「人々は面白いコンテンツが好きだ。それにアクセスしたい、創造したいというニーズは(世界共通で)存在する。作るだけでなく、共有することも欲している」と述べた。またこれらに加えて信頼性や安全性が高く、容易に操作・設定できる技術も求められているとして、キム氏はこれを「人々はヘルシーなテクノロジーを求めている」という言葉で表した。

これらに必要なインフラとして、キム氏はデジタル放送とブロードバンドインターネットを挙げた。キム氏は日本でのデジタル放送や光・ADSLなどブロードバンドインターネット接続の普及率を予測したグラフを示しながら、同分野での日本の先進性を称賛。加えてオンラインでのビデオ視聴が日本で急速に増大しているという調査結果のグラフも示して、“YouTube”のようなオンラインビデオがキラーコンテンツとなるとの見方を披露した。

日本で視聴されたオンラインビデオの量についてのグラフ。2006年に入って激増しているが、視聴された大半が違法にアップロードされたコンテンツであろう点については言及されなかった
日本で視聴されたオンラインビデオの量についてのグラフ。2006年に入って激増しているが、視聴された大半が違法にアップロードされたコンテンツであろう点については言及されなかった

一方でキム氏は、デジタル家電の中心となるのが“TVかパソコンか”といった見方は無意味であるとし、「ユーザーはTVもパソコンも好きなのだ」と述べて、両者をシームレスに統合して簡単に使うことこそがユーザーの求める姿であると説いた。

パソコンとTVは競合ではなく融合するもので、融合によってこれらのユーザー体験を実現できるとしている
パソコンとTVは競合ではなく融合するもので、融合によってこれらのユーザー体験を実現できるとしている

その具体例として披露されたのが、同社の推進する“Viivテクノロジー”を基盤とした“メディアPC”である。キム氏は例として、米DIRECTV社が年末にリリース予定の、Viiv対応のデジタル衛星放送セットトップボックスについて簡単に触れた。これはデジタル衛星放送を視聴できるほか、Viiv対応オンラインコンテンツを楽しめるものだということだ。

またすでに登場しているViiv対応パソコンや、Viiv対応パソコンと接続されたネットワークメディアプレーヤーを使ったコンテンツやアプリケーションのデモが行なわれ、Viiv向けに日本で提供されているビデオコンテンツを表示したり、ビデオと同時に双方向ビデオチャットを使ったりといった機能が披露された。目新しいデモとしては、家庭のViiv対応パソコンに外部の公衆無線LAN等から携帯型パソコン(デモで使用されたのはVAIO type U)を使い、外部から家庭へとデジタルカメラの画像を、セキュアな共有を利用して転送するというデモがあった。家庭と外部をVPNで接続するものだが、VPNに必要な設定をViiv対応パソコンなら簡単に行なえるという点をアピールしたものだが、単純すぎたためか、今ひとつ“Viivならでは”といった印象をアピールしきれなかったように思える。

Viiv対応のネットワークメディアプレーヤー経由で、液晶TV上でViiv対応コンテンツとして配信されているレース映像を披露するデモ オンラインビデオを見ている途中で、ビデオチャットの誘いが入ったというデモの1コマ。会話相手はソニーの方で、品川のソニー本社との接続のようだ
Viiv対応のネットワークメディアプレーヤー経由で、液晶TV上でViiv対応コンテンツとして配信されているレース映像を披露するデモオンラインビデオを見ている途中で、ビデオチャットの誘いが入ったというデモの1コマ。会話相手はソニーの方で、品川のソニー本社との接続のようだ

日本初?Core 2 Quadのデモも披露

日本初?の披露となった“Core 2 Quadプロセッサー”のデモ。マシンやCPU自体は披露されなかった
日本初?の披露となった“Core 2 Quadプロセッサー”のデモ。マシンやCPU自体は披露されなかった

次世代のパソコンの要素として、9月26日(現地時間)に発表されたクアッドコアCPU“Core 2 Quadプロセッサー”のデモも披露された。同CPUのデモが広く一般に公開されるのは、日本では初と思われる。

CINEBENCHでのレンダリング競争の1シーン。右がCore 2 Quad、左がCore 2 Duoで、Core 2 Quadは画面を4分割してレンダリングしているのが分かる
CINEBENCHでのレンダリング競争の1シーン。右がCore 2 Quad、左がCore 2 Duoで、Core 2 Quadは画面を4分割してレンダリングしているのが分かる

デモ内容はCore 2 Duoプロセッサーのパフォーマンスデモでよく利用された3D CGレンダリングベンチマークテスト“CINEBENCH”で、CG生成速度をCore 2 Duo搭載マシンと比較したり、(株)スクウェア・エニックスが提供しているマルチコアCPU対応ベンチマークテストである“フロントミッション オンライン オフィシャルベンチマークソフト”を実行するといったシンプルなデモだった。講演時間の制約もあったのだろうが、やや物足りない印象が残る。キム氏はこうした強力なCPUの性能が、メディアリッチなユーザー体験を実現するのに必要だとしている。

キム氏はリビングルームでのTVとパソコンの融合したエコシステムを構築するには、Core 2 Quadのような強力なプロセッサーに加えて、ソフトウェア、インターネットによる機器間の相互接続性などが必要であり、そのためにはオープンなプラットフォームが必要となるとした。オープンプラットフォームの重要性を強調したのは、昨日発表された家電メーカー主導のデジタルTVによるネットポータル“acTVila(アクトビラ)”を牽制する意味合いがあったのかもしれない。最後にはインテルの提供するプラットフォーム技術、WiFiやDLNAのような業界標準と、世界の家電市場をリードする日本の家電メーカーとのシナジーによって、TVとパソコンを融合したソリューションを実現したいとして、講演を締めくくった。

TVと家電が融合した環境に対して、インテルが提供できるとする要素。背景の写真にあるのは海外で計画されている機器のようだ
TVと家電が融合した環境に対して、インテルが提供できるとする要素。背景の写真にあるのは海外で計画されている機器のようだ

講演全般は、Viivを基盤としてすでに実現されている要素の披露が多く、目新しさには欠けた。また“TVとパソコンの融合”とははなはだしくかけ離れた日本のデジタル放送事情についての言及もなかったため、聴衆にどの程度、同社のビジョンへの理解や共感を与えることができたのかどうかは疑問が残る内容であった。CPUの世界を席巻し、さらにプラットフォーム全体の提供へと軸足を移す巨大企業インテルであっても、極めて独特かつある意味排他的な日本の放送と家電の世界に影響を与えるのは、簡単なことではないようである。

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