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【T指令のパーツで遊ぼう!! No.8】垂直磁気記録方式を採用した最新HDDの性能をチェック!!

2006年07月01日 23時06分更新

文● T指令

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初めに素材を下ごしらえ

 今回の検証は、ユーザーの多いインテル環境で検証することにした。マザーボードは、AOpen製「i975Xa-YDG」を使用してオンボードの「ICH7」へ接続した。HDDは、外周ほど書き込みできるデータ量が多くなる。そのぶん、ヘッドの移動量は少なくなり読み書きが高速に行なえる。逆に書き込めるデータ量が少なくなる内周ほどヘッドの移動量は増え遅くなるため、OSは別ドライブの「ST3160812AS」(1プラッタ166GB/Serial ATA/回転数7200rpm/8MBキャッシュ)へインストールすることで、各HDDとも最外周で計測できるようにした。パフォーマンスの計測にはベンチマークソフトの「HDBENCH Ver3.40 Beta6」(作者:EP82改/かず氏)、「CrystalMark 2004 ver0.9」(作者:ひよひよ氏)、「HD Tune」などを使用する。計測時のHDD使用容量は「HDBENCH」、「CrystalMark 2004」ともにデフォルト設定で行なう。そして、HDDの寿命にも関連してくる発熱は、各ベンチ実行後に約7GBのファイルをネットワーク経由でコピーした際の温度とした。温度の計測方法は、HDDに取り付けた温度計と、「HD Tune」で表示される“S.M.A.R.T.”情報による温度とする。ちなみに“S.M.A.R.T.”(Self Monitoring Analysis and Reporting Technology)とは、HDD内部の信号と情報を監視/分析しながら、メーカーで設定された基準値とエラーの発生率、発熱量の増加などを比較して故障発生を予測する機能で、「HD Tune」はこの情報をみることができる機能を持っている。

サーミスタ
HDDの温度計測は、HDD表面に取り付けたサーミスタの温度と、「HD Tune」で表示される“S.M.A.R.T.”情報による温度とする

 なお、Western Digital製「WD740ADFD」以外は転送速度3GbpsのSerial ATA II規格に対応している。そのため、デフォルトの設定が1.5GbpsとなっているSeagate製の「ST3250640AS」(750GB)と「ST3250620AS」(250GB)は、Serial ATA接続コネクター横のジャンパピンを外して3Gbpsの設定に変更した。いちいちBIOSを呼び出さずにジャンパピンで切り替えるできるのは楽だ。さらに、パフォーマンスの比較用として一番ショップで売れているというHGST製「HDT722525DLA380」(Serial ATA接続/回転数7200rpm/キャッシュ8MB)も計測。ちなみに同製品は、プラッタ数が2枚、ヘッド数が4つとなるため、1プラッタあたりの容量は125GBとなる。このHDDもデフォルトでは転送速度が1.5Gbpsなので、HGSTの「Feature Tool」を使用して3Gbpsへ設定した。なお、「Feature Tool」はDOS用ソフトなので、フロッピーディスクで起動する必要がある。ジャンパピンとはいわないので、せめてWindows用のTool出してほしいところだ。

シール シャンパ
デフォルトの設定が1.5GbpsとなっているSeagate製の750GBと250GBは、Serial ATA接続コネクター横のジャンパピンを外して3Gbpsの設定に変更した

垂直磁気記録方式の750GBと250GBを試す!

 まずは比較データ用として、一番ショップで売れているというHGST製の水平記録方式HDD「HDT722525DLA380」(以下HGST製250GB)で各種ベンチを計測した。結果は「HDBENCH」が読み込み65MB/s、書き込み66MB/s。「CrystalMark 2004」は読み込み64MB/s、書き込み62MB/sとなり、「HD Tune」での転送速度は、Maximum(最大)64MB/s、Minimum(最小)30.9MB/s、Average(平均)53.2MB/sとなった。読み込み/書き込みともに60MB/sを超えており、現行製品の中では標準的な性能といえる。
 では、本題の垂直磁気記録方式を採用し、過去最高のプラッタ容量を誇る「ST3750640AS」(以下Seagate製750GB)を計測しよう。まずは、750GBで一括フォーマットして「HDBENCH」を実行だ。果たして垂直磁気記録方式とプラッタ容量188GBでのパフォーマンスアップはどのくらいだろうか? 待つこと約1分、結果は読み込み76MB/s、書き込み79MB/sでHGST製250GBより約12MB/sも高速という結果になった。「おしい! あと1歩で80MB/sを超えたのに」と思わず悔しがるほど。続けて「CrystalMark 2004」と「HD Tune」を実行してみると「CrystalMark 2004」は、読み込み74MB/S、書き込み71MB/sとなり、「HD Tune」の“Transfer Rate”(データ転送速度)は、Maximum(最大)76.6MB/sで、Minimum(最小)35.8MB/s、Average(平均)62.2MB/sとなった。読み込み/書き込みともに70MB/sを余裕で超えているので、十分高速だ。次は約7GBのファイルをコピーして温度を計ったが、「HD Tune」で表示される温度は48℃で、HDD表面に取り付けた温度計は42℃となった。HGST製250GBの「HD Tune」での計測温度は45℃、HDD表面の温度計は38℃なので、ちょっと高めだ。

「ST3750640AS」 「ST3750640AS」の「HD Tune」結果
垂直磁気記録方式を採用し、1プラッタあたりの容量が約188GBと、過去最高のプラッタ容量を誇るSeagate製の「ST3750640AS」(容量750GB/Serial ATA接続/回転数7200rpm/キャッシュ16MB)「HD Tune」の“Transfer Rate”(データ転送速度)は、Maximum(最大)76.6MB/sで、Minimum(最小)35.8MB/s、Average(平均)62.2MB/sとなった。写真ではHDD温度が42℃になっているが、最終的には48℃にまで上昇した

 さて次は、私が家計を考えずに自腹で購入した「ST3250620AS」(以下Seagate製250GB)のベンチを実行してみよう。先ほど検証したSeagate製750GBの読み込み/書き込み速度が、ともに70MB/sを超えていたので、同シリーズのこのHDDの結果も期待できるだろう。というより、せっかく買ったのだから結果がよくなければ困る。自分の選択に間違いはなかったと言い聞かせながら「HDBENCH」を実行し、結果を待つ。こういう時はいやに計測時間が長く感じるものだ。ようやく画面に映し出された「HDBENCH」の結果は、なんと読み込み79MB/s、書き込み83MB/sと、プラッタ容量188GBのSeagate製750GBより速くなっていた!! 「買ってよかった~」とほっと胸を撫で下ろす。さらなる期待を込めて「CrystalMark 2004」と「HD Tune」を実行すると、「CrystalMark 2004」は読み込み78MB/S、書き込み75MB/sとなり、「HD Tune」の“Transfer Rate”(データ転送速度)は、Maximum(最大)80MB/sで、Minimum(最小)38.7MB/s、Average(平均)65.3MB/sと各ベンチでSeagate製750GBを上回る結果となった。

「ST3250620AS」 「ST3250620AS」ラベル
垂直磁気記録方式を採用し、1プラッタあたりの容量が約166GBになる「ST3250620AS」(容量250GB/Serial ATA接続/回転数7200rpm/キャッシュ16MB)

 さらに、Seagate製250GBと1枚あたりのプラッタ容量が同程度となる“Barracuda 7200.9”シリーズの「ST3160812AS」(1プラッタあたり160GB)を参考として計測した。約10GBほどOSやアプリで使用している状態だが「HDBENCH」で計測すると、読み込み/書き込みともに約72MB/sとなった。同条件での計測ではないので、垂直磁気記録方式でのパフォーマンスアップとは言い切れないが、プラッタ容量が同じくらいならやはり、最新の“Barracuda 7200.10”シリーズの方が性能は上のようだ。うれしくて温度計測を思わず忘れそうになったが、「HD Tune」で表示される温度を調べると48℃で、HDD表面に取り付けた温度計は42℃と、Seagate製750GBと全く同じ結果となった。(次ページに続く)

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