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【T指令のパーツで遊ぼう!! No.8】垂直磁気記録方式を採用した最新HDDの性能をチェック!!

2006年07月01日 23時06分更新

文● T指令

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HGST初の160GBプラッタ採用HDDをチェック

 次は従来の水平磁気記録方式となるが、160GBプラッタを採用したHGSTの新シリーズ“Deskstar 7K160”の「HDS721616PLA380」(以下HGST製160GB)を試そう。さっそくSeagate製250GBから同製品へ交換してベンチスタートだ。さて、本製品は同社製“Deskstar T7K250”シリーズの同容量の「HDT722516DLA380」と比べると一気に2倍のプラッタ容量で、「HDT722525DLA380」(250GB)と比べると35GBほどプラッタ容量が増えている。そんな“Deskstar 7K160 ”の性能はどのくらいだろう? 興味津々の「HDBENCH」の結果は読み込み71MB/s、書き込み72MB/sとなり、「CrystalMark 2004」は読み込み70MB/s、書き込み66MB/sだった。「残念、そんなに速くない」とちょっと気落ちしたが、125GBプラッタの「HDT722525DLA380」(250GB)よりは160GBプラッタを使用している分、高速となっている。続けて「HD Tune」も実行したが、“Transfer Rate”(データ転送速度)は、Maximum(最大)71.1MB/sで、Minimum(最小)35.3MB/s、Average(平均)59.2MB/sとなった。やはり“Deskstar T7K250”シリーズよりは、パフォーマンスアップしているが“Barracuda 7200.10”シリーズの後だとちょっとインパクトに欠けてしまう印象だ。温度のほうも、「HD Tune」で表示される温度は43℃で、HDD表面に取り付けた温度計は38℃と高くも低くもない結果となった。

「HDS721616PLA380」
160GBプラッタを採用したHGSTの新シリーズ“Deskstar 7K160”の「HDS721616PLA380」(容量160GB/Serial ATA接続/回転数7200rpm/キャッシュ8MB)

1万回転の最強HDDと他のHDDを比べよう!

 いよいよ最速HDDとして私が注目している“WD Raptor”シリーズ「WD740ADFD」をチェックしてみよう。まずは、「HDBENCH」を実行だ。1プラッタあたりの容量は、今回比較した中では一番少なく約74GBとなるが、回転数10,000rpmでの影響はどうなるだろう。

「WD740ADFD」 「WD740ADFD」の「HD Tune」結果
回転数が10,000rpmのWesternDigital製「WD740ADFD」(容量74GB/Serial ATA接続/キャッシュ16MB)「HD Tune」の“Transfer Rate”は、Maximum(最大)79.8MB/sで、Minimum(最小)47.6MB/s、Average(平均)68.7MB/sとなった

 期待が高まる「HDBENCH」の計測結果は読み込み79MB/s、書き込み89MB/sとなった。書き込み速度が80MB/sを超えている!「さすが、10,000rpmはダテじゃない!」と声を大にして言いたい。「CrystalMark 2004」では読み込み78MB/s、書き込み76MB/sで、「HD Tune」の“Transfer Rate”(データ転送速度)はMaximum(最大)79.8MB/sで、Minimum(最小)47.6MB/s、Average(平均)68.7MB/sとなった。「HDBENCH」以外は、Seagate製250GBと同程度の結果となるが、もともと“WD Raptor”シリーズは、ランダムアクセスが得意なHDDといえる。ランダムアクセスとは、散らばった場所にあるデータにアクセス(読み/書き)することで、シーケンシャルアクセスとは連続的なデータにアクセスする方法だ。ランダムアクセスの性能については、ここまで触れてこなかったので、ここでランダムアクセスのベンチ結果も含めた表と温度結果をグラフにした。

HDBENCH Ver3.40 Beta6
型番 Read Write Random Read Random Write
ST3750640AS
(Seagate製750GB)
76133 79875 29383 34304
ST3250620AS
(Seagate製250GB)
79875 83934 35225 34478
HDS721616PLA380
(HGST製160GB)
71160 72011 21135 27075
WD740ADFD
(WesternDigital製74GB)
79875 90941 28992 26418
HDT722525DLA380
(HGST製250GB)
65473 66149 24728 26102

CrystalMark 2004
型番 Read Write Random Read 512K Random Write 512K Random Read 64K Random Write 64K
ST3750640AS
(Seagate製750GB)
74.35 MB/s 71.49 MB/s 40.08 MB/s 47.54 MB/s 8.39 MB/s 14.60 MB/s
ST3250620AS
(Seagate製250GB)
78.70 MB/s 75.19 MB/s 42.27 MB/s 36.56 MB/s 9.46 MB/s 13.85 MB/s
HDS721616PLA380
(HGST製160GB)
70.23 MB/s 66.70 MB/s 40.03 MB/s 39.57 MB/s 9.42 MB/s 14.52 MB/s
WD740ADFD
(WesternDigital製74GB)
78.90 MB/s 76.92 MB/s 32.21 MB/s 59.26 MB/s 12.49 MB/s 24.49 MB/s
HDT722525DLA380
(HGST製250GB)
64.02 MB/s 62.13 MB/s 39.87 MB/s 36.47 MB/s 9.61 MB/s 16.59 MB/s

HD Tune
型番 Transfer Rate Minimum Transfer Rate Maximum Transfer Rate Average Access Time
ST3750640AS
(Seagate製750GB)
35.8 MB/sec 76.6 MB/sec 62.2 MB/sec 13.8ms
ST3250620AS
(Seagate製250GB)
38.7 MB/sec 80.2 MB/sec 65.3 MB/sec 13.3ms
HDS721616PLA380
(HGST製160GB)
35.3 MB/sec 71.1 MB/sec 59.2 MB/sec 14.3ms
WD740ADFD
(WesternDigital製74GB)
47.6 MB/sec 79.8 MB/sec 68.7 MB/sec 8.1ms
HDT722525DLA380
(HGST製250GB)
31.4 MB/sec 64.5 MB/sec 53.3 MB/sec 12.8ms


“S.M.A.R.T.”の温度情報
HDD表面に温度計を付けて計測した結果と「HD Tune」で読み取った“S.M.A.R.T.”の温度情報をグラフ化した

 表をみると同じHDDでもベンチマークソフトによって結果に微妙な差が出ているが、垂直磁気記録方式の“Barracuda 7200.10”シリーズ(Seagate製750GBと同250GB)は、シーケンシャルアクセス、ランダムアクセスともに高速といえる。さすがにランダムアクセスが得意な“WD Raptor”シリーズの「WD740ADFD」(WesternDigital製74GB)には負けているが、HDDの容量と価格差を考えたら“Barracuda 7200.10”シリーズの「ST3750640AS」(Seagate製750GB)と「ST3250620AS」(同250GB)に私のオススメ印をあげたい。ただしHDDの発熱は、ちょっと高めだ。ファンレスタイプの外付けケースでも使用できる範囲といえるが、24時間稼働にはやや注意が必要だろう。また従来の記録方式だが、1プラッタ容量160GBを採用した“Deskstar 7K160”の「HDS721616PLA380」(HGST製160GB)は、思っていたほどパフォーマンスアップはしていないが、“Deskstar T7K250”シリーズの160GBを購入するなら価格差が600円ほどなので、「HDS721616PLA380」が狙い目といえる。
 今回の検証では各HDDの駆動音については触れていないが、Seagate製750GBと同250GBは、書き込み時の「カリカリ」音がやや大きいと感じた。また、「WD740ADFD」(WesternDigital製74GB)はアクセス時に「ガコガコ」と重たい音を出すことがあった。両製品ともにケースに組み込んだ状態ならそんなに気にならないレベルだとは思う。

●結論:大容量で性能重視なら“Barracuda 7200.10”がイチ押しだ。さらにOS起動用HDDなど、ランダムアクセス重視なら2万円台前半だが「WD740ADFD」を選択する手もあり!!

 なお、余談であるが、“Barracuda 7200.10”シリーズ(Seagate製750GBと同250GB)には、Serial ATAの転送速度を切り替える方法が本体に記述されており、ジャンパピンで簡単に1.5Gb/sと3.0Gb/sの設定を変更できる。そこで、ジャンパピンはあるがラベルに切り替え方法の記述がない「ST3160812AS」でも転送速度の変更が可能か試してみた。ジャンパピンを取り付け後、「CrystalMark 2004」のHDD情報で転送速度を確認すると、1.5Gb/s動作となった。3Gb/s転送のHDDを使用すると、正常に動作しないマザーボードの場合は、ここにジャンパピンを取り付けて1.5Gb/s動作に設定してみよう。HGSTのようにソフトで変更するよりラクチンだ!!

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