【T指令プロフィール】小学生の頃から秋葉原に通う。自作パーツメーカーのサポートや秋葉原のパーツショップを転々とした後ライターに転身。今回久々にハンダごてを手にして、ショップ店員時代を思い出す |
Serial ATA接続のHDDが、IDE接続に代わって主流になりつつある。さらに、内蔵する場合と変わらない速度で読み書きが可能な外付け用規格の“eSATA”接続方式も登場した。“eSATA”接続では、1本のケーブルで1台ずつの接続になるが、複数台のHDDを1本のケーブルで接続可能な“Port Multiplier”機能に対応した製品も発売されている。そこで今回は使い勝手がよさそうな“Port Multiplier”機能に対応している外付けHDDケースに注目して、HDDの5台搭載やリムーバブルケースでのホットスワップ、RAID機能などさまざまな使い方を試してみよう。
今回の狙いは“Port Multiplier”対応の外付けケース!
TVを録画した動画データや音楽データを保存していると、容量250GBのHDDなどはあっという間に満杯になってしまう。容量が足りなくなればHDDを追加すればいいが、PCケースに内蔵できるHDDの数には限りがあり、搭載できなくなるとUSB2.0やIEEE1394接続での外付けドライブに頼ることとなる。ただし、USB2.0やIEEE1394接続は、IDEやSerial ATA接続に比べて読み書きの速度が遅いのが難点だ。ところが、内蔵のSerial ATA接続と同等の速度で読み書きできる外付け用Serial ATA規格の“external Serial ATA”(以下eSATA)接続なら、速度面での不満を解消できる。また、USB接続と同じように電源オンのまま脱着が可能な“ホットスワップ”機能にも対応している。そんな“eSATA”接続をさらに魅力的にするのが、1つのSerial ATAポートから最大15台のデバイスを接続可能にする“Port Multiplier”(ポートマルチプライヤ)機能だ。
1つのSerial ATAポートから最大で15台のSerial ATAデバイスを接続できるようになる“Port Multiplier”機能。秋葉原のショップでも何度かデモが行なわれている |
いいところだらけに見える“Port Multiplier”機能に対応している外付けHDDケースであるが、これらは最大4台のHDDを搭載可能な玄人志向の「玄蔵X4」(型番:GW3.5X4-S2)や、最大5台のHDDを搭載可能なラトック製の「SA-DK5ES-PE」と少なく、あとは、秋葉原のオリオスペックなど一部のショップで販売されている製品に限られるようだ。ラトック製の「SA-DK5ES-PE」は、リムーバブルケースによるホットスワップに対応しているので、5台以上のHDDでも交換して使用できる。知り合いや会社で同じリムーバブルケースを使えば、データ満載のHDDも手軽に交換できて便利だが、ネックは5台分のリムーバブルケースが付属するためかちょっと割高で、実売価格7万円後半になるところ。オリオスペックの「SA-E5P-00」も約6万円と、ちょっと現在の私には価格的に手が出せない。
Serial ATA II対応3.5インチHDDを4台搭載可能な玄人志向製の外付けHDDケース「玄蔵X4」(型番:GW3.5X4-S2) | Serial ATA HDDを5台まで搭載可能なラトック製の外付けeSATAケース「SA-DK5ES-PE」。PCI Express x1接続のポートマルチプライヤ対応eSATAボードが付属 |
そこで私が目を付けたのが、2005年の年末に玄人志向から発売されたキワノモシリーズの「PM5P-SATA2」だ。この製品は“Port Multiplier”機能に対応しており、“HDD A”ポートから“HDD E”ポートまでの5つのSerial ATAポートに接続した5台のHDDを1つの“eSATA”ポートへ変換する製品だ。基板のみのため価格は安価で実売価格は約1万円。「これを使えば“eSATA”の外付けHDDケースを安く作れる!」と確信した。というわけで今回は「PM5P-SATA2」を使って“Port Multiplier”対応の外付けHDDケースを低コストで作成し、その読み書き性能やホットスワップ、OSブートドライブでの使用などをチェックしてみよう。
玄人志向の「PM5P-SATA2」。1つの“eSATA”ポートから5台のSerial ATAデバイスを接続できるようになる“Port Multiplier”機能をもつeSATA対応ハブだ | 基板裏面にネジ穴が2つついたパネルと“eSATA”ポート1つが搭載されている |
使用パーツを確保する!
まずは最も基本となる“Port Multiplier”に対応した変換基板の玄人志向製「PM5P-SATA2」をゲット。蛇足だが、本製品はキワモノシリーズなので、保証期間が初期不良のみの製品になる。
“Port Multiplier”機能を使用するためには、インターフェイス側も“Port Multiplier”機能に対応している必要がある。そのため、本製品の推奨インターフェイスになっている“eSATA”コネクタを2ポート搭載した玄人志向製「SATA2RE2-PCIe」をチョイスした。「SATA2RE2-PCIe」は、“Port Multiplier”とSerial ATA II(3Gbps)対応のSiliconImage製“Sil3132”チップを搭載し、RAID0/1/5をサポートするカードで、対応スロットはPCI-Express×1となる。なお、バッファロー製「IFC-PCIE-ATS2」や、ラトック製「REX-PE30S」の“Port Multiplier”対応カードと違い、玄人志向の製品には、ホットスワップ用のソフトは付属しないので注意が必要だ。ここはぜひ玄人志向のウェブサイトなどでホットスワップ用ソフトの販売をしてほしいところだ。
“eSATA”コネクタを2ポート搭載した玄人志向のインターフェイスカード「SATA2RE2-PCIe」。「PM5P-SATA2」の推奨カードとなっている |
そして、リムーバブルケースは、私が普段使用しているラトック製のSerial ATA用リムーバブルケース「SA-RC1-BK」とIDEのHDDも使用できるトレイが付属する「SA-RCIDE-BK」をチョイス。これで、IDE接続のHDDも相性が出なければ使用可能で、IDEからSerial ATA接続のHDDへのデータ移動も楽になる。「楽しみ~」とワクワクする。最後にケースと電源はコスト面を考慮して、余っているATXミドルタワーケースとATXにも取り付け可能なMicroATX電源を使用することにした。
そして肝心のHDDは、ホットスワップやRAIDなどをチェックするため、Serial ATA接続の「HDT722525DLA380」(以下、HGST製250GB)を3台と「HDS721616PLA380」(以下、HGST製160GB)を1台、「ST3250620AS」(以下、Seagate製250GB)を1台用意。さらに、IDE接続のHGST製「HDT722525DLAT80」(250GB)を1台の計6台用意した。ちなみに、今回使用したHDDはすべて回転数7200rpm、キャッシュ8MBとなる。
ホットスワップやRAIDなどをチェックするため、Serial ATA接続のHGST製250GBを3台と160GBを1台、Seagate製250GBを1台用意。さらに、IDE接続のHGST製250GBを1台の、計6台を用意した |
ここで、HDDを除いた外付けHDDケースのコストを計算してみると、Port Multiplierカードの「PM5P-SATA2」が約1万円、eSATAインターフェイスカードの「SATA2RE2-PCIe」が約4000円、リムーバブルケースの「SA-RC1-BK」と「SA-RCIDE-BK」で約1万3000円となり、合計約2万7000円ほどでT指令仕様の“Port Multiplier”対応外付けHDDケースが製作できることになる。(次ページに続く)
テスト環境 | |
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CPU:インテル「Celeron M 430」(1.7GHz) | |
メモリ:G.Skill「DDR2-667(PC2-5400) 512MB×2」 | |
マザーボード:AOpen「i975Xa-YDG」 | |
ビデオカード:玄人志向「GF7300GT-E128H/EX」(PCI Express x16) | |
HDD:Seagate「ST3160812AS」(160GB/Serial ATA) Seagate「ST3250620AS」(250GB/Serial ATA) HGST「HDT722525DLA380」×3(250GB/Serial ATA) HGST「HDT722525DLAT80」(250GB/IDE) HGST「HDS721616PLA380」(160GB /Serial ATA) |
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光学ドライブ:東芝「SD-M1612」 | |
電源:ANTEC「TRUEPOWER2.0 550W」 | |
OS:Microsoft「Windows XP Professional SP2」 |