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【IDF Japan 2005 Vol.3】「人々はもう体毛より多くのトランジスターを持ち歩いている」――基調講演に見るインテルのモバイル戦略

2005年04月08日 22時43分更新

文● 編集部 小西利明

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モバイル分野への取り組みについて語るモビリティ事業本部副社長兼モバイル・プラットフォーム事業部長のムーリー・エデン氏
モバイル分野への取り組みについて語るモビリティ事業本部副社長兼モバイル・プラットフォーム事業部長のムーリー・エデン氏

7日から開催された、インテル(株)主催の開発者向け会議“インテル・デベロッパ・フォーラム Japan 2005”(IDF-J)。2日目の基調講演では、デジタル・エンタープライズ、ソリューション、モビリティの3つのテーマについて、それぞれを担当する事業部のスタッフが講演を行なった。ここでは特に一般のパソコンユーザーにとってもホットな話題の多い“モビリティ”の講演について、レポートしたい。講演を行なったのは米インテル モビリティ事業本部副社長兼モバイル・プラットフォーム事業部長のムーリー・エデン(Mooly Eden)氏。氏はMMX PentiumやPentium Mなど、特にモバイル分野において優れたデザインのプロセッサーを次々と世に送り出した、同社のイスラエル開発センターのセンター長兼ディレクターを勤めていた経歴を持つ、いわば同社随一のモバイル向けプロセッサーの専門家である。

“モバイルの時代”と題して行なわれたエデン氏の講演では、まず1995年には半導体全体の12%に過ぎなかったモバイル分野向けの半導体の割合が、2004年には35%まで増加しているという調査結果を示し、「製造されるトランジスターの3分の1は人が持ち歩くものになっている。私たちが持ち歩いているトランジスターの数は、人間の体毛の数よりも多い。これはすごいことだ」と、モバイル分野が非常に隆盛であることを、ユーモアを交えて語った。そしてインテル自身も今まで以上に低消費電力のデザインを重視しているとして、同社の事業再編で誕生した5つの事業本部のひとつであるモビリティ事業本部が担当する分野について、携帯電話やポータブルエレクトロニックデバイス向けプラットフォーム、ノートパソコン向けプラットフォーム、そしてモバイル向けブロードバンド技術(コンテンツ配信などのソフトウェア技術も含む)の3本の柱を挙げた。

1995年から2004年までのモバイル分野向け半導体の伸びを示すグラフ。すでに半導体の3分の1以上はモバイル向けである
1995年から2004年までのモバイル分野向け半導体の伸びを示すグラフ。すでに半導体の3分の1以上はモバイル向けである

携帯電話向けの取り組みについては、“携帯電話のスマートフォン化”という観点から話を進めた。エデン氏は携帯電話の通信速度や機能が高度になったことによって、第1世代携帯電話の頃は端末に搭載される半導体の価格は25ドル(約2700円)程度だったのが、W-CDMAなど現在の多機能なスマートフォンでは3倍の75ドル(約8100円)にまで上昇しているというグラフを示し、高度な機能と高速データ通信機能を持つ携帯電話が普及しつつある今こそ「インテルの活躍するとき」として、携帯電話向けのプロセッサーを重要な市場と認識している点を強調した。携帯電話向けプラットフォームのロードマップも披露された。それによると、2005年にはXScaleアーキテクチャーのCPU“Intel PXA27xファミリー”と“Hermon(ハーモン)”プラットフォームを、ハイエンドの携帯端末からミッドレンジの携帯電話に投入する。機能の少ないローエンドの携帯電話については、高度なCPUは搭載せず、Hermonプラットフォームだけでまかなう。また2006年にはそれぞれのプラットフォームの新製品も投入する。

ノートパソコンとカメラ付き携帯電話の連携を示すデモでは、携帯電話で撮影した画像をボタンひとつでパソコンに転送してみせた 2005~2006年にかけての、携帯端末や携帯電話向けのプロセッサーとプラットフォームのロードマップ
ノートパソコンとカメラ付き携帯電話の連携を示すデモでは、携帯電話で撮影した画像をボタンひとつでパソコンに転送してみせた2005~2006年にかけての、携帯端末や携帯電話向けのプロセッサーとプラットフォームのロードマップ

ノートパソコンの分野については、“Centrinoモバイル・テクノロジ”の登場によって、2002年には10%程度だった無線LAN機能搭載ノートの比率が、わずか1年後には65%以上になり、2007年にはこの比率が90%以上になるだろうとの見方を示した。また無線LANプラットフォームの広がりによって、無線LAN向けの新しいサービスも登場しているとして、東京両国の国技館内で1月からインテルの協力により試験提供されている相撲についての情報配信サービス“SumoLiveTV”を例として紹介した。ちなみにSumoLiveTVは5月から正式サービスが開始されるとのことで、エデン氏は「ぜひ皆さんが国技館に行く時には、必ずCentrino搭載のパソコンを持っていってほしい」と語った。

携帯電話の機能向上にともない、搭載される半導体の価格も上がっているが、無線LAN対応ノートパソコンではその金額はより高く、機能も優れているとする インテルの協力によって国技館内で提供されている、Centrino搭載ノート向けの相撲の映像・情報配信サービス“SumoLiveTV”
携帯電話の機能向上にともない、搭載される半導体の価格も上がっているが、無線LAN対応ノートパソコンではその金額はより高く、機能も優れているとするインテルの協力によって国技館内で提供されている、Centrino搭載ノート向けの相撲の映像・情報配信サービス“SumoLiveTV”

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