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インテル、WiMAXに対応したシステムオンチップ『Intel PRO/Wireless 5116』を発表――無線ブロードバンドによる“ラスト1マイル”の構築を促進

2005年04月19日 20時06分更新

文● 編集部 小西利明

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Intel PRO/Wirelss 5116のイメージ写真 同社初のWiMAX対応製品について説明を行なうセールス・マーケティング本部 プロダクトマーケティングマネージャー Wireless LAN製品&システムズ担当の梅野光氏
Intel PRO/Wirelss 5116のイメージ写真同社初のWiMAX対応製品について説明を行なうセールス・マーケティング本部 プロダクトマーケティングマネージャー Wireless LAN製品&システムズ担当の梅野光氏

インテル(株)は19日、高速無線データ通信規格“WiMAX”(Worldwide interoperability Microwave Access)に対応した、同社初のシステムオンチップ製品『Intel PRO/Wireless 5116 ブロードバンド・インターフェース』の出荷を開始したと発表した。通信機器製造会社や通信事業者向けに販売を行なう。また同時にWiMAXの商用サービス化に向けて、世界の通信事業者数社がインテル製品を使用しての試験運用を開始するとの発表も行なわれた。

ここ数年、インテルはさまざな無線通信規格の研究開発から規格の策定、普及啓蒙活動に積極的に取り組んでいる。IEEE 802.11a/b/g無線LAN技術をサポートする“Centrinoモバイル・テクノロジ”の一連の製品群やプロモーション活動、無線LAN関連ビジネスを手がける企業への出資など、その活動は多方面に渡り、投入される資金も莫大な額にのぼる。そのインテルが現在非常に熱意を持って取り組んでいるのがWiMAXだ。WiMAXについては同社が開催するカンファレンスやテクニカルセミナーで度々言及されており、先頃東京で開かれた“インテル・デベロッパ・フォーラム Japan 2005”(IDF-J)でも、基調講演や機器の展示、セミナーなどが行なわれていた。

そもそもWiMAXとは“IEEE 802.16”仕様の無線データ通信規格の愛称で、業界団体“WiMAX Forum”によって規格化が進められている。WiMAXの大きな特徴は、広帯域ながら高速なデータ通信が可能なこと。WiMAXの通信可能距離と帯域を説明するのによく使われる言葉では、“基地局1つで2~10kmの範囲をカバーし、速度は最大75Mbps”と言われている。ADSLを大きく超え、光ブロードバンド接続に迫ろうかという速度だ。同日に開かれた報道関係者向けの説明会で、同社セールス・マーケティング本部 プロダクトマーケティングマネージャー Wireless LAN製品&システムズ担当の梅野光氏は、WiMAXの通信距離について、ADSLの置き換え用途なら5~10km、基地局のアンテナ同士の指向性を向かい合わせたポイントツーポイントの通信ならば、50kmもの距離での通信が可能と言う。この長距離・広帯域の特性を生かして、“ワイヤレスMAN”(Metropolitan Area Network)のラスト1マイルを実現する切り札として、特に配線コストが高くブロードバンド接続の普及が遅れている国や地域で強く期待されている。

想定されるWiMAXの用途は、使用する周波数帯により3種類に分かれる。今回の製品は左側のラスト1マイル向けアクセスラインに用いられる
想定されるWiMAXの用途は、使用する周波数帯により3種類に分かれる。今回の製品は左側のラスト1マイル向けアクセスラインに用いられる

通信に使う周波数帯としては3種類が規格化または検討されており、“IEEE802.16-2004”規格では、基地局とユーザー宅を結ぶラスト1マイル向けに5.8GHz帯を利用する。建物内部のように障害物で見通しのきかないLAN用途には3.5GHz帯を用いる。また“IEEE802.16e”として現在規格化作業中の規格では、IEEE802.16-2004の規格を包括した上で、屋外でのモバイル通信用に2.5GHz帯が加わる。規格化は2007年を予定している。梅野氏はモバイル通信用規格について、時速120kmで移動する端末からのハンドオーバーが可能になるとしている。

CPUやMAC、Ethernetコントローラーを1チップに集積

規格の話が続いたが、インテルが発表したIntel PRO/Wireless 5116は、IEEE802.16-2004に対応したラスト1マイル向けのWiMAX対応機器を開発するための製品で、1つのチップの中にCPU(デュアルコアARM946ES)、IEEE802.16-2004のMAC(Media Access Control)やPHY(物理層)の処理エンジン、10/100BASE EthernetのMAC、メモリーコントローラー、セキュリティーコントローラーなどを集積したシステムオンチップとなっている。VoIPなどに使うストリーミング通信向けのQoS(Quality of Service:帯域保証)の機能は備えるが、あくまでも基本は一般的なデータ通信にあるとのことだ。パッケージ形状は360ピンPBGA(Plastic Ball Grid Array)で、サイズは約23mm×23mm。価格は1000個ロット時で47ドル(約5076円)。またソフトウェア開発キットのβ版も同時に提供されていて、2005年第2四半期中にソフトウェアは完成する予定。IEEE802.16-2004の無線の送受信回路(ラジオ)は備えておらず、別ベンダーの製品を利用する。広報発表文には特にラジオ部分のベンダーについての記述はないが、梅野氏によれば協力関係にあるベンダーの米RFMagic社や米Sierra Monolithics社などの名前が挙げられた。

Intel PRO/Wireless 5116に統合された主な機能
Intel PRO/Wireless 5116に統合された主な機能

Intel PRO/Wireless 5116が想定している用途は、基地局から送られるデータ通信を各家庭や建物で受信する無線モデムである。ユーセージモデルとしては、Intel PRO/Wireless 5116を搭載したアンテナを屋外に設置し、アンテナは有線/無線のLANで屋内のパソコンやデジタル家電とつながり、インターネットアクセスのゲートウェイとして動作する。通信機器ベンダーはIntel PRO/Wireless 5116と無線回路やメモリーなどを組み合わせることで、こうした機器を低コストで開発できる。

現在は対応機器を作るのに多額のコストがかかっているが、主要機能を統合したIntel PRO/Wireless 5116の登場により普及が促進され、2006年には2万円を切るレンジまで低価格すると予測される。モバイル用途も取り込んだIEEE802.16eが規格化されれば、WiMAXカードやノートパソコンへの内蔵も進むだろう
現在は対応機器を作るのに多額のコストがかかっているが、主要機能を統合したIntel PRO/Wireless 5116の登場により普及が促進され、2006年には2万円を切るレンジまで低価格すると予測される。モバイル用途も取り込んだIEEE802.16eが規格化されれば、WiMAXカードやノートパソコンへの内蔵も進むだろう

同社では世界中で75の通信事業者がWiMAXベースの試験を行なう予定を立てていて、そのうち30社が同社のWiMAX製品を採用する予定という。また梅野氏は、数日中に数社から具体的な製品化のスケジュールが発表されるとの見通しを示した。日本の大手通信機器メーカーや通信事業者もWiMAX製品やテストを予定しているが、日本では今のところ5.8GHz帯の無線データ通信での利用は認可されていない。総務省は“ワイヤレスブロードバンド推進研究会”にて無線ブロードバンド向けの周波数再配分についての具体的な提案を、5月20日まで受け付けている。ひとまずは提案を元に研究会側でどのような結論が出るかを待つことになるだろう。

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