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【2005 CES Vol.3】パソコン界の主役もCESでは脇役?――ユーセージモデルや採用製品展示が主体のインテル&AMD

2005年01月08日 17時26分更新

文● 編集部 小西利明

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CPUが目立たない? ユーセージモデル指向のインテルブース

CESの米インテル社ブース。CPUやチップセット自体より、それを使った製品や対応サービスの展示に力を入れる
CESの米インテル社ブース。CPUやチップセット自体より、それを使った製品や対応サービスの展示に力を入れる

“2005 International CES(Consumer Electronics Show)”の主役は、デジタルTVやデジタルオーディオプレーヤー、デジタルビデオレコーダーといったデジタル家電である。米国ではWindows XP Media Center Edition(MCE)の普及に見られるように、パソコンもデジタル家電の1つとしてリビングルームにその場を占めつつある。しかしパソコンがリビングに進出しつつあると言っても、パソコンの世界で話題の中心を占めるCPUは、CESでは脇役に甘んじているようで、いささか存在感が薄いように感じられる。デジタル家電から見ればCPUも部品の1つにすぎないわけだから、これは当然なことであるが。

世界最大の半導体企業にして、CPU界の巨人である米インテル社のブースの内容も、それを裏付けている。“Upgrade your sences”というかっこいいキーワードはCES会場の各所で目にできる。しかし昨年末には新しいアーキテクチャーのCPUの発表がなかった、という事情もあるが、インテルブースでもCPU自体が前面に出た展示はなく、(インテルCPUの入った)パソコンが家庭でどう使われるか、何ができるようになるか、といったコンセプトやユーセージモデル主体の展示が中心であり、同社の製品であるCPUやチップセットなどは存在感が希薄であった。隣りに米マイクロソフト社のブースがあり、MCE搭載パソコンなど似通った内容の展示が多かった点も、CPU自体が目立たない傾向に拍車をかけていたようにも思われた。



ブース内にはインテルのCPUを使った製品が多数並んでいたが、CPU自体がプッシュされた展示ではなく、CPUの存在感は薄かった
ブースの一角にひっそりと展示されていた、Centrino対応ノートパソコンの数々。ただしまもなく登場すると言われる新プラットフォーム“Sonoma(ソノマ)”の姿はなかった
ブースの一角にひっそりと展示されていた、Centrino対応ノートパソコンの数々。ただしまもなく登場すると言われる新プラットフォーム“Sonoma(ソノマ)”の姿はなかった

パソコン用CPU以外にも、インテルはPDAなどによく使われる組み込み向けCPU“インテルPCAプロセッサ”を持つ。これらのCPUを使った携帯型マルチメディアプレーヤー“ポータブルメディアセンター”なども展示されていた。また詳細は不明だが、韓国HUMAX社の試作品とおぼしき、“Personal Media Server”なるPDAタイプの機器も展示されていた。

謎のPDA? “HUMAX Personal Media Server”。PDAサイズにキーボード備え、全体の大きさはザウルス程度か
謎のPDA? “HUMAX Personal Media Server”。PDAサイズにキーボード備え、全体の大きさはザウルス程度か
液晶パネル部分は、コンバーチブル型タブレットPCのように、手前に回転してこのような向きにもなる
液晶パネル部分は、コンバーチブル型タブレットPCのように、手前に回転してこのような向きにもなる
 
台湾Abocom System社製らしいPortable Media Centerのデモ機もあった。詳細は不明

主役はAthlon 64ではなくAlchemyやGeode AMDブース

インテルのライバルである米Advanced Micro Devices(AMD)社も、年末にパソコン用新CPUの発表などがなかったため、インテルよりはパソコン本体の姿が目立ったものの、やはり全体としては地味な展示のブースであった。

パソコン用のAthlon 64搭載製品で目を引いたのは、デスクノート用『Mobile Athlon 64 3700+』を搭載する、米Voodoo PC社の巨大なノート『Envy m:860』程度か。Mobile Athlon 64を採用する製品はまだ少ないが、米国ではデスクトップ用CPUやチップセットを搭載する巨大なデスクノートは珍しくなく、Mobile Athlon 64もこのジャンルならば徐々に採用は増えそうだ。

AMDブースに展示されていた、Mobile Athlon 64搭載ノート『Envy m:860』。Voodoo社のサイトに同一製品名がないため、スペック等詳細は不明だが、17インチWXGA+(1680×1050ドット)液晶ディスプレーと、MOBILITY RADEON 9700を備えると思われる
AMDブースに展示されていた、Mobile Athlon 64搭載ノート『Envy m:860』。Voodoo社のサイトに同一製品名がないため、スペック等詳細は不明だが、17インチWXGA+(1680×1050ドット)液晶ディスプレーと、MOBILITY RADEON 9700を備えると思われる

CESでのAMD製品の主役はパソコン用のAthlon 64ではなく、組み込み向けCPU『Geode』シリーズや『Alchemy』シリーズであろう。特に最新のAlchemy Au1200プロセッサーは、CESの開幕直前に発表された携帯マルチメディア機器向けの新CPU。ビデオデコード処理などを高速に行なう“Media Acceleration Engine”という機能を搭載する。会場にも同CPUを採用する台First International Computer社のポータブルメディアセンター『Vassili Personal Media Player』などが展示されていた。

Alchemy Au1200を搭載する携帯型メディアプレーヤー『Vassili Personal Media Player』
Alchemy Au1200を搭載する携帯型メディアプレーヤー『Vassili Personal Media Player』

またx86アーキテクチャーの組み込み向けCPU、Geodeシリーズを搭載する製品を展示しているコーナーには、SMAP出演のTV CMでお馴染みの(株)エヌ・ティ・ティ東日本/西日本のIPテレビ電話機『フレッツホン VP1000』などが並んでいた。意外な機器にもGeodeが幅広く使われているのが分かり、デジタル家電の世界では縁の下の力持ち的な活躍を見せているようだ。ひょっとしたらあなたの家のデジタル家電にも、Geodeが入っているかもしれない。

CESのAMDブースという予想外のところで見かけた『フレッツホン』の端末。搭載CPUはGeode SC1200/1201シリーズの模様
CESのAMDブースという予想外のところで見かけた『フレッツホン』の端末。搭載CPUはGeode SC1200/1201シリーズの模様

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