インテル、プラットフォームセミナーにて、Centrino DuoやViivなど同社の最新プラットフォームについて紹介――未発表のCentrino DuoおよびViiv対応製品も展示
2006年01月10日 23時41分更新
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デジタルエンターテイメントプラットフォーム“Viiv(ヴィーブ)”対応コンテンツのデモを披露する、米インテル デジタルホーム事業本部副社長 兼 事業本部長のドナルド・マクドナルド氏 |
インテル(株)は10日、東京都内のホテルにて同社のプラットフォーム戦略の最新事情について説明する“インテル・プラットフォーム・セミナー 2006”を開催。デジタルエンターテイメント向けPCプラットフォーム“Viiv(ヴィーブ)テクノロジ”や、ノートパソコン向けデュアルコアCPU“Intel Core Duo”を中核としたモバイル向けプラットフォーム“Centrinoモバイル・テクノロジ”の利点と、対応製品や対応コンテンツについての説明を行なった。また会場にはメーカー各社のCentrino DuoおよびViiv対応パソコン新製品が出展されており、参考出品の形で未発表の製品も多数展示された。
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インテル 代表取締役共同社長の吉田和正氏 |
セミナーの講演にて、まず壇上に上がった同社代表取締役共同社長の吉田和正氏は、5日に発表された同社の新しい企業ロゴ“Intel Leap ahead(インテル さあ、その先へ)”をスクリーンに披露し、同社が昨年より繰り返しアピールしてきた“プラットフォーム企業への転換”を明確にするために、変更したと述べた。そして“ムーアの法則”による半導体の進歩に触れたうえで、「新しい技術は従来とっつきにくいものだったが、今後の技術の進歩は気付かないうちに当たり前のものになる。新しいものが当たり前になってくる」という言葉で、市場はさらに広がるとの見方を示した。また「高性能で低消費電力のプロセッサーがユーザーに求められている」として、6日発表されたIntel Core Duoプロセッサーと初代のPentiumを比較し、「性能は100倍、サイズは1/3」と、大幅に高性能で小型化されていることを述べた。そしてIntel Core Duoプロセッサーと、同アーキテクチャーを採用する将来のマルチコアCPUは、ビジネス、モバイル、ホームすべてのインテルプラットフォームの核になるとして、Intel CoreシリーズがPentium 4以降の主力アーキテクチャーとなることを示した。
吉田氏の後を受けて登壇した、米インテル デジタルホーム事業本部副社長 兼 事業本部長のドナルド・マクドナルド(Donald J. MacDonald)氏は、新しい2つのプラットフォーム“Intel Centrino Duoモバイル・テクノロジ”と“Viivテクノロジ”について、多彩なデモを交えながらその利点を説明した。まずCentrino Duoモバイル・テクノロジについては、CPUのデュアルコア化による性能の大きな向上と、消費電力の低減によるバッテリー駆動時間の延長を強調した。
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Viivプラットフォームについて語るマクドナルド氏 |
Centrino Duoについては、デュアルコア化によりVoIPやHD品質のビデオ再生をしながら、パフォーマンスを落とさずにバックグラウンドでウイルススキャンなどが可能であり、「素晴らしいパフォーマンスを実証」するとした。デモンストレーションでは、シングルコアのCentrinoと新しいCentrino Duoでのパフォーマンス比較を3Dグラフィックスレンダリングテスト『Cinebench』などで行ない、処理速度の速さを披露した。またチップセットのIntel 945GM Expressのグラフィックス性能が従来の2倍になったほか、Intel HD Audio(ハイ・ディフィニション オーディオ)などにも対応し、エンターテイメントプラットフォームとしても優秀であることを述べた。Centrino Duoはすでに、全世界で230機種以上のノートパソコンで採用されているという。
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2005年型のCentrino(左)と、2006年のCentrino Duo(右)を並べて、性能差を披露するデモ。デュアルコアの恩恵はあらたかだ |
Centrino Duo以上に力を入れてアピールされたのが、新しい挑戦となるViivテクノロジだ。マクドナルド氏は「全世界で10億人のブロードバンドユーザーがいる。そして250億本ものビデオがダウンロードされている」など、デジタルコンテンツの流通が世界的に広がりを見せている現状を述べたうえで、デスク上のディスプレーの前で個人が使っていた今までのスタイル(2フィートと表現していた)から、リビングで大きなTVと接続して、インターネットやコンテンツを楽しむことを消費者は望んでいるとした。また「消費者は(エンターテイメント)体験の融合を望んでいる」として、多様なエンターテイメントコンテンツを楽しめるプラットフォームとして、Viivがあるとした。
ViivはデュアルコアCPUとIntel 945/955/975 Expressチップセット、Gigabit Ethernet対応のLANコンポーネントで構成され、OSにはWindows XP Media Center Edition(MCE)を用いる。またオーディオ機能としてIntel HD Audioを実装することも必要要件とされている。マクドナルド氏らによるデモでは、リモコンによる“クイックオン/オフ”が披露され、Viiv対応パソコンなら、リモコンで素早くオンオフできることが強調された。とはいえ、クイックオン/オフは単に映像出力やオーディオ出力をオフにしているだけであり、これをもって“Viiv対応パソコンは高速にオン/オフできる”とアピールするのは、いささかやりすぎの感もある。
Viivでなにより重要な点としてマクドナルド氏がアピールしていたのは、リモコンで操作できる使いやすいコンテンツである。映像配信サービスを筆頭に、音楽やゲーム、またコンテンツクリエーション系のアプリケーションなど、全世界ですでに60以上ものサービスやコンテンツが、“Viivバッジ”の付いたViiv対応コンテンツとして登場しているという。Viivバッジ付きのコンテンツは、Viiv対応パソコンで動作することが保証されたもので、ユーザーが安心してコンテンツを楽しめることを促進する。
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ワールドワイドでのViiv対応コンテンツの一覧。特に映像配信系のサービスが多く登場する予定 | ベルロックメディアが提供するViiv対応映像コンテンツ“ZZZ.TV”。中央の映像はHD品質の高解像度ビデオとのこと |
披露された日本向けコンテンツのデモでは、吉本興業(株)の子会社である(株)ベルロックメディアが提供する映像配信サービス“ZZZ.TV”のHD映像配信や、(株)スクウェア・エニックスのオンラインRPG『フロントミッションオンライン』などを例に、MCE上でリモコンを使い、コンテンツを選択して楽しむ機能が紹介された。またDLNAガイドライン対応のシャープ(株)の“液晶IT-TV”をViiv対応パソコンにLAN経由で接続し、パソコン内のコンテンツをTVから楽しむといったデモも行なわれた。特に液晶IT-TVと組み合わせたデモでは、1台のViiv対応パソコン上でフロントミッションオンラインをプレイしながら、同時にLAN経由でコンテンツを配信してみせ、デュアルコアCPUによるパフォーマンスによって、複数のヘビーなコンテンツを1台のパソコンで同時に扱えることを実証して見せた。
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DLNAガイドラインに対応するシャープの“液晶IT-TV”を使ったデモ。LAN経由でViiv対応パソコンが“Intel Viiv Zone”として見えている | 左の画面に映し出されたゲームを動かしているのは、その右横にある縦置きされた小さな白いパソコン。3Dゲームを実行しながら、同時に右にあるTVに映像を配信し、デュアルコアCPUのパワーを見せた |
Viiv対応パソコンは、すでに全世界で110機種以上発表されており、年内にはこれが250機種以上に広がるとマクドナルド氏は述べた。もっとも現時点の日本市場では、ホワイトボックス系のベンダーを中心に12機種が発表、あるいは予定されているに止まっており、大手メーカーの製品は数メーカーが1機種ずつと寂しい。各社が続々と新製品に採用しているCentrino Duoと比べると、勢いの違いは明らか。Windows XP MCE限定というViivの縛りは、日本市場では大きな障壁になりそうだ。
講演会場とは別の会場では、各社が発表/参考出品したCentrino Duo対応ノートパソコンや、Viiv対応パソコン、対応コンテンツが展示されていた。中には未発表の製品も多くあり、来場した報道関係者の注目を集めていた。
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Centrino Duo版ThinkPad Tシリーズ。CPUにはIntel Core Duo T2500-2.0GHzを搭載 | 同じくCentrino Duo版のThinkPad Xシリーズ。CPUには低電圧版にあたるIntel Core Duo L2300-1.5GHzを搭載 | |
参考出品されていた、レノボジャパン(株)のCentrino Duo対応ThinkPad |
