ソニー(株)は5日、2005年春モデルとなるVAIOシリーズのノートパソコン、6シリーズ15機種を発表した。いずれも価格はオープンプライス。新しいノートパソコンでは、インテル(株)のノートパソコン向け新プラットフォーム(CPU、チップセット、無線LANチップのセット)であるコードネーム“Sonoma”にいち早く対応した、最新仕様の製品が多数ラインナップされている。またホームユース向けとビジネスユース向けそれぞれに、1シリーズずつ新しいノートがラインナップされるなど、基本性能の強化が主体のデスクトップパソコンと比べると、ノートパソコンに注目が集まるラインナップとなっている。
ワイドで薄型でリーズナブルプライス
新ホームノート VAIO type F
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VAIO type F VGN-FS70B |
VAIOシリーズのA4超大型ノートパソコンには、TV録画やビデオ編集、高音質オーディオ再生などハイスペックなAVノート“type A”と、低価格ながらテレビ録画モデルもラインナップされるオールインワンノート“type E”などがある。しかしこれらより価格を抑えて、より身近にAVを楽しめるホームノートパソコンとして新しく登場するのが“VAIO type F”シリーズ4機種である。
type Fのコンセプトの1つは“ワイド&スリム”。はやりの15.4型ワイド液晶パネルを搭載しながら、軽く、そして非常に薄く作られている。その重さは約2.85~2.9kg。薄さに至ってはモバイルノートの“type T”と同等の、最薄部25.4mm、最厚部36.4mmしかない。液晶パネル用のインバーターに小型の物を開発することで、液晶パネルの最厚部を9.7mmから7.0mmへと薄型化したほか、薄くても強度の高いマグネシウム合金を、天面と背面のパネルや、筐体内部のフレームに多用して、強度を確保しながら薄型化を可能にした。高価なマグネシウム合金は軽さを求められるモバイルノートではよく利用されるものの、type Fのような大型ノートに多用されるのは珍しい。
さすがに重さはそれなりにあるので、毎日屋外で使うようなモバイル用途には向かないが、家庭内で好きな部屋、場所に持ち運んで使うのは苦にならない。白を基調にパネル周りに黒を配したカラーリングや、やわらかな丸みを帯びた側面など、デザイン面はどこかやさしげな印象がある。
内蔵液晶ディスプレーには、15.4インチワイドのWXGA(1280×800ドット)液晶パネル、またはWSXGA+(1680×1050ドット、VGN-FS70Bのみ)液晶パネルを搭載する。ワイド液晶ディスプレーはDVDの映画鑑賞に向くだけでなく、横幅の広い画面でWindowsアプリケーションを操作するのにも役立つ。
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type Fの左側面。先端の最薄部は約25mmしかない。この薄さで2層式DVD+R対応のDVDスーパーマルチドライブを内蔵する(VGN-FS20を除く) | フラットで美しい液晶パネルの天面 |
スペックも充実している。インテルが“Sonoma(ソノマ)”のコードネームで開発した、新しいプラットフォームをいち早く採用し、チップセットの“Intel 915PM/GM Express”やIEEE 802.11b/g対応の無線LAN機能など、最新の仕様を搭載している。最上位モデルである『VGN-FS70B』の場合、CPUには533MHzのシステムバス(FSB)に対応したPentium M 740-1.7GHzを搭載、メモリーは標準で512MBを内蔵する。さらにグラフィックスチップには、DirectX 9の最新仕様であるプログラマブルシェーダー3.0に対応した米エヌビディア社の『GeForce Go 6200 with TurboCache』を早くも搭載する。また下位モデル以外の全機種が、光学ディスクドライブとして2層式DVD+Rに対応したDVDスーパーマルチドライブ(2層式DVD+R 2.4倍速書き込み、DVD±R 8倍速書き込み)を内蔵するなど、贅沢なスペックを誇っている。そのうえ直販サイト“ソニースタイル”限定モデルでは、CPUにより高速なPentium M 770-2.13GHzを選択可能となっている。ただしシリーズ全機種ともTV録画機能は搭載しない。
搭載するインターフェース類は、USB 2.0×3、i.LINK(S400、4ピン)、10/100BASE-TX、外部アナログディスプレー端子、V.92モデム用モジュラージャックなど。またカードスロットとしてPCカード Type II×1と、メモリースティックスロット(標準/Duoサイズ対応、メモリースティックPRO対応)を備える。オプションのポートリプリケーター『VGP-PRFS1』(2万円前後)には、USB 2.0×2、10/100BASE-TX、外部アナログディスプレー端子、ACアダプター接続端子、パラレルポートなどが装備されている。
洗練されたデザインと充実したスペックを備えながら、type Fは価格も安い。店頭売りモデルの場合、価格は全機種オープンプライスだが、最上位機種のVGN-FS70Bの予想実売価格は24万円前後、最も安価な『VGN-FS20』は17万円前後と想定されている。デザインにスペック、リーズナブルな価格と、三拍子揃った新製品だけに、発売後は人気を呼びそうだ。
VAIO type Fの主なスペック
- VGN-FS70B
- Pentium M 740-1.73GHz/512MBメモリー/GeForce Go 6200 with TurboCache/80GB HDD/2層式DVD+R対応DVDスーパーマルチドライブ/15.4インチWSXGA+液晶ディスプレー/Windows XP Home Edition SP2/Office Personal Edition 2003付属
- 24万円前後/29日発売予定
- VGN-FS50B
- Pentium M 730-1.6GHz/512MBメモリー/Intel 915GM内蔵グラフィックス/80GB HDD/2層式DVD+R対応DVDスーパーマルチドライブ/15.4インチWXGA液晶ディスプレー/Windows XP Home Edition SP2/Office Personal Edition 2003付属/USB FDD付属
- 21万5000円前後/29日発売予定
- VGN-FS30B
- Celeron M 360-1.4GHz/256MBメモリー/Intel 915GM内蔵グラフィックス/80GB HDD/2層式DVD+R対応DVDスーパーマルチドライブ/15.4インチWXGA液晶ディスプレー/Windows XP Home Edition SP2/Office Personal Edition 2003付属/USB FDD付属
- 19万円前後/29日発売予定
- VGN-FS20
- Celeron M 360-1.4GHz/256MBメモリー/Intel 915GM内蔵グラフィックス/80GB HDD/DVDスーパーマルチドライブ/15.4インチWXGA液晶ディスプレー/Windows XP Home Edition SP2/USB FDD付属
- 17万円前後/3月発売予定
なお専用オプションとして、ポートリプリケーター『VGP-PRFS1』(予想実売価格2万円前後)や、type Fの収納に適した縦置きスマートケース『VGP-CKFS1』(予想実売価格5000円前後)なども同時に発売される予定である。
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type F専用ポートリプリケーター『VGP-PRFS1』。USB 2.0×2やLAN端子、外部アナログディスプレー出力などを備える |
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縦置きスマートケース『VGP-CKFS1』(5000円前後)。未使用時にtype Fを立てて収納するケース。内側には本体を保護するクッション材と、ACアダプターやマウス収納用のポケット付き |
