カナダATIテクノロジーズ社製グラフィックスアクセラレーターチップ搭載カード『MTVGA X600Pro』(AGP版) |
カノープス(株)は27日、東京・日本橋のカノープスビデオサロンで記者説明会を開催し、同社では初採用となるカナダATIテクノロジーズ社製グラフィックスアクセラレーターチップ搭載カード『MTVGA X600Pro』(PCI Express x16スロット用)、『MTVGA 9600XT』(AGPスロット用)を11月中旬以降順次発売すると発表した。また同時に、USB接続のTVチューナー&キャプチャーユニットやAVコントロールソフト、TVチューナーユニット用オプション(ロッドアンテナ)も同時に発表された。すべてオープンプライスで、各製品の特徴と発売時期、および編集部による予想実売価格は以下のとおり。
D4出力対応グラフィックスアクセラレーターカード
- MTVGA 9600XT
- AGPスロット用カード/ATI RADEON 9600XT&DDR SDRAM 128MB/ファンレス冷却機構/ハイビジョン(D4、720p)ビデオ出力対応/アナログRGB&DVI-I出力端子搭載
- 予想実売価格:2万5800円/11月中旬発売予定
- MTVGA X600Pro
- PCI Express x16スロット用カード/ATI RADEON X600Pro&DDR SDRAM 128MB/ファンレス冷却機構/ハイビジョン(D4、720p)ビデオ出力対応/アナログRGB&DVI-I出力端子搭載
- 2万5800円/11月下旬発売予定
簡易TV視聴&録画ユニット“かんたん換太郎シリーズ”
- テレビまるごとDVD
- TVチューナー&MPEG-2ハードウェアエンコーダー搭載USB外付けユニット/自動DVD作成機能搭載/iEPG録画予約対応
- 1万6800円/12月上旬発売予定
デジタルAVコントロールソフト
- FEATHER2005 Premium Edition(フェザー にせんご プレミアムエディション)
- 縦スクロール&センターフォーカスの新GUI/最高30倍速早送り&早戻し再生対応/自動タイトル作成機能付きDVD作成/MPEG-4トラスコーディング対応
- 6980円/12月上旬発売予定
TVチューナー用オプション
- ロッドアンテナ
- USB接続タイプのTVチューナーユニットでノートパソコンと組み合わせて屋外でのTV視聴&録画が可能
- 1470円/11月上旬発売予定
ロッドアンテナ(チューナーユニットは別売) |
発表会には、執行役員第一開発本部長の中田 潤氏、ATIテクノロジーズジャパン(株)のPCビジネス・ユニット テクニカルマーケティングマネージャーの岡本 隆氏、PCビジネスユニット セールス&マーケティングチャネルマネージャーの柳瀬一登(やなせかずと)氏らが出席し、新製品の特徴を紹介したほか、今回ATIのグラフィックスアクセラレーターチップを採用した理由・背景などを説明した。
ATIテクノロジーズジャパンのPCビジネス・ユニット テクニカルマーケティングマネージャーの岡本 隆氏(左)と、PCビジネスユニット セールス&マーケティングチャネルマネージャーの柳瀬一登氏 | カノープスの執行役員第一開発本部長の中田 潤氏 |
カノープスがATI RADEON 9600Pro/RADEON X600Proを採用した理由としては、
- 高い画像処理能力(2D/3D/ビデオアクセラレーションなど)
- 高画質なビデオ出力対応、およびハイビジョン出力などがカノープスのコンセプトにマッチ
- ATIテクノロジーズのパートナーシップによる製品開発環境
- 価格対性能比(コストパフォーマンス)の高さ
などが挙げられたが、特に印象的だった発言が、「ベンチマークプレイヤー向けの製品ではなく、ビデオプレイヤー、パソコンを活用したいユーザー向けの製品市場を目指す」(製品開発部 伊左次氏)というもの。より詳しく中田氏に話を聞くと、「NVIDIA(エヌビディア)の製品でもビデオ出力が、カノープスとして満足できる性能が出れば将来使う可能性はある。ただ、従来のベンチマークテストのスコアを競争するタイプの高速な3Dグラフィックスアクセラレーションを追求したカードは出すつもりはない」とのこと。
PCI Express x16スロット用の『MTVGA X600Pro』のパッケージ。赤が基調で目立つ | AGPスロット用の『MTVGA 9600Pro』のパッケージ。こちらは白が基調で、両製品の区別は簡単につくだろう |
この製品も、単体のグラフィックスアクセラレーターカードではなく、同社のTVチューナー&MPEG-2キャプチャーカード/ユニット“MTVXシリーズ”との連携機能を念頭に開発したという。専用に開発されたAVユーティリティーソフト『FEATHER for A』が付属し、MTVXシリーズと組み合わせることで、720p方式(D4)対応のハイビジョンTVにフルスクリーンでTVを表示しながら、半透明に番組表や番組情報、予約録画、録画画質設定メニューなどを表示できる。同社がオプションで用意しているリモコンを使ってのデモ操作を見る限り、HDD&DVDレコーダーと同等の操作性を実現できている。デモを担当した伊左次氏は、「これ(TV画面に録画メニューや番組表を半透明で重ね合わせた表示)をやりたいがために開発したようなもの。ぜひMTVXシリーズと組み合わせて使ってみてほしい」と、高機能化が進む情報家電(AV機器)に対抗心を見せながら、「パソコンのほうが処理性能や文字の読みやすさなどでアドバンテージがある」と優位性をアピールした。
「現在動作するものが1枚しか用意できていない」というPCI Express x16スロット用のMTVGA X600Proと、MTVXシリーズを5つ(PCIカード4枚とUSBユニット)を組み合わせたマルチチャンネルサーバーのデモ |
AV関連機能以外の特徴としては、カードの表裏両面に大型ヒートシンクを配置して、その間をヒートパイプでつなぎ、ファンレスの冷却機構を実現していることが挙げられる。これにより、録画予約などのために24時間連続動作させる場合が多いTV録画用パソコンでも高い静音性が得られるという。なお、カード背面側のヒートシンクのため、AGP/PCI Express x16スロットの左に約20mm分の空間(クリアランス)が必要となる。「キューブ型ケースではCPUやチップセットのファンが当たる可能性があるので注意してほしい」(伊左次氏)とのこと。
伊左次氏が誇らしげにデモを見せた、全画面のTV表示に番組表や録画済み映像のリストを重ね合わせた、FEATHER type Aの画面 | 従来のインターフェースでは、TV画面にWindows特有のダイアログボックスが重なり、やや無粋な印象を受ける |
グラフィックスアクセラレーターカードとしてのスペックは、PCI Express版がコアクロック400MHz/メモリークロック580MHz、AGP版はコアクロック500MHz/メモリークロック600MHzで、いずれもグラフィックスメモリーとして128MB DDR SDRAMを搭載。映像出力端子は、アナログRGB(ミニD-Sub15ピン)/アナログビデオ出力/DVI-Iの3系統を持ち、アナログRGBとDVI-Iのデュアルスクリーン表示をサポートする。アナログビデオ出力端子は、付属のケーブルでS-Videoもしくはコンポジット端子に変換可能。DVI-I端子に接続する“コンポーネント出力アダプター”(付属)を利用すれば、ハイビジョン対応TVへのD4出力も可能になる(したがって、D4とDVI-Iの同時出力は不可)。対応OSはWindows XP SP1以降。
低価格さと簡単動作を追及したという“かんたん換太郎”シリーズのTVチューナー&MPEG-2キャプチャーユニット『テレビまるごとDVD』 |
同時に発表された『テレビまるごとDVD』は、3DY/C分離やゴーストリデューサーなどの高画質化機能を持たず、低価格にTV視聴&録画環境を実現したいというエントリーユーザー向けのTVチューナー&ハードウェアMPEG-2エンコーダー内蔵USB外付けユニット。付属ソフトには、HDD録画とDVD-Video作成(記録型DVDドライブが必要)の2つのボタンのみで、予約録画は日時や曜日を指定するか、ソニーコミュニケーションネットワーク(株)(So-net)が提供する電子番組表(iEPG)サイト“テレビ王国”を利用する。テレビ王国以外のiEPGサイトも、ユーザーが設定変更することで利用可能になるが、メーカーでは動作保証外だという。
付属ソフトのシンプルなインターフェース | 映像管理のボタンを押すと、録画済みのMPEG-2ファイルがリスト表示され、選択した映像をまとめてDVD-Videoに書き出すことができる |
HDD録画した番組を後からDVD-Videoに保存する“オフラインDVD作成モード”、写真と音楽を組み合わせたスライドショーのDVD-Videoを作成する“スライドDVD作成モード”などの機能も持ち、オフラインDVD作成モードでは、選択した録画済み番組の最初の画面から自動的にチャプターメニューが作成される。対応OSなど詳細は未定。