マイクロソフト(株)は22日、ストレージシステム向けOS『Microsoft Windows Storage Server 2003』の日本市場での展開について、パートナー企業との協業と、専任の営業チームの設立により、販売体制を大幅に強化すると発表した。この発表に併せ、都内にて『Microsoft Windows Storage Server 2003』の製品と戦略の解説、およびパートナー企業の取り組みに関するプレス説明会が開催された。
『Microsoft Windows Storage Server 2003』の管理画面 |
パートナー協業の強化についてはより広範なユーザーニーズに応えるために幅広いソリューションを提供することを目的とするという。また同時に、同社内に専任スタッフ(現在3名)による営業チームを設立し(このチームにはWindows Server関連専門の技術担当者も必要に応じ参加するという)、パートナー企業と協力し、企業の情報管理/維持に合わせて、プラニングからシステム構築、運用、維持まで一貫性のあるソリューションを提供していくとしている。
また、すでに『Microsoft Windows Storage Server 2003』搭載製品の提供を発表しているアイオメガ(株)、イーエムシージャパン(株)、デル(株)、日本電気(株)、日本ヒューレット・パッカード(株)、(株)日立製作所に加え、台湾AXIOMTEK社(日本国内での販売代理店は報映産業(株))、米MaXXan Systems社(日本国内での販売代理店は(株)フライトシステムコンサルティング)、米Xtore Extreme Storage社、レイドシステクノロジ(株)の各社も新たに搭載製品を提供するという。
米マイクロソフト社、Windows Server部門ジェネラルマネージャーのクリス・フィリップス氏 |
この日の発表に合わせて開催された説明会では、米マイクロソフト社のWindows Server部門のジェネラルマネージャー、クリス・フィリップス(Chris Philips)氏が来日し、『Microsoft Windows Storage Server 2003』の製品と戦略の説明を行なった。
サーバーとストレージの統合を望む顧客の声 | ストレージ市場の変遷。ネットワークストレージ、特にNASの躍進が目立つ |
同氏によると、現在のサーバー分野でのキートレンドのひとつは「サーバーとストレージの統合」だといい、この動きは米国を皮切りに欧州、そして日本にも広まっているという。中でも、NAS製品の普及は世界的に見てもめざましく、2003年6月にはDAS(Direct Attached Storage、直接コンピューターに接続するストレージ)への投資額よりもNASへの投資額のほうが上回ったという調査結果が紹介された。この理由としては、
- ストレージをサーバーに集約することで統合化された管理が可能
- 各環境に分散していたストレージを集約することで容量の有効活用が可能
- データを共有することによりデータの有効利用が可能
- シームレスな拡張性を持たせることが可能
を挙げている。
同社による“Windows Storage”戦略は、
- Windowsを最高のストレージプラットフォームにする
- カスタマーニーズに対処するためのパートナーエコシステムを構築する
- 新しいストレージソリューションを提供する
という3点を軸とするとしている。これを踏まえ、同社はWindows Storageプラットフォームの開発にあたって、
- データ保護と復元
- ボリュームシャドウコピーサービス(VSS、Windows Server 2003の全Editionに搭載)
- 相互運用性
- 仮想ディスクサービス(VDS)、SAN統合(Windows NTは元々SAN向けには設計されていなかったが、Windows Server 2003ではSAN統合を考慮)
- 可用性、拡張性、パフォーマンス
- マルチパスIO、ファイルとシステムパフォーマンス
- iSCSI(IP SAN)
- iSCSI 1.0準拠、対応ハードウェアのWHQLプログラム
といったポイントに対して投資を行なってきているという。
これらを経て登場した『Microsoft Windows Storage Server 2003』は、同氏の説明によると「高い信頼性とシームレスな統合、高いコストパフォーマンスを提供するファイルおよびプリント用途に特化した専用サーバー」で、Windows Server 2000をベースとした『Windows Powered Network Attached Storage』の後継バージョンとなる。多目的利用向けのWindows Server 2003の各Edition(Web Editionを除く)に対して、専門用途向けのWindows Serverという位置付けで、クラスタリングやハイエンドSANに対応する上位版『Microsoft Windows Storage Server 2003 Enterprise Edition』と、スタンダード版『Microsoft Windows Storage Server 2003』の2ラインナップが用意される。
専用ファイルサーバーとして運用する例 | サーバーが複数あり分散してしまっているストレージを統合して運用する例 | ミラーリングによる複製と、フェイルオーバーを可能にしたシステム運用の例 | ||
『Microsoft Windows Storage Server 2003』の導入例を説明するスライド |
国内パートナー企業も説明会に参加
この日の説明会には、『Microsoft Windows Storage Server 2003』搭載製品をリリースする各社も参加しており、各社の製品紹介や戦略説明などを行なった。登壇したパートナー企業は、アイオメガ(株)、イーエムシージャパン(株)、デル(株)、日本電気(株)、日本ヒューレット・パッカード(株)、(株)日立製作所、(株)フライトシステムコンサルティングの7社。