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進化するデジタルイメージングの動向を完全分析! “デジタルイメージングコンファレンス2001”開催

2001年12月12日 21時08分更新

文● 別冊ASCII編集部 井上猛雄

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G.S.M.(株)は11日、“デジタルイメージングコンファレンス2001”を都内のホテルで開催し、北米およびヨーロッパ、日本におけるデジタルイメージング分野の市場動向について分析した。このイベントは米InfoTrends社による講演を中心にした有料コンファレンス。デジタルカメラおよびデジタルイメージングの市場動向、イメージングプラットフォーム、ワイヤレス分野の新技術などについて、各分野の専門アナリストが最新情報を公開した。

5年後にはデジタルカメラのシェアは半数以上に

まずはじめにInfoTrendsのMichelle Slaughter氏が、デジタルカメラ市場に関しての報告を行なった。このレポートは1000ドル(約12万5800円)以下のデジタルカメラを対象に分析したもの。2001年のデジタルカメラの台数は世界全体で1580万台。2001年は北米市場の景気減退が原因となり、デジタルカメラの成長率は減少している。しかし、5年後の2006年には5110万台となり、通常のフィルム市場とほぼ同等規模になるという。これを金額ベースに換算すると2001年は59億ドル、2006年には104億ドルとなる。複合年間成長率(CAGR)は12%と予測。なお台数と金額が同率で比例しないのは、デジタルカメラの平均価格が年々減少傾向にあるためだ。2001年に378ドルだった製品が2006年には204ドルまで下がるという。それでも5年後には金額ベースで現在の2倍の成長になる。

全世界のマーケットシェアは、ソニーが約18~20%でトップ、ついでオリンパス、富士フイルムと日本勢が続く。4位にはコダックが位置し、5位のキヤノンはシェアが伸びる傾向にあるという。2001年現在、地域的にマーケットシェアをみると、北米が40%を占め、日本が28%、ヨーロッパが26%となっているが、5年後には北米・日本のシェアが頭打ちになるため、相対的にヨーロッパのシェアが伸びる。イギリスにおいてシェアの高い富士フイルムや、ドイツにおいて力をもつオリンパスなどが牽引し、1690万台まで到達する。しかし、成長するマーケットに対して障壁もいくつかある。デジタルカメラのテクノロジーの進歩とデジタルプリンティングのインフラが整う一方で、世界経済を支える米国の不況や、ゲーム機などの新たなコンシューマー向け製品がデジタルカメラ市場を食う可能性があるためだ。

InfoTrends社のMichelle Slaughter氏

北米市場ではローエンドデジタルカメラは完全に崩壊

各地域での詳細情報については割愛するが、特筆すべきことは北米市場におけるローエンドのデジタルカメラ市場が今年後半に完全崩壊してしまったという報告だ。特に100ドル以下のローエンドモデルがマイナス72%と著しく減少してしまった。KB Gear社の『JamCam』(http://www.jamonline.com/jamcam/index.html)、インテル社の『Pocket PC Camera』(http://www.intel.co.jp/jp/home/products/pccamera/pocket.htm)のほか、RCA、Agfaといったメーカーもローエンドモデルの撤退を表明している。

そういった厳しい状況の中で、北米では一部落ち込みがあるものの、トータルでは2004年までに1000ドル以下のデジタルカメラは15%(CAGR)ずつ伸び、価格帯も平均400ドルから300ドルぐらいの製品に収束していくと予想されている。したがって今後はこの価格帯の製品が伸びてくるだろう。さらに、これをデジタルカメラの解像度別に考えてみると、ユーザーニーズとベンダーの供給で若干の温度差が出てきているらしい。ベンダー側は高解像度モデルを市場に積極的に投入しようと考えているようだが、ユーザーは価格帯だけを気にかけている。400万画像、500万画像といった高解像度モデルの需要は約5%程度にすぎない。100万画像、200万画素のデジタルカメラに人気があるのは手ごろな価格帯のためであり、300ドル(約3万7000円)以下という低価格ラインに300万画素クラスのモデルが登場するにつれ、このクラスの需要も増加していくと予測される。InfoTrendsの話では、200万画像から300万画像クラスのデジタルカメラは2001年に37%、2003年に45%、2004年に54%に推移するという。

2002年に登場するMatrix Semiconductor社のメモリーカードに注目

解像度が大きくなると、「画像を保存するリムーバブルメディアのコストや、画像管理をどうすればいいのか?」といった問題も出てくる。現在、スマートメディア、コンパクトフラッシュ、メモリースティックといったメディアがあるが、同社ではMMC・SDの動向にも注目しているという。また外部メモリを付属しないことでパッケージの価格を下げるといった、ベンダー側の工夫もみられるようになった。一方、2002年にはライトワンス型のメモリーカードも登場する。これはMatrix Semiconductor社のメモリーカードで、標準的なフラッシュフォーマットを採用し、大容量かつ低価格を実現するもの。フィルムの代替用途として活用できるかもしれないと期待がふくらむ。

また、デジタルカメラのインターネット接続性はホットな話題ではあるが、「この分野はそれほど盛り上がらないだろう」という。この分野はデジタルカメラにモデムが内蔵されているもの(編集部注:リコーのRDC-i700はP-inComp@ctなどを使用できる)、ワイヤレス機能が盛り込まれたもの(編集部注:kesselの子供向けPDA『WaveBack』は無線で動画の伝送も可能。http://www.kessel.com.hk/pt_10328.html)、モバイルフォンやPDA、そしてイメージキャプチャリングのためのアタッチメントなどがある。特にPDA系での使いこなしに関しては熱狂的なデジタルカメラファンには支持されるだろうが、一般ユーザーのあいだで爆発的な盛り上がりは期待できない。

NON-PCユーザーのためのデジタルイメージング・プラットフォームとは?

では、まったくPCを使用していない“NON-PCユーザー”の場合はどうなのだろうか? この点について、InfoTrendsのKiristy Holch氏が登壇し、状況を分析した。米国では、デジタルカメラを持っている90%のユーザーは家庭にPCを所有しているという。デジタルカメラの画像を編集するためにはPCが欠かせないからだ。さらにPhotoシェアリングなどのWebサービスを利用するためにはインターネットに接続する必要がある。つまりデジタルイメージングの世界では、画像データのキャプチャリング、ストレージング、シェアリングという3つのファクターが円環(PC Based Photo Cycle)のように結び付いているため、PCの需要が伸びなければデジタルカメラの需要も伸びないという構造になっている。
先に説明されたように北米でのPC市場は60~65%で飽和状態に達するという見方もある。PCを使用しない残りのNon-PCユーザー世帯の場合は、安価なハンドヘルドデバイスなどのアクセス手段が出てこない限り、インターネットに接続してまでデジタルプリントやフォトシェアリングなどのサービスを受けようとしないというのが一般的な見方だ。Kiristy Holch氏は、こういったユーザー層に対してイメージングアプライアンスが将来的に重要になってくると強調する。

たとえば、お茶の間で一番浸透しているTVはプラットフォーム足りえるのだろうか? その答えは「YESだ」と、Kiristy Holch氏はいう。なぜならば家電経由でデジタルイメージングを見るという観点から考えれば、TVはビューイングデバイスとして使用でき、先の“PC Based Photo Cycle”に組み込めるからだ。ただし、解像度やリモコンの操作性の問題、ユーザーがTVで画像データを観ることに慣れていないといった問題もある。この点については、DVDプレーヤーやSTBなどを利用すれば一部の問題は解消できるという。

InfoTrends社のKiristy Holch氏

Kiristy Holch氏は、これらのうち「DVDプレーヤーが最有力候補だ」と強調する。今年5月の電話調査によると、米国ではDVDプレーヤーは19%のシェアを占めている(TVは98%、PCは58%、大画面TVは40%)。また、コダック社が2006年までにすべてのDVDプレーヤーと互換性をもつ“Kodak Picure CD”(KPD)規格のキャンペーンを展開し後押ししていることもある。Apex、Philips、Vialtaといったメーカーも協調し、その推進に一役かっている。短期的に観ると、「DVDプレーヤーがTVのイメージングプラットフォームとなり、5年以内にSTBによって、さらに優れたイメージングプラットフォームが構築される」というシナリオである。

モバイル&ワイヤレスによる画像と動画のイメージング伝送

モバイル&ワイヤレスによるイメージングについてはどうだろうか? 続いて、同社のLia Schubert氏が登壇し、その分析結果を発表した。このセッションは、280万人ものiモードユーザーを擁する日本にとって興味深い事例かもしれない。ただし、多くの障壁があることも事実だ。高画質データを伝送するためには、高速な転送速度が必要である。これらはいつもトレードオフの関係にある。伝送帯域が狭いこと、伝送コストが高いこと、(特に米国では)データサービスが少ないことなどが大きなネックとなる。Lia Schubert氏はモバイル&ワイヤレス分野におけるキープレーヤとして、“イメージングハードウェア”、“ソフト”、“バックエンドのインフラとしてのプロバイダー”という3つのカテゴリーを挙げ、それぞれについて言及した。

ハードについてはカメラ内蔵の携帯電話(Nokiaの『7650』、NTT DoCoMoの『FOMA』、J Phoneの『J-SH07』)、デジタルカメラアタッチメント(カシオペア用のカメラ『JK-710DC』、Handspring用の『Eyemodule』、Kodakの『PalmPix』など)、ワイヤレスインターネット機能内蔵カメラ(リコーの『RDC-i700』、ソニーの『Network HandyCam』など)を紹介。また、モバイルイメージングソフトとして『Album2Go2.0 for PalmOS』や『Photo Suite Mobiile Edition』などを、さらにインフラプロバイダーとしては、米国最大のパーソナル移動通信システム会社・SprintPCSと手を組んで事故現場の写真を保険会社に送る“ActivePhoto”などを紹介した。ただし、こういった携帯電話やPDAによるイメージ伝送が米国内で本当に需要があるのかというと、実際の調査では「ほとんどの人が興味なし」という結果(79%)。コンシューマーレベルでの、イメージ伝送に関する浸透にはまだ時間がかかりそうだという予測で終わった。ウェブ上でのデジタルビデオに関する調査も同様で、「帯域の問題でむこう5年間は実現しそうにない」という結論となった。

InfoTrends社のLia Schubert氏

オンラインフォトサービスの新しい方向性と将来

オンラインフォトサービスに関しては、先のモバイル&ワイヤレス関係の分析結果を発表したLia Schubert氏が再び登壇。まずこのサービスが“クリティカルマス”に到達した'98年から2000年前半までの経緯について解説を行なった。当時は、この手のサービスをするたくさんの企業があり、総計1億ドル(約125億8000万円)以上ものベンチャーキャピタルを調達できた。市場におけるマーケット活動が急速に伸びた時期だった。オンラインのDPEや、フィルムのデジタル化、アルバム管理、Webページ編集(写真のふち飾り、フォトカードなど)の差別化などが行なわれ、各社がそのサービスに凌ぎを削った。しかし、それ以降はビジネスモデルがガラリと変わる。ITバブルが崩壊し、収益の問題が表面化したからだ。サービスもB2CからB2Bへ向かう。無料のプリントサービスがなくなり、オンラインフォトサービスの整理統合が進んだ。現在、オンラインフォトサービスは、消費者との継続的なサービスを続け、製品を紹介し購入してもらうためのひとつの手段となっている。

フォトシェアリングサービスに関しては、YAHOO! PHOTOSを利用するユーザーが最も多いという。インターネットユーザーのうち約20~30%がこういったサービスを利用しているが、彼らは必ずしも継続的なユーザーというわけではない。デジタル写真をオンラインでアップする目的は、家族や友人と写真を共有したいという場合が多い。しかし、実態としては、オンラインフォトサービスの経験がないユーザーはこういったサービスを使いたがっていないようだ。ウェブ上に乗せたあと無責任にダウンロードされたらどうするか? などプライバシーの問題(42%)があるためだ。また、ドットコムがつぶれてしまう可能性もあり、アップした画像を永続的に保管できないといった消極的な理由も挙げられた。

しかしながら、オンライン・フォトサービス市場は新たな発展の局面に向かいつつあるようだ。フォトWebサイト数は2001年の652から2006年で2720へ(CAGR33%予測値)、オンライン・フォトフィニッシングの収入も3290万ドルから30890万ドル(CAGR57%予測値)へ変化するという。現在では、収益性を挙げるためにストレージなども使える会員制度を導入しているところもある。具体的には会員費10ドルから、ストレージなどはMBあたり7~30セントを徴収するサービスも出てきている。また、画像CDを焼いたり、フレームなどを付けた写真入り出力グッズなどのサービスを行なって集客するWebサイトもある。

オンラインで注文し、リテールで受け取る“複合サービス”も

最後に、「デジタルイメージングプリントをどこで行なうようになるのか?」という問題に対して、家庭内/オンライン/リテール(小売店)という場所に分けて、それぞれ分析が行なわれた。インターネットユーザーの場合は、ほとんどがプリンタを所有しているので、わざわざリテールでプリントするという人はあまりいない。この傾向を変えていくことは難しいが、「サービスの満足度を訴求していくことが必要だ」と説いた。また、オンラインのプリンティングについては、インクなどの消耗品をストックする必要がない、オンラインの共有サービスなどのメリットがある反面アップローディングの時間がかかる、ブロードバンドの普及率がまだ少ないので受け取り時間がかかるなどのデメリットについても指摘。こうした問題については、オンラインで注文し、リテールで1時間後に受け取るといった“複合サービス”が出てくれば解決できるとした。

質問コーナーでは、実際にプリンティングサービスを行なう業界関係者から「ユーザーにプリンティングをしてもらえるようにするにはどうしたらよいか?」といった具体的な質問も飛び出した。デジタルイメージングプリントの認知度は高まってきているものの、ユーザーはリテイルでプリントをしたいと思っていないようで反応はまだまだ鈍い。この点については、「大量にプリンティングをしなければならない場合はリテールを使う必要があるし、少量の場合はホームプリンティングが主流になる。ケースバイケースで使い分けが必要になってくるのではないか? 」との回答があった。コンファレンス参加者は実務に関わるメーカーやサービスの関係者が多く、こういった質問に対し熱心に耳を傾けていた。

また、これ以外にも最新デジタルカメラユーザーの動向調査報告(調査期間11月16日から26日まで)や、パネルセッション(PaintShopProなどで有名なJASC Software社と、高性能CMOSイメージセンサーを開発したPVS社による)、各メーカーによる展示品のデモンストレーションなども行なわれ、“デジタルイメージングコンファレンス2001”は盛況のうちに幕を閉じた。

メーカーの製品展示もいくつかあった。パネルセッションで登場したPVS社の高性能CMOSイメージセンサーのデモ。
台湾のPacificImage社によるスキャナーの展示。コンシューマー向けの『PrimeFilm1800u』(写真左 解像度1800dpi)、プロ向けの『PF3600』(写真中央 解像度3600dpi)

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