大ヒットした「IXY DIGITAL」の後継機は「IXY DIGITAL 300」かと思っていたのに、何と隠し球が存在した。本家、IXY DIGITALが「IXY DIGITAL 200」として生まれ変わって登場した。その名前からもスペックが容易に想像できる。「300」が光学3倍ズーム、「200」が光学2倍ズームを採用した製品だ。
原色フィルタと新映像エンジン
記録画素数は1600×1200/1024×768/640×480ドットの3モードから選べるように仕様変更された。 |
2000年5月に発売されたIXY DIGITALは、デジタルカメラとしては異例の売り上げを記録し、コンパクト型デジタルカメラのひとつの方向性を示した画期的な製品だ。2001年4月に発表された同 300は、サイズが一回り大きくなり3倍ズームを搭載したが、今回発表されたIXY DIGITAL 200は、旧モデルに比べCCDサイズ、画素数、本体サイズ、重さは変わらず、2倍ズーム搭載のコンパクトなボディも健在。つまり、「300」と「200」の大きな違いは、ズーム比とボディサイズのみだ。
IXY DIGITAL 300、200と立て続けに新製品を投入したことによって、キヤノンの200万画素機は、
- 3倍ズーム搭載のベーシックモデルPowerShot A20(5万6000円)
- 2倍ズーム搭載コンパクトモデルIXY DIGITAL 200(7万2000円)
- 3倍ズーム搭載コンパクトモデルIXY DIGITAL 300(8万5000円)
という価格帯・機能別のラインナップとなった。
IXY DIGITALに比べると、同200はインターフェイスに若干の変更が加えられている。装備するボタン類に変わりはないものの、メニュー構成の変更により、インターフェイスは同社の上位モデル、300万画素「PowerShot G1」のような操作性に変更されている。基本的にはIXY DIGITAL 300と共通だ。
スリムな上面部。シャッターボタン周囲のモードスイッチなど、基本デザインはIXY DIGITALと共通だ。 |
使用しているレンズは旧モデルと変わらず、35mmフィルムカメラ換算で35~70mm相当の光学2倍ズームレンズ。レンズは沈胴式で、電源OFFの状態で本体内に収納される。レンズカバーも電源に連動しており、汚れや指紋の付着からレンズを守っている。
CCDは総画素数211万画素のままだが、フィルタタイプが「補色フィルタ」から「原色フィルタ」に変更されている。補色フィルタは原色フィルタに比べ感度が良く、色の階調表現幅が広いのが特徴で、小型化が進む現在までのデジタルカメラで、多くのメーカーが採用してきた。
電源を入れると沈胴式レンズが前にせり出す。 |
しかし最近はカメラ内部で行う画像の処理技術が向上してきており、原色フィルタでも補色フィルタ並の感度と色の再現幅を得ることができる。また、元々原色フィルタのほうが補色フィルタに比べ色の再現性が高く、鮮やかな発色をするという特長がある。特に200万画素クラスでは顕著で、IXY DIGITAL 300や、オリンパスの「C-700 Ultra Zoom」も同様に原色フィルタを使っている。
カメラ本体は専用充電池「NB-1L」が付属する。外出先でのバッテリ切れに備えて予備電池は不可欠だ。 |
CCD方式以外の大きな変更点は、音声付きの動画記録モードが追加されたくらいだ(MotionJPEG形式)。フレームレートは毎秒20コマ。記録サイズは640×480/320×240/160×120ドットから選べ、各約4秒/10秒/30秒間の記録が可能になっている。記録メディアの容量が許す限り、連続撮影ができればよかったが、内蔵するバッファメモリの容量と価格の折り合いがつかなかったのか、その点だけが残念でならない。
一方、スペックに表れない部分も、かなりの手が加わっている。IXY DIGITAL 300で採用された「新映像エンジン」の搭載で画質の向上以外にも内部処理の高速化や、先代ではいまひとつ持ちの悪かった電源の問題も省電力化により改善され、液晶モニタON時では従来比1.4倍の約120枚、再生時間も従来比約1.7倍の約85分と、持久力がアップしている。