17~19日にロサンゼルスで開催された、ゲーム関連トレードショー“Electronic Entertainment Expo(E3)”、ソフトハウス各社が一押しのラインアップを大公開。日本でも人気の注目タイトルを紹介する。
●エレクトロニック・アーツ
育成シミュレーションからスポーツモノまで、多彩なプラットフォームで非常に豊富なラインナップを取り揃えている米エレクトロニック・アーツ社(EA)ブース。
目玉は世界的ベストセラーとなっている児童小説『ハリー・ポッター』シリーズを元にした一連のタイトルで、PC(アクションADV)、GAMEBOY COLOR(パズル)、GAMEBOY ADVANCE(RPG)、PlayStation(アクションアドベンチャー)とプラットフォーム別の内容で登場予定だ。いずれも小説の第1作目からタイトルを取り、原題は『Harry Potter and the Philosopher's Stone(邦題:ハリー・ポッターと賢者の石)』。映画が2001年12月に日本公開となることも決まっており、原作の人気と併せて、日本国内でも注目されそうだ。
エレクトロニック・アーツ『Harry Potter and the Philosopher's Stone』(画面はPC版) |
EAブースの中でも、特にデモムービーコーナーが猛烈な混み合いを見せていたのが、『Medal of Honor Allied Assault』。第2次大戦を舞台にした1stパーソンッビューシューティングゲームで、史実に基づいた20以上のミッションと、多彩な武器が魅力だ。強襲揚陸艇による海岸上陸作戦のムービーは圧巻。
EA『Medal of Honor Allied Assault』 |
●アイドス・インタラクティブ
3Dアクションゲーム『トゥームレイダー』シリーズでおなじみ英アイドス・インタラクティブ社ブースには、今年は我らがララ・クロフト嬢はおこしにならなかったものの(映画の登場間近!)、ゲームタイトルは非常に充実し、特にPC用シミュレーションゲームは非常に熱いラインナップとなった。
まずは昨年のE3でも登場していた『COMMANDOS 2:Men of Courage』。数人編成の部隊を操り、強襲、捕虜救出、潜入などのミッションに挑む、第2次大戦モノのリアルタイムストラテジーゲームだ。素早い視点切り替えが可能で、非常に細部まで描かれた美麗3Dフィールド、豊富なアニメーションパターンを持つ登場キャラクター、敵の視覚や聴覚の虚をつくように隠密行動を行うスリル、隊員ごとのスキルを生かした作戦構成など、魅力タップリの期待作だ。今回のE3で公開したバージョンでは、窓から各隊員が建物の中を覗きこんだ際に見える映像を映し出すミニウィンドウが追加されていた。米国では来月にも登場、日本語版は秋の予定。
アイドス『COMMANDOS 2:Men of Courage』 |
同じく昨年のE3で一部プレスのみに公開された『REPUBLIC:THE REVOLUTION』もだいぶ開発が進んできており、昨年同様、開発元の英Elixir Studios社のデミス・ハサビス(Demis Hassabis)氏(若干23歳の天才プログラマー/ゲームデザイナー)が自らプレス限定の説明会を行なった。
本作はソビエト連邦崩壊後のロシアをモデルとしたシミュレーションゲーム。プレイヤーは共和国大統領を目指す政治家となり、小都市の行政長からスタートし、政界での地位をステップアップさせていくわけだが、産業の構築や人心の掌握、政敵との戦いなど、都市育成や政治工作、暴力行為など複数の要素を含んだ非常に複雑なゲームだ。都市の住民(総勢100万人になるという)は、すべて個別のパラメータ(名前、職業、グラフィックス、支持する政治家、現在の欲求など)とAIを持ち、プレイヤーが行ったアクションに対し、さまざまな反応(支持の増減、町の活性化など)を返してくる。また、グラフィックスの緻密さも非常に高いもので、街の各建物の内部、さらにそこに置いてある物まで細かく書き込まれているあたりは圧巻だ。
アイドス傘下のゲームスタジオ、Elixir Studiosのデミス・ハサビス氏。『Sim』シリーズや『Black&White』も手がけた、天才プログラマー/デザイナーだ。経験豊富ながらまだ23歳と若い |
今年のバージョンでは、キャラクターのAIや、ゲームのアクション(政治工作など)の多数が実装され、かなりゲームとしての動きが見られるところまで来ていた。ただ、ハサビス氏曰く「あと10ヵ月」とのことで、アイドスは2002年春発売予定としている。非常に多くの要素が盛り込まれた超巨大タイトルだけに開発には長い年月がかかっているが、期待して待ちたい。
アイドス・インタラクティブ『REPUBLIC:THE REVOLUTION』。アタッシュケースを持った非常に怪しいこの男は、町の人民に強い影響を与える“司祭”を買収するために送り込まれた人物(ホントに怪しい)。このほか、暴力で威嚇したり、ヒットマンを送り込んで暗殺したり、ということも可能。これらの行動と結果により、人民の支持にもさまざまな影響がおよぶ。 |
PC用シミュレーションゲームで今年新登場のタイトルは『PRAETORIANS』と『Trade Empires』の2本。PREAETORIANSは古代ローマを舞台としたリアルタイムストラテジーゲームで、いわゆる『Age of Empire』ライクなソフトだが、文明や都市を育ててユニットを作成し……と言う部分を一切排除して、ひたすら“戦闘”だけにスポットを絞ったソフトだ。大量のユニットが城を攻防し、近接武器や弓矢、さらに投石器や大型怒弓まで、さまざまな武器が飛び交う戦闘シーンの迫力は圧倒的だ。一方の『Trade Empires』は、直接的な戦闘行為をなくし、商業活動を目的としたリアルタイムシミュレーションゲーム。プレイヤーは交易先の拡大やそれにともなう交易路の整備などを行いながら、商業界の制覇を目指す。舞台は古代~産業革命期におよび、時代に適した産業育成や交通手段、交易品の活用がポイントとなるようだ。登場予定はPREATORIANSが2002年春、Trade Empiresが2001年秋。
アイドス・インタラクティブ『PRAETORIANS』 |
アイドス・インタラクティブ『Trade Empires』 |
●マイクロソフト
『Xbox』が大々的に紹介されまくっているマイクロソフトだが、PCゲームも例年どおり良作揃いだ。新登場のビッグタイトルとしては、リアルタイムストラテジーゲームの先駆け『Age of Empire』シリーズ最新作の『Age of Mythology』。もはや説明不要なAoEシリーズの基本スタイル(世界観、操作性、グラフィックスなど)をベースに、それらをさらに深めていった作品で、従来のAoEファンも初挑戦のユーザーも楽しめる内容になっているという。数々のフォロアーが登場しているリアルタイムストラテジーゲームだが、やはり本家本元は一味違う?!
マイクロソフト『Age of Mythology』。グラフィックスも順調に進化し、非常に美しく迫力のあるゲーム画面だ |
マイクロソフト『Age of Mythology』。インターネット対戦機能も強化され、近いレベル/プレイヤースキルの対戦相手が見つけられる新システムが組み込まれている |
●Gathering of Developers
昨年と同じく、E3メイン会場の前にある駐車場を貸し切ってお祭り騒ぎの米Gathering of Developers社(GODGAMES)。すでに3回目のE3となった『Max Payne』が今年も大きく注目されていた。本作は、弾丸や薬きょうの1つ1つまで細かく描かれたグラフィックスと、スローモーションリプレイ(横っ飛びで敵の弾丸をよけながら銃を撃つ、といった動作が、映画『マトリックス』よろしくリプレイされる)を搭載した激しい戦闘シーン、ニューヨークの暗黒社会を舞台にした重厚なストーリーが魅力のシングルプレイ用アクションシューティングゲームだ。
昨年はデモ用のアクションシーンと街並みのグラフィックスぐらいしか見られなかったが、今年は実際のステージをプレイするプレゼンテーションが実施され、一連の動きの中で発生するスローモーションリプレイや、主人公の動きに合わせ発動するさまざまな地形の変化(爆発で柱が倒れて新たな通路ができたり、炎が燃え広がって道がなくなったり、など)が見られたほか、各ステージの間に挿入されるマンガ仕立てのストーリームービーなども実装済みとなっていた。気になる発売時期は2001年7月と本当にもうすぐのようだ(ただ、開発が延びに延びているだけにまだ油断できないかもしれないが……)。なお、日本ではP&Aから、7~8月に登場する。時期こそ未確定だが、デモ版の配布も計画されているそうだ。
Gathering of Developers『Max Payne』 |
さて、Max Payneが話題になることがすっかり多くなったGathering of Developersだが、ワタクシ“Duke”内田的には、やはりG.O.D傘下のスタジオのひとつ、米3D Realms社の看板タイトル『Duke Nukem』のPC版最新作『Duke Nukem Forever』がどうなっているのか? というのが最も気になるところだ。昨年は「見せられないけどすごいことになってるから、期待してくれ」とのコメントが取れたのだが、あれから1年、現状はどうなっているのかというと……なんと今年もムービーのみのデモで、実際にPC上で動作しているものは一切見せられない、とのことだった。相変わらず非常に心配なDuke Nukem Foreverだが、いよいよ今年の10月にはリリース予定という発表も行なわれており(別途コメントをいただいたところ、12月~2002年初頭が有力、とのことだった……)、例年どおり何とももどかしい状態となっている。日本での発売元は、Max Payneと同じくP&A。なお、会場でデモムービーが納められたDVDが配布されたので、詳しい内容はまた後日お伝えする。
イベント会場横のビルに貼ってあったDuke Nukemのイラストが掲載された『PC GAMER』誌の表紙をあしらった巨大壁紙。お願いですからそろそろ出てきてください、マッチョの旦那(泣) |
このほかにも、注目タイトル、期待できそうなタイトルをまだまだたくさん会場で発見している。今回は速報版ということで数本のみしか紹介できないが、後日改めて各種タイトルをご紹介しよう。