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【東京ゲームショウ2001春 Vol.2】ゲイツ基調講演、新発表が盛りだくさん

2001年03月30日 18時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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今回の東京ゲームショウ2001春の目玉のひとつが、初日に行なわれた米マイクロソフト社会長兼チーフソフトウェアアーキテクトのビル・ゲイツ氏の基調講演だ。通常の会場内のメインステージではなく、ゲームショウ会場を出た別会場の幕張メッセイベントホールで行なわれた基調講演には、招待客や報道関係者などであふれかえっていた。

基調講演のゲイツ氏
基調講演に登場したビル・ゲイツ氏

壇上に登場したゲイツ氏は、冒頭に「Xboxの可能性はこれから本格的に展開する。日本はゲームビジネスの中心であり、一般家庭の4分の3にゲーム機が普及している。しかも移行の時期だ」と切り出し、まずXbox本体について説明した。

「733MHzのCPUやnVIDAIのグラフィックスユニット、256chのオーディオ機能、64MBのメモリーなど、われわれは最先端の技術をXboxに搭載している。もっとも驚くべき点は8GB(注:現在日本で公開されている本体仕様スペックでは、8GBから10GBに変更されている)のHDDを入れたことだ。HDDを利用することでさまざまな制約を排除できる。現在は過小評価されているがHDDの存在は大きい。また、Ethernetポートによりブロードバンドに対応している。ブロードバンドのために構築された最初のゲーム機だ。これにより本格的なブロードバンドゲーム時代が到来するだろう」

またゲイツ氏は、基調講演中、日本市場向けの特別仕様のXboxゲームコントローラーを初公開した。日本向けコントローラーは北米や欧州向けコントローラーより小さ目に設計されており、ボタン配置も異なっている。左右のアナログスティック“Dパッド”、左右上方のトリガー、6色の高感度アナログボタン、2つのメモリーカードスロットが装備されており、ランブル機能も搭載する。コントローラーコードは3m以上。この日本向けコントローラーは、日本で発売されるXboxに付属する。

日本向けコントローラーを持って説明するゲイツ氏
日本向けコントローラーを持って説明するゲイツ氏。「とても小さい」とゲイツ氏は説明しているが、実物を見るとそうでもない。というより、欧米用のコントローラーがでかすぎ

ゲイツ氏は、日本向けコントローラーについて、「開発テーマはユーザーの意見を取りいれることだ。ユーザー調査を行なったところ、驚いたのが、日本市場においてコントローラーに対するフィードバックが米国と異なっていたことだ。コントローラーは長時間手に持つものだから快適でなければならない。しかしコントローラーにおいて世界のすべての市場の要求を満たすものはみつからず、ジレンマがあった。われわれが出した答えは、日本市場向けに特別コントローラーをリリースすることだ」と説明した。「日本向けコントローラーは非常に小さい、またボタンの位置に注意した。いかにわれわれがユーザーの意見を忠実に反映しているかという例だ」

日本向けと欧米用コントローラー
左が日本向けコントローラー、右が欧米用コントローラー。サイズがひとまわり小さくなったほか、ボタンの配置も変わり、他のゲーム機用コントローラーに近い操作性となっている

またゲイツ氏は、「われわれはワールドクラスのゲームスタジオを日本に作ろうとしている。日本市場で市場を意識したタイトルを開発してもらうための環境を作る」と語り、Xbox事業部制作統括部長の宮田敏行氏を紹介した。宮田氏は、SCEIの制作部を統括しPSゲームの制作を指揮していた人物。

宮田氏は「いろいろあってマイクロソフトに移ることになった。はっきり言ってマイクロソフトに移ってよかったと思っている(笑)。私のミッションは、日本で発売するマイクロソフトブランドタイトルを制作することと、米マイクロソフト本社から日本市場に合うタイトルをチョイスしてローカライズし、日本で発売すること、また日本で独自開発したタイトルを日本だけでなく世界に向けて発売することだ」と語り、タイトル制作環境について説明した。

宮田氏
Xbox事業部の宮田氏

宮田氏は「米本社ではたくさんのタイトルを開発中だ。現在700人の陣営で開発している。米国のタイトルは日本では売れないので、米スタッフに「米国のゲームは日本では売れない」とはっきり言った。ショックを受けたようだったが「では売れるにはどうしたらいいか」と前向きに取り組んでくれた。先日のGameStockでタイトル数本が紹介されたがよくできている」と語り、4本のタイトルを紹介した。宮田氏は「この4タイトルは日本でも発売したい。発売の際は日本語になおすだけでなく日本サイドの要望を入れる」としている。

また宮田氏は日本でのタイトル制作体制についても説明、「また、日本での制作体制を整える。現在のXbox事業部は70人程度の組織となった。内部で開発中のタイトルが3ライン、外部と共同開発しているタイトルが7ライン、計10ラインが制作中となっている。昨年10月末より開発を開始している。今後も日本での制作ラインを増やし、年末までに20プロジェクトを作りたい。すべてオリジナルのもので、オンラインに特化したゲームも作る」と語り、現在開発中のプロジェクトのひとつである『プロジェクト K-X』を会場で披露した。K-Xはマイクロソフトとドリームパブリッシングの共同開発による3D格闘ゲームタイトル。Xboxとの同時発売を予定しているという。

宮田氏は「私の夢は映画や文学、音楽のクリエイターたちがタイトル開発に参加してくれることで、質の高いゲームを作り、ゲームを娯楽文化にすること。実はこれはPSですでに実現されていたが、PS2に移った際、そのスピリットをどこかに忘れてしまった。このスピリットを受け継げるのはXboxであり、私はそうしたいと思って参加している。Xboxを娯楽文化と国際交流のエポックマシンにしたい」と語った。

ゲイツ氏は、昨日発表したNTTコミュニケーションズとの提携についてもふれ、「ブロードバンドの普及で協力する。ユーザーにとってシンプルなものにしたい。OCNブロードバンドサービス経由でADSLに接続できる。これは常時接続だ。24時間の接続体験ができるような環境を作りたい」と説明した。

新コントローラーやセガとの提携(別記事参照)といった、さまざまな発表を基調講演に盛り込んだゲイツ氏は、「われわれは日本市場にかけている。大きなチャンスが待っており、次のレベルにいかなければならない。われわれには技術基盤があり、これまでにない柔軟性を提供する。クリエイターには新しいキャンバスの上で活躍してもらいたい。パートナーシップや未来のビジョンを他社と共有することも重要だ。最初のPCラーンチ、最初のWindowsに感じた思いと同じものをこのゲーム機に抱いている。この潜在能力はファンタスティックなものだ」という言葉で講演を締めくくった。

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