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ようやく明らかになり始めたその実態とは?

プレスセミナーで見えてきた! XBOXハードウェアの実像

2001年04月03日 00時00分更新

文● 月刊アスキー 編集部 小西

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 1月30日、マイクロソフト本社にてマスコミ向けのXbox説明会「Xboxプレスセミナー」が開催された。セミナーでは、マイクロソフトでゲームデベロッパ向けサポート事業を行なう「アドバンスドテクノロジーグループ」(ATG)の吉岡直人氏(インタビューを掲載)によるXboxハードウェアの説明が行なわれた(図1)。これによると、従来XChipと呼ばれていたメモリコントローラ+ビデオチップは「XGPU」と称され、1GB/秒のフロントサイドバスでCPUに、6.4GB/秒のメモリバスで64MBのDDR SDRAMに接続されている。メモリバスは128bit幅で、バスクロックは400MHz(200×2MHz)となる。これはPCのメモリバスの2~4倍の速さとなる。

XboxとPS2のアーキテクチャ比較図
図1 Xbox(左)とPS2(右)の基本アーキテクチャの違い。PS2はCPUであるEmotion Engineが中心となり、ビデオチップとI/Oプロセッサが接続される。いっぽうXboxで中心になるのはビデオチップ兼メモリコントローラのXGPU(XChip)だ。グラフィックエンジンにNVIDIA社の「NV2A」を搭載したその構造は、Intel810のようなグラフィック機能内蔵チップセットによく似ている。ただしパフォーマンスは桁違いだ。I/Oプロセッサにあたる「MCPX」には、サウンド機能とHDD/DVDインターフェイス(ATA)、EthernetコントローラとUSB1.1のコントローラが集積される。XGPUとMCPXはともにNVIDIA社が設計を担当する。ビデオチップ専業だった同社が、このように複雑な複合機能プロセッサを設計したことはなく、一部には開発の遅れも不安視されている。HDDはWestern Digital社が供給する、シングルプラッタ(ディスクが1枚)の8GB HDD「WD Protege」を使う。なお同社のHDDはWebTVにも採用されている。

 Xboxのハードウェア概要図には、もう1つ面白い記述があった。XGPUにつながっている「MCPX」は、サウンド機能(APU)やHDD/DVDインターフェイスなどを集積したチップである。このMCPXとXGPUを結ぶバスは、それぞれが400MB/秒のバンド幅を持つ全二重のバスだというのだ。全二重のバスならば、XGPUからMCPXにデータを送っている最中でも、MCPXからXGPUにデータを送れる。たとえばAPUがサウンド再生のために大量のデータを受信している最中でも、HDDやEthernetからメモリへの読み込みは滞りなくできるわけだ。

 吉岡氏はXboxのグラフィック表現力について、ポリゴン数の競争ではなく、より深みのある絵作りへの転換がXboxでは可能になると述べる。その解説の一環として行なわれたデモでは、ぼかし(視点から遠いところに描画されるオブジェクトをぼやけたように表現する)の表現や影の生成をリアルタイムで実現してみせた。既存のゲーム機では困難、あるいは簡略されていたぼかしや影をリアルタイムゲームで実用的に使えるようになるなら、Xboxはより自然な3Dグラフィックを活用したゲームを作れることになる。ただしこの種の機能はPS2では絶対できない、というわけでもない。結局は機能を生かしたゲームが面白いかどうかが問われてくるだろう。

Malice(デモ画面)
この日出展されたXbox用アクションゲーム「Malice」(デモのみ)。精緻なキャラクタや背景のポリゴンモデルに、キャラクタの形に合わせた影など、Xboxの能力の一端が伺える。ただしデモそのものはハンマーを振り回す女の子がゴキブリを叩きつぶすという、いかにもアメリカンな代物。

 またこの場では日本では初めて、独立系デベロッパへの開発支援として「Xbox Incubator Program」と「Independent Developer Program」が提供されると発表された(詳細はインタビュー内参照)。これらのデベロッパ支援策が功を奏せば、Xboxには魅力的なアイデアにあふれたゲームが登場してくることになるだろう。こうした開発者支援の試みこそが、埋もれたアイデアを世に送り出してゲーム市場を活性化させる力となるのかもしれない。

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