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ATMフォーラム、幕張ギガビットセンターと文部省メディア教育センターの見学ツアーを開催

2000年02月25日 00時00分更新

文● 編集部 高島茂男

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ATMフォーラム*は24日、千葉・幕張にある幕張ギガビットリサーチセンターと文部省メディア教育開発センターを見学するツアーを開催した。幕張ギガビットリサーチセンターは、通信・放送機構(TAO:Telecommunication Advancement Organization of Japan)の超高速光通信網“研究開発用ギガビットネットワーク(JGN:Japan Gigabit Network)”のセンターの1つ。高解像度対応の映像伝送システムや、バーチャルスタジオのデモが行なわれた。もう一方の文部省メディア教育開発センターでは、大学間衛星ネットワークの紹介と、全方向に映像が投影される仮想環境研究施設の見学が行なわれた。

ATMフォーラム:ATM(Asynchronous Transfer Mode:非同期転送モード)の相互運用仕様の作成や推進を行なっている、非営利の国際団体。世界の約550社の企業や、政府機関、大学などが同フォーラムの会員となっている

隠れ工房?

幕張ギガビットリサーチセンターは、千葉・幕張の飲食店街“パルプラザ幕張”の中に存在している。外から見ただけでは、いったい何の施設であるのか判然としない。



外から見た、幕張ギガビットリサーチセンター

同施設には、JGNの超高速光通信網がきており、最大2.4Gbpsの伝送が行なえる。施設内には、通信を行なうための機器のほか、高解像度対応の映像伝送システムと、バーチャルスタジオが設置されている。



かなめのATMスイッチ

高解像度対応の映像伝送システムは、映画のフイルムをフイルムスキャナーにかけてエンコーディングしたものを、JGNのネットワークを通じて伝送し、通信機器に接続されたリアルタイムデコーダーを介して復号した2048×1024ドットの映像を100インチのスクリーンに投影するシステム。



100インチスクリーンを備えたスタジオ

このシステムでは、オリジナルの毎秒24フレームの映像を圧縮し、100Mbps程度にして伝送する。オリジナルの状態では、2~3Gbps程度。

東京大学の青山友紀教授は「興行側はコスト的な面からいって、この程度がちょうどよい。しかし、プロダクションサイドはこれでは満足しない。第1に色の再現性を重視し、走査線2000本でも十分ではないと言っている」と述べた。ショア映像歴史財団の技術最高責任者であるサム・ガストマン(Sam Gustman)氏は青山氏に「スピルバーグ監督であれば、6000本程度ないと満足しないかもしれない」と語ったという。青山氏は「しかし、アニメーションであれば、縦1024ドットで十分」「高解像度を実現するためには、その映像を再生するディスプレーや投影機側が高解像度に対応していく必要もある」と語った。


高知のスタジオ映像に幕張でCGを合成

バーチャルスタジオのデモでは、高知のブルーバックのスタジオ映像に、幕張でリアルタイムレンダリングしたCGを合成する実演が行なわれた。



バーチャルスタジオの調整室

仕組みは、まず、高知のスタジオに設置されたカメラの映像をMPEG-2エンコードし、JGNのネットワークを通じて、幕張に伝送する。幕張で受け取ったデータをデコードし、リアルタイムレンダリングしたCGと合成する。ブルーバックのスタジオには、白で格子模様が描かれており、その格子模様によりカメラの移動を感知し、CGもカメラの移動に同期して、パンする仕組みになっている。同システムを利用することにより、大きなセットがなくても、番組制作を実現できるという。



リアルタイムレンダリングに利用されている『SGI Onyx2』(手前)

文系の先生でも1人で制御できるスタジオ

文部省メディア教育開発センター(NIME:National Institute of Multimedia Education)は、放送大学の施設の隣にある。同センターは、高等教育におけるマルチメディアの利用を促進するための中核的機関(大学共同利用機関)で、教育の内容や方法などの研究や開発を行なっている。

大学間衛星ネットワーク(SCS:Space Collaboration System)は、'96年10月から運用されており、現在では全国140の大学に施設が設置されているという。NIMEがHubの役割を果たしており、回線制御を担当している。同ネットワークは講義や研究発表などに活用されており、'98年の実績で1000回2200時間の利用があったとしている。



大学間衛星ネットワーク用のスタジオ

同ネットワーク用のスタジオでは、先生が一人で映像や音声などを制御して、授業を行なえるようになっており、文系の先生でも1人で制御できるという。


回線制御を行なう機器が詰まったSCS制御室

“CAVE”と呼ばれるバーチャルスタジオ

仮想環境研究施設“TEELeX”(Tele-Existence Environment for Learning eXplorationVirtual Space)は、バーチャルリアリティー技術を利用した実験研究開発施設。教育教材開発や学習行動基礎研究専用の施設だという。同施設は、一辺3m程度の立方体の施設で、6面全てに映像が投影されるシステムになっている。



TEELeX


ジェットコースターの映像が投影されている様子


NIMEの杉本裕二教授によると、「JGNとTEELeXを接続して、離れた施設と共同で開発や研究が行なえるようになる予定」という。

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