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日本法人のレッドハットから出る初の製品「Red Hat Linux 6.1 日本語版」をレビュー

1999年11月17日 17時38分更新

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 Red Hat Linux日本語版の目玉の1つは、インストーラがグラフィカルになり、CD-ROMブートした直後にいきなりXベースのインストーラが動くことだ。インストールの手順そのものは大きく変更されたわけではなく、コンソール版のインストーラをそのままXに移植した印象だが、先進的なことをやろうという姿勢には好感が持てる。Caldera OpenLinuxも(まだ出ていないがCorel LINUXも)グラフィカルなインストーラを採用しているので、これからはXベースのインストーラが主流になるのだろう。デフォルトではないが、コンソール版のインストーラも用意されている。

 インストールに使用したマシンは、

  • ビデオカード: Riva 128
  • ディスプレイ: DELL D1726T-LS
  • NIC: PCIのNE2000互換
  • サウンドカードコントローラ: Ensoniq ES1371
  • PS/2接続の101キーのキーボード、Microsoft IntelliMouse Explorer

という構成の、比較的一般的な構成のマシンだ。インストールの手順は以下のとおり。

 CD-ROMからブートすると、左の画面まで自動的に進む。画面左に説明が、右に設定画面が表れている。説明がその場で読めるのはとても分かりやすくて便利だ。



 IntelliMouse ExplorerはIntelliMouse互換なので、「IntelliMouse (PS/2)」を選択した。これによって、XF86ConfigでのPointerのプロトコルが「IMPS/2」になると思ったのだが、インストール終了後に調べてみると、実際には「PS/2」になってしまった。これでもとりあえず2ボタンマウスとして使えるのだが、対応してほしいところだ。



 GNOME、KDE、サーバ、カスタム、アップグレードという5種類のインストール方法を選択できる。ここでは、もっとも柔軟な「カスタム」を選択した。



 Red Hat Linuxの目玉のひとつが、ソフトウェアRAID構成のディスクに対してインストールできることだ。試しにルートパーティションをRAID 2にしてみたが、まったく問題なく動いた。いまハードディスクの価格はかなり下がっているので、RAID 2/5で信頼性を高めてみるのも面白いかもしれない。



 おなじみのlilo設定画面。たいていデフォルトのままで進めるはずだが、「LILOをインストールしない」という否定形のチェックボックスよりも「LILOをインストールする」というラベルで、初めからチェックされているほうが理解しやすいだろう。改善してほしいところだ。



 「DHCPを使って設定する」「ブート時にアクティブにする」の両方をチェックすると、再起動したときからネットワークを使うことができた。PCIのNE2000互換カードでも特に問題は発生しなかった。



 地図からマウスで地域を選ぶことができる。Xベースのインストーラならではの機能だ。



 左の説明文では「確認用に同じ(rootの)パスワードを入力し、確認のボタンを選択します」と書かれているのだが、「確認のボタン」は存在しないので、しばらく迷ってしまった。オリジナル(英語版)のRed Hat Linuxでは、『「rootパスワード」と「確認」が一致すると「次」のボタンが有効になる』という記述があり、日本語版も同じ挙動をしたので、翻訳する際に間違えたのだろう。訂正を望みたい。



 認証の設定を行なう。NISを利用していない限り、ここはデフォルトで構わないだろう。



 「GNOME」「KDE」「Development」など、グループ単位でパッケージを選択できる。すべてインストールするには1番下の「Everything」をチェックするのだが、これはほかのパッケージグループと同じリストに入れずに、リストの外の、1番上に「すべてをインストールする」というチェックボックス(またはラジオボタン)にするほうが直感的でわかりやすいだろう。



 「個々のパッケージを選択する」をチェックすると、このような画面が表れる。



 ディスプレイのリストには、日本で出回っている型番があまり入っていないようだ。テストで使用したD1726T-LSという型番もなかったので、とりあえず「Generic Monitor」を選択しておいた。また、ユーザーインターフェイスの問題だが、「Xの設定を行なわない」というボタンは1番下に配置されているが、「Xの設定を行なう」というチェックボックス(またはラジオボタン)を1番上に配置したほうがわかりやすいだろう。



 前画面で「X設定のカスタマイズ」を選択すると、解像度と色数の設定画面が表示される。



 これで設定はすべて終わった。あとは待つだけだ。



 インストール中…。



 インストール完了。



GUIでインストーラは使いやすくなったか?

 GUIにより、インストーラが使いやすくなることに間違いはない。その点で、Red Hat Linux日本語版のインストーラはよく出来ているといえる。しかしいまのところ、ボタンの配置などの点で、CUIのインストーラをそのままGUIにしただけという感じはぬぐえない。Windowsのインストーラほど洗練されるにはもう少し時間がかかりそうだ。

 インストーラそのものにも多少の問題が見られた。たとえば、何度も戻って設定しなおすと、インストーラがあるタイミングでハングアップしてしまうようだ。また、前画面に戻っても同一の画面が表示されない不具合もあった。

「Xの設定」に戻ると、リストを表示する高さが足りないのか、ディスプレイのリストが見えなくなってしまった。

したがって、Red Hat Linux日本語版をインストールするときには、なるべく初めから終わりまで一気に進めるといいだろう。

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