国内の中小企業・SOHOルータ市場で大きなシェアを誇るヤマハルータの新製品「RTX1200」が登場した。熱対策などを意識した新筐体の採用のほか、ギガビット回線やワイヤレスWANへの対応など新基軸を次々と打ち出した意欲作だ。
いよいよギガビット対応 新筐体でポートは前面に
RTX1200は、同社の製品ラインナップでもっとも主軸となるRTX1000/1100の後継と位置付けられる製品だ。2002年に登場したRTX1000は、ADSLを前提とした高速な処理速度と、障害対策のISDNバックアップを搭載したモデル。ブロードバンド普及期の企業のニーズにマッチし、SOHOルータの定番となった。そして、2005年にはFTTHの普及とともにパフォーマンスを増強したうえ、ベストエフォート回線での通信品質の向上を目指したRTX1100が登場。そして2008年、いよいよ満を持して登場したのがRTX1200である。
まず外見を見ていこう。RTX1000からほとんど変更のなかったRTX1100に対し、RTX1200では筐体を一新している。RTX1000/1100は、前面にLED、背面にポートという構成だったが、RTX1200ではポートが前面に来た。
また、6つだったLANポートは、RTX1200では10ポートになっている。これらはすべてギガビット(1000BASE-T)に対応。うち8ポートはスイッチングハブになっており、全部で3セグメントのルーティングが可能になっている。ISDNや専用線を収容するS/T点端子は継続して搭載しており、バックアップ回線としての利用も行なえる。
さらに携帯電話との連携を想定したmicroSDスロットが搭載されている点にも注目したい。microSDを使うと、たとえば設定ファイルやファームウェアを携帯電話経由でmicroSDにダウンロードし、それを本体に挿して、起動させるといったことが可能になる。また、障害時にログを収集したり、バッチファイルを実行したり、といった処理も行なえる。すぐ横にあるUSBポートでもUSBメモリを用いて同様の処理が行なえるが、さらにUSBポートを使うことにより高度な携帯電話との連携も可能だ(後述)。
筐体の奥行きが伸びているのは大きな変化だ。これは電子基板と電源を完全に分離し、それぞれをヒートシンクで覆っていることによるもの。重さも1.5kgと、RTX1100に比べて倍増している。どこでも置けるコンパクトさが売りだったシリーズだけに、これに関しては正直賛否両論あろうが、ファンレスを実現した点は評価したい。新たに温度計も搭載しており、コマンドやSNMP等での値の取得が可能になっている。
消費電力に関しても、同等スペック製品に比べてかなり低い16Wを実現。使用しないポートを停止したり、給電を停止するなどの処理も行なえる。
すべてにおいてスペック底上げ 高いパフォーマンスが売り