豊かな情報量を表現するための高性能パネル
たとえ豊かな色信号を再現しても、パネルの表示能力が追いつかなければその色は再現できない。最悪の場合、色再現が破綻してノイズになってしまうこともある。このため、プラズマパネルも構造から一新した。
最大の進化ポイントは、新採用の「ダイナミックブラックレイヤー」だ。予備放電を従来の3分の1に低減して黒色の再現性を向上した。
予備放電とは1秒間に何千回ものプラズマ放電を繰り返すための言わば「種火」。ただしこれは、本来発光する必要がない黒の表示部分でも、予備放電のためにわずかながら画素が発光することを意味している。この予備放電をいかに少なく抑えるかが、プラズマテレビの暗部再現を大きく左右するのだ。
そして、暗さ方向だけでなく明るさ方向の改良も加わる。プラズマパネルは画素と画素を「リブ」と呼ばれる枠で仕切っていて、パネルを拡大してみると各画素が黒い枠で分割されていることがわかる。
この黒枠は一般的な視聴距離で視認できるほどのものではないが、発光しない部分であるため、画面全体の明るさに影響する。
そこでリブを細くし発光する画素の面積を拡大した。さらに新開発の蛍光体と組み合わせることで発光効率を向上し、より明るい映像の再現が可能になった。明暗の幅の広さを示すコントラスト比は3万:1となり、深い黒と鮮明な輝きをリアルに再現する。
「金色」へのこだわり
単純な明暗だけでなくRGB各色の明暗の再現の幅も広がり、暗いシーンの色再現やよりリアルな色再現が可能になっている。
その映像を見てみると、鮮明な色の美しさがまず印象的。深みのある赤といった原色の鮮やかさもさることながら、中間色の生き生きとした再現が魅力だ。
ただ、画作りでこだわったのは「金色」の再現だという。金色を構成する黄色の再現自体がかなり難しく、単に色を濃くするだけでは赤や緑に偏ってしまがちだ。しかもそこに金属の光沢感が加わると、黄色の微妙な色再現まで必要になる。
「金というのは、多くの映画の中で富みや栄光といったものの象徴として使われます。その金が安っぽくなってしまえば、映画の中での意味も薄れてしまいます」と、山口さんは胸を張る。
確かにこの重厚な金の輝きは、ほかのテレビではなかなかお目にかかれない。こうした色へのこだわりは金だけにとどまらないはず。映画の中における色の意味までも追求した画作りが「シネマライブ画質」を完成させたのだろう。
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