パナソニックは大画面に有利なプラズマ陣営を牽引するメーカーだ。同社の薄型テレビ「VIERA」では、高いコントラストや優れた動画応答性といった高画質をさらに練り上げて、今秋では映画の美しい再現にこだわった「シネマライブ画質」をアピールしている 。
シネマライブ画質のキーとなる高画質技術が新開発の「ハリウッドカラーリマスター」について、パナソニックの山口耕平氏に詳しく聞いてみた。
なお、製品ラインアップなどはこちらの記事を参照のこと。
ハリウッドの研究開発がそのまま「VIERA」に
もともとパナソニックは2001年に設立されたPHL(パナソニックハリウッド研究所)で、ハリウッドの多くの映画会社とともに映像技術の研究・開発をしている。
Blu-ray Disc(BD)のソフト制作のサポートやエンコード技術の開発などにも関わっており、BDに採用された動画形式の「MPEG-4 AVC ハイプロファイル」の制定でも大きな実績を持っている。PHLのさまざまなノウハウが「ハリウッドカラーリマスター」そのものだと言ってもいいだろう。
その仕組みをおおまかに説明すると、BDのマスタリング時に圧縮して記録された色域の信号を、オリジナルのデジタルシネマと同じ色域に戻すというもの。これにより、民生機器用のHDTV規格よりも色域の広いデジタルシネマと同じ豊かな色再現が可能になる。
しかし、これは言葉でいうほど簡単ではない。色域の圧縮はハリウッドの色の専門家(カラーリスト)が監修するが、HDTV規格の色域をはみ出してしまった色を単純に押し込めるのではない。豊富なノウハウと視聴により、家庭用テレビ規格の狭い色域の範囲内でもデジタルシネマに近い色が楽しめるように精密な調整をするのだ。
圧縮された色域を元に戻すには、カラーリストが指定した色域圧縮のプロセスと逆のことをする必要がある。そのためにカラーリストの色調整のノウハウや感性をデータ化した「カラープロファイル」を作成。これによって、圧縮された色信号を正しく元に戻せるようにした。
そして、正確な色調整をするために、実際にハリウッドのカラーリストが使う色調整機器と同等の調整能力を持つ「3次元カラーマネジメント回路」を搭載した。
このほか、18bit信号処理で階調をきめ細やかに再現する「デジタルカラー・リアリティ」技術など、数々の高画質技術を盛り込むことで、映画の美しい色やなめらかな階調表現を実現している。
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