マイクロソフトの仮想化戦略の売りは、「Microsoft Virtualization 360」という戦略名が示すとおり「全方位」だ(関連記事)。マイクロソフトなら、サーバーからデスクトップ、アプリケーション、プレゼンテーションと、あらゆるレイヤーで仮想化を実現できるというわけだ。

マイクロソフト ビジネスWindows本部 マネージャーの東條英俊氏
Hyper-VやSystem Centerについてはこれまでも説明する機会が多かったので……、ということで、10月24日、クライアントサイドの仮想化について説明するプレスセミナーが開かれた。
マイクロソフト ビジネスWindows本部 マネージャーの東條英俊氏は、「PC環境を考えたとき、ハードウェア、OS、アプリケーション、データやユーザー設定といったレイヤーは、それぞれ密接な結びつきがあります。しかし、ユーザーの立場からは、これが弊害になることがあります」と切り出した。
通常、企業ユーザーはPCを4年から5年のサイクルで交換するが、たいていはハードウェアからOS、アプリをすべて同時に見直すことになる。それぞれに密接な結びつきがあり、切り離せないためだ。OSだけアップグレードするとか、アプリケーションだけを交換したいというニーズがあるにもかかわらず、なかなか対応できないという実態がある。「そこで仮想化テクノロジーを用いて、結びつきを解放する、というのが仮想化の本当の狙いになります」と東條氏は語る。各レイヤーを切り離すことで、Windows Vistaや、Windows 7という次世代のOSを見据えた新しいアプリケーションの移行(更新)方法が見えてくるという。
各レイヤーを切り離すと、アプリケーション更新の投資を平準化できるというメリットも生まれる。従来、PCの入れ替え時に更新コストが急増していたものが、仮想化により、平準化できるというわけだ。「アプリケーションの仮想化こそ、次世代のアプリケーションの移行に関する新しい手法」(東條氏)だというのがマイクロソフトの考えだ。
(次ページ「クライアントの仮想化を実現する2つの技術」に続く)
