サーバ仮想化ソフトウェア「Hyper-V」の仕組みや使うためのテクニックなどを、マイクロソフトの専門家がQ&A形式で答えます。今回はHyper-Vが対応するOSやアプリケーションについて聞きました。
答える人:マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 エバンジェリスト 高添 修氏
Hyper-Vに対応するOSとは?
Hyper-VはWindows Server 2008 x64とセットになって動作するソフトウェアです。そのため、ペアレントパーティションの対応OSは、Windows Server x64になります。一方、Hyper-VのチャイルドパーティションでサポートするOSは、WindowsシリーズとSUSE Linuxの一部です。
サーバーの仮想化技術は、仮想のハードウェアを実現する技術でもあるので、PCサーバー上で動作するOSであればインストールは可能でしょう。それではなぜ、「Hyper-VがサポートするOS」というモノがあるのでしょうか? それは、チャイルドパーティションのOS上で動作する仮想ドライバや追加機能を提供する「統合サービス」と関係があります。
Hyper-Vでは、仮想マシンに統合サービスをインストールすることによって仮想マシンが高速に動作したり、追加のサービスが動いたりするわけです。ですが、統合サービスは導入するOSに対応している必要があります。Windows用の統合サービスは、Linuxでは動かないわけです。
よって、Hyper-VがサポートするOSとは、Hyper-Vに同梱される統合サービスがインストール可能なOSでもあります。もちろん、Windows 以外のOSはマイクロソフト以外のベンダーによってサポートされる可能性もありますので、あくまでもWindows OSの話です。
どのようなOSが動くの?
それでは、現在Hyper-VがサポートしているOSを見てみましょう。
ゲストOSとエディション | 最大CPU数 (コア数) |
---|---|
Windows Server 2008 x86 Standard/Enterprise/Datacenter/Web | 4 |
Windows Server 2008 x64 Standard/Enterprise/Datacenter/Web | 4 |
Windows Server 2003 SP2 x86 Standard/Enterprise/Datacenter/Web | 2 |
Windows Server 2003 SP2 x64 Standard/Enterprise/Datacenter | 2 |
Windows 2000 Server SP4 x86 Standard/Advanced Server | 1 |
Windows Vista SP1 x86 Business /Enterprise / Ultimate | 2 |
Windows Vista SP1 x64 Business /Enterprise / Ultimate | 2 |
Windows XP SP3 x86 Professional | 2 |
Windows XP SP2 x86 Professional | 1 |
Windows XP SP2 x86 Professional | 2 |
SUSE Linux Enterprise Server 10 SP1, SP2 x86 | 1 |
SUSE Linux Enterprise Server 10 SP1, SP2 x64 | 1 |
見ていただくとわかる通り、Hyper-VはクライアントOSもサポートしています。最近では、クライアントを仮想化し、その上でサーバーの仮想化技術を利用して集中管理するような仕組みが生まれてきています。Hyper-Vも、そのような仕組みのベースとして動作させることができるわけです。
ほかにも、シトリックス・システムズやノベルとの協業によって、「SUSE Linux Enterprise Server 10 」がHyper-V のサポートOSとなりました。相互運用性の確保に力を注いできた成果がこのような場所でも表に現われてきているのはうれしい限りです。もちろんWindows を利用していただきたいというのが本音ですが、Linuxとの混在環境をお望みならばSUSE Linuxを検討してみてはいかがでしょうか。
また、マイクロソフトが提供するアプリケーションも次々にHyper-Vをサポートし始めています。
Hyper-Vをサポートするアプリケーション(一部) |
---|
Exchange Server 2007 SP1以降 |
SQL Server 2005/2008 |
SharePoint Server 2007 SP1以降 |
SharePoint Services 3.0 SP1以降 |
Windows Server Update Services 3.1以降 |
Forefront Client Security |
いくつかの製品では、Hyper-V上での動作保障に加えて、設計の指針となるような情報も出てきています。現在使用しているアプリケーションのHyper-Vへの移行を検討しているのであれば、参考になるのではないでしょうか。
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