サーバ仮想化ソフトウェア「Hyper-V」の仕組みや使うためのテクニックなどを、マイクロソフトの専門家がQ&A形式で答えます。今回は仮想化のアーキテクチャについて聞きました。
答える人:マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 エバンジェリスト 高添 修氏
ペアレントパーティションやチャイルドパーティションって?
この2つを解説する前に、まずはマイクロソフトが今まで無償提供してきたVirtual Server 2005 R2 SP1(以降 Virtual Server)というサーバー仮想化ツールのアーキテクチャからおさらいしておきましょう。
Virtual Serverは、Windowsで動作するアプリケーションであり、仮想的なハードウェア環境(仮想マシン)を構築する機能を持っています。そして、Virtual Serverが動作するOS(この場合はWindows)をホストOS、仮想マシン内で動くOSをゲストOSと呼びます。Virtual Serverでは、ホストOSとゲストOSという言い方でOS環境を分けていました。
そして、Hyper-Vのアーキテクチャを簡単に示したのが、こちらになります。
Hyper-Vは、Hypervisor(ハイパーバイザー)型と呼ばれるアーキテクチャを採用しました。Hypervisorは、Windowsのアプリケーションではなく、ハードウェア上で直接動作する小さなソフトウェアです。ハードウェアの上にHypervisorという薄い層を作り、その上で複数の仮想マシンが動く仕組みです。
HypervisorはホストOSのようですが、仮想マシンやドライバの管理など、管理者としての役割を持っていません。そこで出てくるのが、ペアレント(親)パーティションとチャイルド(子)パーティションという仕組みです。
Hyper-Vでは、仮想マシンをパーティションと呼んでおり、その中でもHyper-Vを管理するための仮想マシンが存在するパーティションをペアレントパーティションを呼びます。ペアレントパーティションの仮想マシンでは、ドライバを管理したりHyper-Vマネージャという標準搭載の管理ツールでHyper-Vの管理を行ないます。この管理ツールによって新しく作られる他の仮想マシンは、チャイルドパーティション上にできていくというわけです。
Virtual Serverとはアーキテクチャがまったく違うため、パフォーマンスや機能には大きな差がありますが、ペアレントパーティションがVirtual ServerのホストOSの代わりをしてくれていると捉えていただくのがわかりやすいでしょう。
Hypervisorの採用により、何が向上したのでしょうか?
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