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塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤” 第20回

塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤”

自分と相手のエンジョイ

2008年10月05日 15時00分更新

文● 塩澤一洋 イラスト●たかぎ*のぶこ

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 従ってエンターテインメントには、自分がエンジョイするのとはまったく異なる技術的・精神的要素が必要だ。自分が「楽しむ」ことの延長に人を「楽しませる」ことがあるとしても、両者は、次元の異なる行為である。それができる人のことを「プロ」と呼ぶのだ。

 タレント、芸人、演奏家といったプロのエンターテイナーたちは、長い修練と経験からそのワザを身に付けてきた人々だ。彼らのワザは一朝一夕に獲得できるものではない。でもそこには大きな魅力がある。

 大公開時代はみんなが表現する時代だ。だれもが表現を公開して、互いにエンジョイする時代である。ならば、表現を公開するにあたって、自分のエンジョイとともに相手のエンジョイを考慮することが大切であろう。

 ブログを書く、写真をアップする、動画を共有するといったオンラインの公開はもちろん、メールを書く、会議の資料を作る、プレゼンする、といったオフラインの表現まで、すべて相手のエンジョイを考えたい。気持ちよく視聴できるか。気分を害する言い回しはないか。自分の表現をエンジョイしてくれる相手のことをよくよく考えて、その人々をエンターテインする気持ちを持ちたい。

 自分で十分にエンジョイするとともに、それを公開する際にはちょっとだけエンターテインする心を形にする。そうすれば、気持ちはきっと伝わって、相手もエンジョイすることができるはずだ。そして公開するときにひと言、見てくれる人々に対して言葉をかける。

 「Enjoy it!!」


筆者紹介─塩澤一洋


著者近影

「難しいことをやさしくするのが学者の役目、それを面白くするのが教師の役目」がモットーの成蹊大学法学部教授。専門は民法や著作権法などの法律学。表現を追求する過程でMacと出会い、六法全書とともに欠かせぬツールに。2年間、アップルのお膝元であるシリコンバレーに滞在。アップルを生で感じた経験などを生かして、現在の「大公開時代」を説く。



(MacPeople 2008年2月号より転載)


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