日本音楽著作権協会(JASRAC)は6日、著作権侵害を理由に、動画共有サイト「TVブレイク」を運営するジャストオンラインを提訴した(プレスリリース)。
JASRACは、昨年6月以降、同社に対して著作権を侵害する動画の投稿防止と配信停止を要請してきたという。この要請が拒否されたため、今回の提訴に踏み切ったというのがJASRAC側の主張だ。一方で、ジャストオンライン側は、今までJASRACの削除要請を拒否したことはは一度たりともないと反論している(プレスリリース)。
YouTubeやニコニコ動画など、国内には動画共有サービスがいくつか存在するが、JASRACがそうしたサイトを訴えたのは今回が初めてだ。同種のサイトでも著作権侵害がまったく行なわれていないわけではないにもかかわらず、なぜTVブレイクだけが訴えられたのだろうか? 著作権に詳しいジャーナリストの津田大介氏に聞いた。
サイト管理者が責任を負う
── ジャストオンラインはなぜ訴えられたのでしょうか?
津田 双方が微妙に異なる主張をしているため、細かい部分は分かりません。
争点となっているのは、ジャストオンラインが「権利者から要請が来たら削除する(ノーティス&テイクダウン)ことをしっかりとやっており、プロバイダー責任法の範囲内で適正に運営していた」と主張していることです。
一方でJASRACのコメントを見てみると、ノーティス&テイクダウンだけを問題にしているわけではないことが分かります。ジャストオンラインが、JASRAC管理曲の不正アップロードを未然に防ぐように対策せず、著作権料の支払いにも応じる姿勢を見せなかったため提訴したようです。
── プロバイダー責任法とは、具体的にはどういうものですか?
津田 プロバイダー責任法は、ネットでプライバシーや著作権侵害があった際、プロバイダーが負う責任の範囲を定めた法律です。
具体的には、プロバイダーが自らのサービス上で何らかの権利侵害が起こっていることを知った場合、その情報を削除したり、アップロードした者に対して権利者に発信者情報を開示していいかたずねるなど、適切な措置を講じなければなりません。そうした必要な措置を取っていれば、それ以上の責任は免責されるというのが基本的な考え方です。
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