4日に始まった地上デジタル放送の新しい録画ルール「ダビング10」。このルールを始めるにあたり、著作権者と(社)電子情報技術産業協会(JEITA)が大もめにもめたのは記憶に新しい(関連記事)。
10日にはその戦いの続きとも言うべき、文化庁の文化審議会著作権分科会、私的録音録画小委員会(私的録音録画小委)が開かれた。iPodやHDDレコーダーにまで私的録音録画補償金を拡大するのか、それともデジタル著作権管理(DRM)の強化に伴い補償金を縮小するのかを調整する会合であったが、予想に漏れず両者が対立して議論が膠着してしまった(関連リンクその1、その2、その3)。
一体、この議論には決着が付くのだろうか? 10日の会合に参加したジャーナリストの津田大介氏に話を聞いた。
著作権者とJEITA、終わりなき戦い
── 前回の私的録音録画小委について、津田さんはどのような印象を受けましたか?
津田 完全にデッドロック(行き詰まり)に入ってしまったという感じですね。会合が、著作権者とJEITAの対決を煽るための感情的な場所になってしまっている。
途中、椎名さん(実演家著作権隣接センターの椎名和夫氏)がJEITAに対して、総務省のデジコン委員会※における話を出して「あのとき言わなかったのはどういうことだ」と追求していましたが、総務省における話を文化庁に持ってきて問いつめられてもJEITAは答えようがないし、議論に参加しているほかのメンバーも困ってしまう。
省庁間での政治的な話や、ダビング10への介入があったことは事実です。ただ、それを言い始めるとあの審議会では議論ができなくなってしまう。実際、会議を取り仕切っている中山主査からもたしなめられていましたし。JEITA側のスタンスにも問題はあるんでしょうが、会議の場ではお互いにもう少し大人になるべきだなと感じました。
※総務省のデジコン委員会 「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会」のこと。詳細はこちらの記事を参照
── 著作権者とJEITAは、以前から対立していましたよね?
津田 それでも一応、私的録音録画小委の中間整理が出た今年1月くらいには、ダビング10決定以前ということもあって、議論が落ち着いている感じはありました。それがここに来て、JEITAの態度が急に硬化してきたんです。
── きっかけはダビング10ですか?
津田 そうですね。あとはJEITA内で組織変更があったことや、総務省や経済産業省が春くらいからこの問題に強くコミットするようになって政治決着させようとしたことも大きいのだと思います。省庁下の管轄にある業界団体の力関係が変わったことなどが影響したという。どちらにしろ確かなのは、消費者をまったく無視して、そうした著作権行政が進んでいるということです。
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