深海の海底は宇宙以上に不思議だらけ!?
熱水や湧水域の深海に棲む生き物の中には特異な生態をしているものがいる。ではどのあたりが違うのか。それは食物網だ。私たちがよく知っている生物では、植物や植物プランクトンなど光合成をするものが出発点となった、光合成中心の食物連鎖が成り立っている。しかし、光の届かない深海では光合成は行なえない。多くの生物はマリンスノーなど浅い海でつくられた栄養に頼って生きているが、熱水噴出孔の周りや湧水域には光に依存せず化学合成バクテリアが出発点となる食物網を形成する生物がいるのだ。海底から噴き出す熱水や冷水(高温ではないが海底から湧いている水)には硫化水素やメタンが含まれており、化学合成バクテリアはこれらの化学物質から有機物(栄養)を作り出すことができる。この食物網は、光がある地域の「光合成生態系」に対して、「化学合成生態系」と呼ばれる。
櫻井さんによると、「化学合成生態系のシロウリガイがいるところは地下からメタンや硫化水素を含んだ水が湧いています。シロウリガイは地震断層など地殻変動の目印になる生物なんです。」と。りゅ、硫化水素っていえば、人間には猛毒の代物! そんな物質を身体に取り入れて成長できるなんてちょっと信じがたい。まるで宇宙生物みたいだと思っていたら櫻井さんが「もしかしたら木星の衛星エウロパにも同じような生態系を持った生物がいる可能性がありますね」とのこと。エウロパは厚い氷に覆われているが、その下には海があると考えられている。海が存在すれば同じようなタイプの生物がいてもおかしくない。
しんかい6500の話を聞きにきて、まさか話が宇宙にまで飛んでしまうとは驚きだ。
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