米航空宇宙局(NASA)が火星の北極付近に送り込んだ探査機「Phoenix」(フェニックス)が、ロボットアームを駆使して懸命に穴を掘ってお宝(まあ、正しくは水というか氷のたぐいですが)を探しているのをご存じだろうか?(関連記事) 今月に入ってから黙々と、たまにソフトウェアトラブルで観測データを失うといった問題などにも遭遇しながら働いて、ついに「氷」を発見した模様だ。
Phoenixが掘削した同じ場所を左は15日、右は4日後の18日に撮影したもの。左下に見えていたサイコロ大の塊が4日後に蒸発していることがわかるだろうか。この事実から、これらは氷であったと結論づけられた
アリゾナ大の研究チームが19日に発表したところによると、先日15日にロボットアームを使って掘削した穴にあった塊が、18日に同じ個所を撮影したところ、蒸発して消えていたという。塊は氷か塩と見られていたが、アリゾナ大のPeter Smith主任研究員いわく「蒸発したという事実から、これは氷に違いない」ということらしい。「塩だとこうはならない」と。
穴の左下のコーナー部分を見ると、なるほど確かに塊が消失していることが分かる。でも、待てよ、火星の北極付近と言えばめちゃくちゃ寒いのでは? なぜに蒸発?と考えること10秒。ああ、火星の希薄な空気(地球のわずか0.75%程度)を考えれば、いかに寒くても容易に蒸発してしまうってことね。17日の第1回目の報告では、水を見つけられなかったと言うんで残念に思っていたのだが、一転、逆転タイムリーヒットといったところか。
また、別の場所でも氷とみられる硬い層に掘りあたったという。Phoenixでは氷探しのほかにも、土壌の分析を行なって有機物、すなわち生命の痕跡を探索中。次なる発見(できればホームランを期待!)を楽しみに待とう。
