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徹底解明! 世界に誇る潜水調査船【後編】

「しんかい6500」にとにかく乗ってみた!

2008年07月02日 13時47分更新

文● 丸子 かおり

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6500mの深海に耐えるテクノロジー


 しんかい6500の窓は外から見ると直径50cm近くある。しかし中から見ると直径12cmしかない。窓というより「のぞき窓」だ。これは櫻井さんによると、窓が圧力に耐えられるよう円錐形に作っているためだという。

真ん中の黒い円形の部分がのぞき窓。透明度が高いメタクリル樹脂を使用し、厚さ14cmもある

真ん中の黒い円形の部分がのぞき窓。透明度が高いメタクリル樹脂を使用し、厚さ14cmもある

 また、耐圧殻の空間は完全な球形になっている。これも深海の高圧に耐えられるようにするためだそうで、しかも素材はチタン合金でできているとのこと。超高圧という想像を絶する環境下で人が探査活動するためにはそこまで防護しないといけないのか、と改めて驚いてしまった。

耐圧殻の内部からハッチをのぞいた写真。耐圧殻が球形になっているカンジが分かるだろうか?

耐圧殻の内部からハッチをのぞいた写真。耐圧殻が球形になっているカンジが分かるだろうか?

 さっきは、「しんかいの操縦がこれだけで~」と驚いていたけれど、壁一面に計器やスイッチ、緊急装置が設置されている。「最低限のスペースに最高の操縦性・安全性を求めたらこうなった」という見本がしんかいのコクピットだ。

様々な機器が並ぶ。ソナーで捉えた深海の映像を映すモニターも。市販のパナソニック製のものをくっつけているらしい

 ところで、緊急用のユニット切り離しのスイッチが並ぶ脇に「!?」というものを見つけてしまった。それはお札だ。松本さんによると海運・航海の神様である「こんぴらさん(金刀比羅宮)」のお札を貼っているという。なるほど最高の科学で安全を保った上で、なおかつゲンをかつぐ。そこに船乗りの精神を少し感じた。

機器の合間に張られているこんぴらさんのお札。毎年交換するそうだ

機器の合間に張られているこんぴらさんのお札。毎年交換するそうだ

耐圧殻から船外に出る様子。ハッチの外からはしごを下ろしてもらい、そこからソロソロと上がっていく

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