「MashupからMappletsへ」Google Mapsに書き込みまくろう
Google ソフトウェアエンジニアのDavid Day氏は、Google Maps上に配置してマッシュアップを促進するアプリケーション「Mapplets」を紹介した。
語学教師のように聞き取りやすい発音でなめらかに話されるDay氏の英語は、英語の不得手な筆者にとって非常に助かった。本Developer Dayでは同時通訳者が配属されており、その品質は、過去のこうした技術イベントに参加した経験の中でも比較的高いレベルにあると思う。とはいえ、生の声を直接に聞くほうが、即時感を得ることができ、抑揚から感情までも読み取ることができるのは間違いない。
Google Mapsではマイマップメニューから「コンテンツを追加」を選んで各種の情報を追加することができる。複数の情報を重ね合わせるとさらに面白い可能性が広がる。その一例としてDay氏は、シカゴの賃貸住宅のマーカーを地図上に表示し、そこに地下鉄マップを重ねてどこが交通に便利な場所かを調べる。ここにさらに犯罪率マップを重ねると、安全性も確認できるというわけだ。
Mappletsは従来のMaps APIと似ているが、コールバックでイベント時のアクションを定義する。また、動作は非同期で、Mapsの標準動作を変更することはできない。データは適切にキャッシュされ、大規模なアクセスにも耐えられるようになっている(キャッシュの保持期間の調整を行うことも可能だ)。
Day氏は、指定の座標を開くと共に「Hello, World!」を表示する、マーカーを置いた場所の緯度をJavaScriptのダイアログに表示する、さらにiframe(インターナルフレーム)を使ったオーバーレイ表示を行う、と次々とデモンストレーションを行った。これらはいずれもごく短いコードで構成されており、Mappletsを支えるライブラリの充実度が伺える。
Mappletsの開発を進める上での3つの重要なツールとして、Day氏は、利用するAPIの説明を表示する「API Reference」、テキストエリア内でコードを記述して実行できる「Mapplet Scratch Pad」、Mappletのコードを編集したときにキャッシュを参照せずすぐに再適用させる「Developer Mapplets」を挙げた。なお、これらはGoogle Mapsマイマップの「デベロッパーツール」から追加できる。
Googleにおける技術者のキャリアパスは?

最近、ネット界隈では、技術者の働きがい、あるいは技術者にとって働きやすい環境や目指すキャリアパスについて話題にのぼっているのをよく見かける。レストランやアミューズメントなど福利厚生の面では群を抜いて技術者からの評価の高いGoogleだが、Googleの技術者はその中でどのようなキャリアパスを築くことができるのだろうか。基調講演では大いに活躍されていたGoogle シニアプロジェクトマネージャの及川卓也氏に、Googleにおいて技術者の歩むキャリアパスをお尋ねした。
及川氏は、技術者のキャリアパスは人によってさまざまであり、どのような道を選ぶかは個人の希望と適性による、という。一般企業のように技術者からマネージャへという道を選ぶ者もいれば、技術者として続けたり、コードを書いているマネージャもおり、あるいはまれではあるがマネージャから技術者になるという者もいる。無論、個性を生かした何らかのキャリアパスを志向するときに、その支援は行っているとも述べる。
彼の「マネージャ」という技術者を統括する地位も、各技術者の意見を集約して取り入れるべきところは取り入れ、判断すべきところは判断するといった、チームをまとめる役目「ファシリテーター」や「チームリーダー」というほうが近いと及川氏は語った。なお、及川氏によれば、一般技術者とマネージャで待遇にはそれほど差はないそうだ。
経営・営業・人事といったクラスではまた別の面があるとは思うが、技術者が自身の労働にとって最も適した環境とキャリアパスを追求できるのがGoogleという組織なのだろう。
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