このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第26回

フルチェン・ナカチェン「re」

2008年06月05日 16時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

販売店、コンテンツプロバイダーにもメリットが


 しかしこの端末のメリットはユーザーに対してだけではなかった。

 まず外装の完全な着せ替えは、基本的にauショップでの対応となる。着せ替えパネルを買ってきて、ユーザー自身が交換するのは、保証対象外となるのだ。

ネジが特殊

着せ替えに使われているねじは特殊で、ユーザー自身での交換は難しい

着せ替え

着せ替えは基本的にauショップの店員さんが行なうことになる

LISMO

スペシャルテーマであるLISMOへ着せ替え中

手さばき

それにしても、だんだん着せ替えが早くなっていく説明員さんの手さばきも素晴らしかった

完成

でき上がった2台。2つを気分で使い分けるときも、auショップに持ち込んで交換してもらうことになる

 KDDIによれば、当初はパネル代、工賃込みで5000〜10000円とのことだが、ブランドとのコラボレーションや、高級感ある素材のパネルが出れば、その限りではないという。メニュー画面の着せ替えについても、auショップで無料で対応することになる。

 つまり、新規契約や料金の支払い、変更手続き以外であまり訪れることのなくなったauショップにユーザーが足を向ける新たな目的を用意したことになる。全国規模でネットワークをしているauショップとユーザーとの頻繁なコミュニケーションの機能を持たせることで、auブランドに対する長い関係性の構築を作り出せるかもしれない。

 また外装の着せ替え、メニュー画面を含めた着せ替えには、数多くのコラボレーターが参加している。スポーツのチームやアニメなどのキャラクター、トヨタ自動車まで専用のメニュー画面を用意しているのだ。

 これは、ケータイのオープン化の系譜の中で、端末そのもののデザイン、そして端末の顔でもあるメインメニュー画面の解放を意味する。

 コラボレーターや既存のコンテンツプロバイダーは、自社ブランドのデザインやカラー、そしてメインメニューに配置できる自社のサービスや機能を使った、新しい顧客とのコミュニケーションツールとして、auのreを活用できるようになる。ケータイがサービスやコンテンツによる収益を支えるプラットホーム性を強化したと見ることができるだろう。

 この夏、「攻め続けるソフトバンクモバイル」「守りに入ったドコモ」の間で、auは、ユーザーや自社が持っている販売店ネットワーク、そしてコンテンツプロバイダーの3者を「攻めながら守る」という方針を打ち出したのだ。


筆者紹介──松村太郎


ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性について探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET



*次回は6月12日掲載予定


■関連サイト

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン