日本でのiPhone発売が間近に控えている──。
最近、そんなウワサがネットで飛び交っている(関連記事)。1年前、米国で発売され、欧州でも着実に広まりつつあるiPhoneは、果たして本当に日本にも来るのか。ASCII.jpにiPhoneのコラムを寄稿し、「iPhoneショック」(日経BP)も発売した林信行氏に緊急インタビューを行なった。
日本での発売は「十分ある」
── ネットでは、6月9日から始まる「WWDC」(アップルの開発者向け会議)で「3G iPhone」が発表されて、日本でもiPhoneが発売されるのではというウワサが出回っています。その可能性はありますか?
林 十分にあると思います。「iPhoneショック」を書いたとき、匿名を条件にキャリアの重役の方々の話を聞いたのですが、やはりiPhoneに大きな関心と意気込みを示していました。
── アップルは、ケータイ事業者が回収した基本料金の一部を「上納金」として納めさせていたりと、特殊なやり方でiPhoneを販売しています。そのため「日本展開は難しいのでは?」という声も聞きますが……
林 確かにiPhoneは、販売方法も、ビジネスモデルもかなり特殊です。ただ、取材したキャリアの重役は「その障害を乗り越えてでも売る価値がある」と答えていました。世の中、「やるぞ」と腹をくくって向き合えば、どんな「障壁」にも対応策が浮かんでくるものです。
iPhoneのビジネスで、最大の障壁と思われがちなのが、「上納金」の徴収ですが、あるケータイ事業者の重役の方は、それすら「まったく問題にならない」と語っています。
なぜ、問題にならないのか。それはiPhoneは販売奨励金が不要だからです。
これまで日本でケータイが1円など激安で売られていたのは、メーカーがあらかじめ販売店に端末ごとに数万円分の販売奨励金というお金を支払っていたからです。では、ケータイ事業者は、このお金をどうやって回収していたかというと、毎月の基本料金に数千円分のお金を上乗せしていたわけです。昨年になって、こうしたやり方が見直され、ケータイの売り方や価格に大きな変化が出ましたよね。
ところがiPhoneでは、製品の値段がそれなりでも、販売が見込めるので、奨励金が不要になります。そこでケータイ事業者は、販売奨励金用にしていた基本料金の一部をアップルに回せる、というわけです。