みずほ銀行を含む世界の大手銀行32行が、少額の国際送金の高速化を進めている。
2026年1月2日の日本経済新聞が報じている。世界中の銀行が参加するSWIFT(国際銀行間通信協会)という組織があり、銀行と銀行をつないで、国際送金のインフラになっている。このSWIFTを中心に、世界17ヵ国の32行が、少額の国際送金を高速化する仕組みに参加する。SWIFTは、送金の75%が、10分以内に受取先の銀行に着金するとしている。
このニュース、どこかで見たような気がすると思ったら、実はそれほど新しいものではないようだ。SWIFTのウェブサイトには、2025年9月25日にこの取り組みに関するプレスリリースが掲載されている。しかし、このニュースには、あらためて新聞が掲載する意味はあるだろう。国際送金は近年、新たな事業者が参入し、国際的な競争が激化しているからだ。
とくに、国際送金サービスを提供する英国のフィンテック企業Wiseは近年、中小企業や個人向けの少額送金で急速に取扱高を増やし、銀行のシェアをおびやかしている。このため、少額決済の高速化を目指すSWIFTの取り組みには、Wise対策という面があるはずだ。
銀行のシェアを奪うWise
Wiseは2011年創業の新興企業だ。Wiseは従来の銀行間の国際送金とは大きく異なる仕組みを導入し、急成長を続けている。
たとえば、伝統的な海外送金のネットワークで、日本の地方銀行に口座を持っている人が、カナダの信用組合に米ドルを送金するケースを考えてみよう。これは、おそらくもっとも面倒なケースだ。地方銀行は海外に送金する際、三菱UFJ銀行や三井住友銀行を中継銀行とすることが多い。
さらに、米ドルを送るため、日本のメガバンクの次に米国の中継銀行が間に入る。その後、カナダの大手銀行が中継し、信用組合の口座に着金するという流れだ。おおまかに、以下の5つの銀行がこの送金に関与することになる。
日本の地銀→日本の大手銀→米国の大手銀→カナダの大手銀→カナダの信用組合
大手の銀行が間に入るのは、日本の地銀が、米国の大手銀やカナダの大手銀に口座を保有していないため、お金を送ることができないからだ。さらに、違法薬物の取引やテロ資金など怪しいお金の流れのチェックも入るため、時間がかかる。
この問題の解決を図るのが、Wiseの仕組みだ。Wiseは、そもそも国境を超えるお金の動きを最小化している。上記の例と同様、日本の地銀に口座を持っている人は、Wiseに口座(アカウント)をつくり、Wiseの口座(三菱UFJ銀行、PayPay銀行など)にお金を振り込んでおく。ここまでは、通常の国内振り込みと変わらない。
Wiseは、日本で受け取った円を自社のシステム内で米ドルに換算する。そして、米国にあるWiseの口座から、カナダの信用組合の口座に米ドルを送金する。
つまり、受取人はWiseの口座を作る必要はなく、いつもの信用組合の口座で直接お金を受け取れる。お金の流れを整理すると、以下のようになる。
利用者 → Wise日本口座
Wise米国口座 → カナダの信用組合(国際送金)
従来のように日本のメガバンクを含む複数の中継銀行を経由する複雑なリレーが省略され、Wiseが持つ「日本」と「米国」の拠点を活用することで、手数料と時間を大幅に削減する仕組みだ。
2025年6月のWiseの公表資料によれば、Wiseを使った国際送金は年々増え、2022年度から2025年度の間に、ほぼ倍増している。
2022会計年度:764億ポンド(約14兆円)
2023年度:1045億ポンド(約20兆円)
2024年度:1185億ポンド(約23兆円)
2025年度:1452億ポンド(約28兆円)
強力なネットワークで巻き返し図る銀行勢

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