デジタル一眼レフ市場での存在感を高めつつあるソニー。先日行なわれた「Photo Imaging Expo」の会場でも、フルサイズセンサー採用のフラッグシップ機を展示したばかりだ。
αシリーズは、発売されたばかりのエントリー機「α200」と「α350」、そして昨年発売された中級機「α700」の3ライン構成(国内の場合)。中でもα350は、デジタル一眼の高速かつ正確なAFをライブビューでも実現できる点を売りにした意欲作だ。発売当初の実売5万円台のα200、9万円台のα350と、価格の面でも攻撃的。操作感を中心としたパッケージとしてのまとまりも良く、いま最も注目したい製品のひとつである。
今回は、競争の激しいエントリー市場に投入された両機種について、開発者のお話をうかがった。
エントリー機にこそライブビューが必要
── α350はソニーとしては、最初のライブビュー搭載機になるわけですが、なぜエントリー機から展開することになったんでしょうか。
中山 実はソニーとコニカミノルタが、デジタル一眼レフの共同開発を始めた当時から、ライブビューは重要な検討課題になっていました。そのぐらい重視していた機能なんです。
商品化する際にはいろいろな可能性がありましたが、とにかく(コンパクトデジタルカメラからステップアップしてくる)エントリーユーザーにライブビュー機能が必要であるという意見は一致していました。
── 結果として今回の製品、つまりファインダー内にライブビュー用のイメージセンサーを追加する方式になったわけですが、どんな経緯があったんでしょう。
漆戸 中山の言うように、さまざまなケースを検討しましたが、かなり早い段階で今の方式に収斂しました。一眼レフの魅力を考えたとき、ファインダーは捨てられない。このシルエットを守りつつ、高速なAFを両立させるためには、どうしたらいいのか。その結論として、クイックAFライブビューに行き着いたんです。
── この方式のメリット・デメリットはなんでしょう。
中山 メリットはAFの速さですね。一眼レフの特徴である位相差AFで高速なピント合わせを行ないたい。そのためにはファインダー内にライブビュー専用のイメージセンサーを置くのが一番だと考えました。
厳密には本撮影用のイメージセンサーを使ったライブビューのほうが、撮影結果と見えの差が少ないです。プロであればその部分を重要視するでしょうが、「消費電力」「レスポンス」「操作が単純明快でなくなる」などといった点を考え合わせると、一般ユーザー、特にエントリー層には向いていないと思いました。
── 実用性という意味で不満は感じないですね。見た目と実写の差をなくすのは難しかったと。
中山 別々のイメージセンサーを使うと見え方に差が生じやすくなるのは分かっていました。ですが、ユーザーの方がお使いになる上で支障のないレベルまでチューニングしたつもりです。
コンパクトデジカメでも比べてみると「ライブビュー画像」と「記録された画像」は必ずしも一致していないんですね。背面の液晶パネルとパソコンのディスプレー上の表示も異なる。人間はその差を自然に補って撮影できるんです。α350のライブビューも、見た目から結果を十分予測できる範囲にあると考えています。
