11人を集めて「一気取り」
── 収録では何に苦労しましたか?
齋藤 全員を同じ時間に同じ場所に集めることでしょうかw 彼ら、彼女らも仕事やプライベートがあるので、それを11人分調整するというのは至難の業でした。
出演交渉が終わったと同時に、権利関連をクリアーする作業も含めた曲決めを始めて、さらにアレンジャーさんが膨大なオリジナル音源資料をもとに20分弱にも及ぶ大曲をアレンジするという。そこまででも相当な苦労でした。ここは「ランティス斎藤さんのターン」なのですがw
歌い手さん全員に、どの曲でどんな感じで歌うかというのを伝えてから、全員が奇跡的に会えるスケジュールが決まったその日までの時間というのは想像以上に短いものでした。
その後、参加メンバー全員がメールを共有できるようにして、参考用のオリジナル音源、オケのサンプル、楽譜などをやりとりしました。もともと「声のオーケストラ」を目指していたので、楽団員同士のコミュニケーション、結束というのが大事になると思ったからです。
すでに会ったことのあるメンバーもいたようですが、早速、みんなでコミュニケーションを取り合い、ハーモニーやネタなどいろいろなアイデアを交換していました。
── 全員を一緒に集めるというのは相当難しそうです。11人を別々に録音することは考えなかったんですか?
齋藤 今回のコンセプトには、「同じ日、同じ場所に全員が集まって、オフ会のように楽しく歌う」というのもありました。実際に奇跡的にスケジュールが合った日に11人が集まり、その場でアレンジしながら楽しくレコーディングしています。
とにかく人数が多いので、スタジオに入れ替わり立ち代りで、時にはその場でメロディやハーモニーを覚えたりアレンジしながら、進めていきました。レコーディングは地方から来たメンバー同士のお土産交換から始まって、終始和気あいあいとしていましたが、結局、歌入れのスタジオレコーディングだけで約18時間かかりましたww
歌い手を支えるメンバーも実は豪華
歌い手にラブコールを送ったのはドワンゴの齋藤氏だが、 楽曲のアレンジャーや演奏家を用意したのはランティスの斎藤氏になる。
今回、アレンジャーには、音楽制作ブランド「Elements Garden」に所属する、上松範康氏と菊田大介氏を起用した。両氏は、「水樹奈々さん、栗林みな実さん、茅原実里さんの楽曲などで有名な第一級のプロ」(齋藤氏)だ。
また、ギターソロには、アニソン歌手グループで有名な「JAM Project」のツアーにも参加した横関敦氏を起用。「12人編成のストリングスを用意したスタジオレコーディングで、通常のアニメ楽曲でもあまりやらない贅沢な仕様」(齋藤氏)という環境でレコーディングしたという。ニコニコアーティストの歌を、最高のメンバーで引き立てようというプロ根性が垣間見える。
当初アレンジャーには、ニコニコのユーザーを起用しようというアイデアもあったそうだ。しかし、「せっかくニコニコ動画の外でCDとして作品を発表するのだから、ニコニコ動画でできるのと同じことをしても仕方がない。われわれプロが手がける作品だからこそ『本気』で新しい音を提示しよう」(齋藤氏)という意欲で、今回のメンバーを揃えたという。
「正直、ドワンゴの私としては、ランティスの本気ってどこまでやるんだ〜!と驚きを通り越して怖くなりましたねw」(齋藤氏)