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斉藤博貴の“タイ鉄道写真紀行” 最終回

タイを走る日本製蒸気機関車の雄姿

2007年11月14日 09時00分更新

文● 斉藤博貴

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いよいよ走行写真の撮影!


 さて、いよいよ蒸気機関車の走行写真を撮ろう。ポイントは4つある。

 最初はフレーミング。煙を期待するなら、列車と線路を下部に配置して上部を空けておく。どの画角のレンズを使用する場合でも、編成先頭と最後部の位置を予想することが必要。編成内容は蒸機が2両、客車が8~10両というケースが多い。

 2つ目はフォーカスモード。MFの方がピント面での失敗が少ないと思う。事前に列車通過位置にピントを決めておく「置きピン撮影」の方が、確実な撮影ができる。ただし、蒸気機関車の煙の描写にこだわる方は、手持ち+コンティニュアスAFを選ぶことになるだろう。

 3つ目は露出モード。オススメはマニュアル。自動露出を使うなら被写体が黒色であることを考慮して+0.5~1EVにしておくことをオススメする。露出補正なしでも、暗い色合いにひっぱらられて露出がオーバー気味になりやすいのも事実だ。しかし、黒い色の被写体は少し明るめの描写にしておかないとまるで陰のように写るので注意だ。なお、露出面で失敗しても撮影後にパソコンで調整して救い出しやすいように、RAW形式で記録しておくのが吉。

 最後は心の準備。汽笛が聞こえても、蒸機が姿を現しても、心を乱してカメラのフレームや露出設定を動かさない。「サイは投げられた!」と雑念を捨てて自分を信じて、シャッター・タイミングを待つのが一番だ(これが一番難しいんだけれど)。

 線路を横断する人々の動きが突然に変わった。どうやら、不意に現れた蒸機に驚いて、身のこなしがぎごちなくなっているらしい。わざわざ日本からやって来たボクが、ボーベーのような太陽光がほとんど届かないビルの谷間で撮影しているのは、蒸機と普段着のタイの人々を一緒に撮影したかったからだ。小さなファインダー内で蒸機牽引列車が存在感を増してきた。「ああ、E-3の巨大なファインダーだったらもっとよく見えるのに!」と愚痴りながらリレーズボタンを押した。

蒸機牽引列車

【作例】連載第二回目で撮影したボーベーで、蒸機牽引列車を撮影した。ゆっくりと蒸機が姿を現すと、ゾロゾロと人が集まってきた。それにしても、例年にない蒸機の煙の多さに大感激だ。使用機材:「E-510」+「Zuiko Digital ED50-200mm F2.8-3.5」(F4 1/400秒 ISO 200 AWB 焦点距離は35mmフィルム換算で144mm相当)

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