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斉藤博貴の“タイ鉄道写真紀行” 最終回

タイを走る日本製蒸気機関車の雄姿

2007年11月14日 09時00分更新

文● 斉藤博貴

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03:20――蒸機に火が入る


火入れ作業中の蒸機

【作例】トンブリー機関区で火入れ作業中の蒸機。本日の記念列車はアユッタヤー向きがパシフィックのSRT824番で、クルンテープ向きがミカドのSRT953番だ。使用機材:「E-510」+「Zuiko Digital 14-54mm F2.8-3.5」 (絞り優先AE F10 +1.3EV ISO 100 AWB 焦点距離は35mmフィルム換算で56mm相当)

 記念列車の運行準備が始まる。まず、蒸気機関車SRT824番の釜に火が入った。20分後に953番にも火が入った。さらに20分後、2両の背を向け合う連結作業が終わった。クルンテープ駅~アユッタヤー駅間の記念列車は、蒸気機関車は重連(2両)運転が行われる。蒸機が背を向け合って連結されるのは、転車台なしで往路・復路ともに編成の先頭の機関車が顔を見せるためだ(タイ国鉄は使用可能な転車台を保有していない)。これらの蒸気機関車は、タリンチャン分岐点~バーン・スー分岐点のバイパス線を通過して、クルンテープ駅まで単機回送される(本当は2両だけど)。

 なお、今回掲載した火入れのタイミングは走行ごとに異なる。夜行の旅客列車と貨物列車のスジの間に割り込ませて回送する都合があるからだ。



08:05――発車が迫る


クルンテープ駅で発車を待つ記念列車

【作例】クルンテープ駅で発車を待つ記念列車。正面はパシフィックのSRT824番。機関車はエンジンなどの細かい振動などで被写体ぶれしやすいので、感度を上げてなるべく速いシャッター速度で撮りたい。使用機材:「E-510」+「Zuiko Digital ED50-200mm F2.8-3.5」(絞り優先AE F4 +0.7EV ISO 400 AWB 焦点距離は35mmフィルム換算で100mm相当)

記念列車走行前のボーベーの風景。いつもと変わりない風景。別に蒸機を見に来たわけではないのに、たくさんの人々が通過して行く

 いよいよ発車の時間が迫ってきたので、クルンテープ駅の北にあるボーベー地区にやってきた。休日の朝にもかかわらず、多くの人々が行き交う。彼らも今日が敬愛するチュラロンコーン大王の誕生記念日であることは承知している。だが、蒸気機関車が走ると言うことは念頭にない。別に興味がないというわけでもない。ただ、去年の同じ日の同じ時間に蒸機が走ったことをすっかり忘れているだけだ。

タイ鉄道のうんちく(1)

転車台がなくても、タイ国鉄にはサムセーン駅~クルンテープ駅~マッカサン駅を結ぶ大トライアングルがあるので、スイッチバックの要領で車両方向の反転は可能だ。実際に、イースタン・オリエンタル・エクスプレスの長大編成の反転はそこで行なわれている。

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