ピクチャースタイルに編集機能を追加
──内部処理が従来の12bitから14bit処理に向上しました。これは絵作りにどういった効果をもたらしますか?
竹内 まず、JPEG記録時には8bitの信号になってしまうわけですが、画像処理の演算精度が上がりますので、結果として8bitで出力する場合でも階調性は向上します。また、RAWで撮影する場合は、14bitのままで出力されますので、現像ソフトなどを使用した場合に高い階調性を得ることができます。効果は大きいと感じます。
── 色作りの考え方は変わりませんか?
竹内 EOS 5Dで「ピクチャースタイル」(あらかじめ用意された画像設定をフィルムを交換するように切り替えられる機能)を導入してからは、基本的な部分は変わっていません。ただし、機能としては色々と進化させております。そのひとつの表われと言えるのが、同梱している「ピクチャースタイルエディター」と呼ばれるソフトウェアです。
ユーザー自身が、ピクチャースタイルファイルを作れる環境を提供していくことで、自分の好みにあった画を作れるようになるのです。
デジタルカメラは趣味性の高いものなので、作画にユーザーの意思を反映させるための機能をより充実させて、その人その人に合った使い方を提供することが大切だと考えています。
── 撮影の楽しみがさらに広がりそうですね。
戸倉 楽しんで使ってもらいたいという希望があるので、独立した操作ボタンも用意しましたし、モードの名前に慣れてない人でも「分かりやすいもの」にしています。もちろん、パラメーターは自由に変えられるので、いろいろと試してもらえればと考えています。
── 以前ウェブからのダウンロードで「トワイライト」という設定が配られていて、夕日を見た時に「そうだ、あの設定で撮ろう」と思い付きました。設定の名称から撮影のインスピレーションを受けるケースもありますね。
ライブビュー時の撮影音は、小さくなる
── ライブビューの搭載は特徴のひとつですが、コントラストAFの搭載は見送られました。なぜでしょうか。
戸倉 この機種にコントラストAFを搭載しなかった理由のひとつに「EOSのAFは速くて正確でなければいけない」という、AFに対するわれわれの姿勢があります。EFレンズシステム全体との兼ね合いを考えると時期尚早かなと考えました。
── つまり「検討はされている」という意味でしょうか。
戸倉 何もやっていないわけではありません。AF方式のひとつとしては認識しているので、商品化できる水準にどこまで追い込めるかがカギになってくると思いますね。
── 顔認識や画素単位でのトーンカーブ調整、ISO感度などをインテリジェントに合わせるなど、コンパクト機側ではすでに当たり前になっている機能は数多くあります。ライブビューを使った用途提案に関しては、どうお考えですか?
戸倉 100%の視野が得られ、楽な姿勢で利用できるというのが基本としてあるとは思います。EOS 40Dではさらに「サイレントモード」というのがライブビュー時に利用できるんですね。通常の露光はメカニカルなシャッターの先と後の2枚の幕で行なうのですが、ライブビューの場合は先幕が開いた状態で後幕のみの走行で露光できるようにしているため、シャッターを切った際の音が小さくできるというメリットがあります。CMOSの電子シャッターを追いかける形で後幕が動き、スリッド露光する仕組みです。後幕が落ちる音しかしないので、音が小さくなります。
── バリアングル液晶の搭載に関してはいかがでしょうか。
戸倉 使い勝手を向上させるひとつのベターな選択だとは思います。ただ、TFTパネルのサイズと本体の大きさのバランスを考える必要がありますね。