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「従来機種とはベースから違っている」──キヤノン開発陣に聞く、EOS 40Dの新しさ

2007年10月10日 22時06分更新

文● 編集部 小林 久、撮影●パシャ

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手ぶれ補正は、今後当たり前のものになる


── 標準レンズとして追加された光学式手ぶれ補正(IS)搭載レンズについても、お伺いしたいと思います。

キヤノンの開発陣

新レンズの企画を担当したレンズ事業部 課長代理の家塚 賢吾氏

家塚 カメラの高画素化が進む中、写真を大きなサイズで鑑賞する機会も増えてきています。きれいな写真という観点では、レンズの解像力やコントラストを求めるという面はもちろんあります。これに加えて、デジタルコンパクトカメラでは、手ぶれ補正がどんどん普及しています。一眼レフの世界でもそれは同様です。

 これまでのキヤノンのレンズでISを搭載したものは、ハイアマチュアやプロ向けのレンズが中心でしたが、普及価格に初心者からプロまで、すべてのEOSユーザーに手ぶれ補正をつかっていい写真を撮ってもらいたい。そういう考えから、今回の商品を投入することになったのです。

 三脚を使って手ぶれを抑えると、写真が見違えるようにきれいに撮れるというのは、フィルムカメラの時代から言われてきたことです。手ぶれ補正によってワンランク上のレンズを使ったようなシャープな画像が得られる点をぜひ体験してほしいですね。

── これまで望遠ズームや望遠単焦点などを中心に手ぶれ補正の機能が搭載されてきましたが、広角のズームや単焦点の標準レンズではあまりそういった機能がありませんでした。

家塚 例えば明るい単焦点に手ぶれ補正が付いたら、スローシャッターでどんな表現ができるのだろうかとか、可能性に関してはいろいろと話をしています。教会など暗い室内において、ワイドアングルで撮影ができないかということも考えて開発したのが、少し前に発売した焦点距離28~135mmのISズームレンズです。

 今回の2本のISズームレンズによって、手ぶれ補正はプロやハイアマチュアの方だけのものではなく、より一般的になると考えています。写真を撮るにあたって、いい絵作りがあって、いいレンズがあって、それを手ぶれ補正でサポートしていくのが一般的なスタイルになるでしょう。意識せずにそれができるというのが重要です。

 そのとき、レンズ内手ぶれ補正であれば、ファインダー像が安定し、見たままを撮ることができます。例えば、クローズアップで鳥などを狙う場合、ファインダーでしっかりと映像を止め、目にピントを合わせて構図をきちんと決められるのもメリットになってくると思います。

── レンズシフトタイプの光学式手ぶれ補正には、ボディー内蔵タイプにはないメリットがあると。

家塚 はい。それに加えて、レンズごとに最適な補正ができるというのも利点です。今回の18~55mm ISの小型補正ユニットは新開発ですが、1枚のレンズを動かして、補正しています。

EOS 40D

新たに追加されたIS搭載ズームレンズ「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS」(上)と「EF-S55-250mm F4-5.6 IS」(下)

── 今回投入されたレンズでは、4段分の補正効果をうたわれていますが。

家塚 18~55mmという焦点距離は、35mmフィルム換算で、29~88mm(約90mm)相当の焦点距離イメージとなります。一般的に、焦点距離(=f)が90mmであれば1/90秒が手ぶれを抑えられるシャッタースピード(1/f秒)とされています。ここからシャッタースピードを1段、2段と遅くしていって、手ぶれを抑えた撮影が90%以上の確率を維持できるのは何段分かという意味です。キヤノンの場合、4段分というのは画角を問わずズーム全域で実現している数字です。

── 手ぶれ補正はこれから一般的になってくるという話でしたが、小型の単焦点レンズなど実現が難しいものもあるのではないですか?

家塚 一例を挙げると、今回の18~55mmのレンズに関しては従来に比べて全長で4mm、重さも15g増しただけにとどめられました。そこに需要があるなら、それに向けて努力するのはいとわないつもりです。

── EOS Kiss Digitalなどとの組み合わせを考えると、より小型で静かに作動する広角レンズも欲しいと感じてしまいます。

家塚 デジタル一眼レフの普及によって、ニーズの変化が出てきていることは認識しています。そういった要望もうかがっていきたいと思っています。



最後にコメントを


── いろいろとお話をうかがってきました。最後に読者に一言ずつコメントを。

竹内 「ピクチャースタイル」を有効に使って、楽しんでいただきたいと思います。ピクチャースタイルエディターに関しては、EOS 40D以前の機種をお持ちのお客様にもウェブダウンロードで提供する予定です。Mac版も用意しています。

小島 エレクトロニクス担当としては、液晶パネルが3インチのTFTになって、見やすくなった点を強調したいと思います。バックライトも明るく見やすくしましたし、明るさの切り替えもEOS 30Dの5段階に対してEOS 40Dは7段階に増やすなど、使い勝手も向上しています。

家塚 今回IS付きのズームレンズとして焦点距離18~55mmと55~250mmの2本を発表しました。新開発の小型ユニットでサイズもコンパクトです。望遠レンズもUDレンズを使用することで、250mm(400mm相当)でもシャープな画像が得られます。気軽に持ち運んで、ぜひ撮影を楽しんでください。

戸倉 EOS 40Dは、すべての機能において高度なバランスで仕上げることができたと思います。このEOS 40Dで、本格的な撮影を幅広いお客さまに楽しんでいただければうれしいです。

── ありがとうございました。

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