航過飛行でいよいよ航空祭開始
撮影場所をどこにするかで焦る我々取材班を尻目に航空祭は始まった。とにかく見学者が多いため、我々は基地エプロン中央まで行くのは断念。基地南方側に陣取ることに。しかし場所が悪く、スピーカーから聞こえるアナウンスの声がこもってほとんど聞こえない。北村記者と顔を見合わせ、「今、離陸って言った? 言ったよね」と確かめ合う始末。大混雑で場内で配布しているハズのパンフレットも何処で配っているやらで、結局入手出来ず。ゆっくりと腰をすえる暇もないまま、さっそくF-15JイーグルとF-4ファントムII、そしてT-4がジェットエンジンの轟音とともに離陸、空中で様々な機動を描き出した。ああ、早くしないと撮影が間に合わない……
F-15Jイーグル
百里基地にはF-15Jで構成される第七航空団所属の第204飛行隊、第305飛行隊が配備され、首都防空の要として、日夜スクランブル任務についている。スクランブルとは、日本が設定した防空識別圏内部(領空を取り囲むように設定されているエリアで、ここを通過する航空機は飛行計画書を出す必要がある)に国籍不明機が接近した場合に発令される緊急発進のことを指す。パイロットは基地内の一室で待機し、24時間どのタイミングでも発進命令が出次第、5分以内に緊急発進する。通常は国籍不明機の国籍確認と写真撮影などが任務となるが、国籍不明機が日本領空へ侵入している場合、相手への警告、そして必要な場合は武力行使を行なう。
スクランブル任務で撮影されたロシア機についての防衛省資料(pdf)
http://www.mod.go.jp/jso/press/p20070717.pdf
ロシアもプーチン政権になってから原油高などもあって国力が増大し、近年軍事的な活動も活発化してきている。
RF-4EJファントムII
原型のF-4ファントムIIは1958年にマクダネル社(後にマクダネル・ダグラス社になる)が開発した全天候型艦上戦闘機で、日本では1971年よりF-4EJとして導入が開始され、三菱重工がライセンス生産している。導入機数は140機。その後F-4EJ改として近代化改装された。なお、導入から35年以上経過し、今や老齢化著しい本機の後継にF-22の名前が上げられているが、現状ではWinnyによる一連の機密情報の漏えいなどが影響し、F-22の近々の導入は難しいと言われている。まさに「亡国のWinny」とでも言うべきか……
T-4中等練習機
戦術偵察飛行
次は戦術偵察ということでRF-4Eが離陸し、航空祭会場を撮影するとのことだ。航過を実施したF-15Jなどが着陸した後、RF-4Eが次々と離陸し、百里基地上空で旋回し、様々な機動を我々に見せる。地上からの対空砲火を想定しているのか、意外と派手に動き回っている。基本設計から50年以上経っている機体とは思わせない軽快な動きだ。1970年代、東西両陣営が冷戦で睨み合っていた頃、ファントムⅡは西側陣営の標準機と言われ、延べ5000機も作られた。そのベストセラー機が誇った高性能は、いまだ健在なようだ。
RF-4E
RF-4EとRF-4EJの見分け方
両者の識別は極めて簡単で、機首部分にM61A1機関砲がある機体がRF-4EJ。機関砲が無い機体がRF-4Eだ。RF-4Eはこの機首部分にカメラを持つ。RF-4EJは、カメラ等は機首部分ではなく、偵察ポッドという形で機体に吊下する。
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