Premiere Pro CS3ではPanasonic P2をサポート
アドビ、「Audition 3」と「Flash Media Server 3」をプレビュー
2007年09月19日 19時14分更新
アドビ システムズ(株)は14日、都内でビデオソリューションの新製品発表会を開催した。発表会ではオランダ・アムステルダムで開催された放送機器関連の専門展示会「IBC2007」で発表された「Adobe Premiere Pro CS3」の“Panasonic P2”フォーマット対応や、オーディオプロフェッショナル向けツール「Adobe Audition 3」についての説明を行なうとともに、年内に正式発表を予定しているRIA(リッチインターネットアプリケーション)サーバー「Adobe Flash Media Server 3」の新機能をプレビューした。また、AIR(Adobe Integrated Runtime)アプリケーションとして配布される「Adobe Media Player」の最新情報についてもアナウンスした。
発表会では、マーケティング本部ビデオソリューション部部長の古村秀幸氏が各製品の紹介を行ない、Adobe Premiere Pro CS3とP2カードの連携に関するデモンストレーションについては、ユーザーである(株)トランス・デュースの代表取締役樋口 実氏とともに同部フィールドマーケティングマネージャーの土屋徒知史氏が担当した。
Premiere Pro CS3がP2によるテープレスHDワークフローを実現
まず古村氏が「Adobe Creative Suite 3 Production Premium」(ビデオ編集ソフトを核とするクリエイター向けスイート製品)を中心に、Adobe Flash Media Server、Adobe Flash/Adobe Media Playerなどによる同社のビデオソリューションを「DMO」(Dynamic Media Organization)として紹介。これらを、映像コンテンツの制作、配信および課金するためのカスタマイズ可能なプラットフォームを提供できる“トータルソリューション”とし、「課金までサポートしているのがアドビのメリットです」と強調した。
今回、プロ市場における強化策として同社が打ち出したのが、松下電器産業(株)(Panasonic)の業務用カムコーダーで記録メディアとして使うフラッシュメモリー「P2カード」に対応したテープレスHDワークフローの実現だ。
プロ市場におけるテープレス化は、2003年にソニー(株)が「XDCAM」を、2004年にはPanasonicが「P2」を発表し、各社のHD対応に合わせて着実に浸透してきている。2007年現在で、XDCAMは2万1000台以上、P2は4万2000台以上が導入されているという。そうした中でPremiere Proのこれらのサポートにも、ユーザーから期待が集まっていた。今回Premiere Pro CS3がPanasonic P2に対応したことで、P2コンテンツのネイティブ編集やダイレクトな編集が可能になった。
P2カメラで撮影できるすべての映像フォーマットに対応しており、変換の必要なく、直接読み込みが行なえる。さらにメタデータを保持したままで編集が可能だ。タイムライン上でほかのフォーマットとの同時編集も行なえる。編集後の映像ファイルはさまざまなフォーマットへの書き出しが可能で、DVDオーサリングソフト「Adobe Encore CS3」でHD形式のままBlu-rayディスクへの書き出しやFLV(Flash Video)にも出力できる。また、P2カードへの書き戻しも可能で、ほかのP2機器での再生やP2用編集機への移動も容易となっている。
Premiere Pro CS3.1アップデーターは、Premiere Pro CS3とProduction Premium CS3のユーザーを対象に、同社のウェブサイトならびに「AUM」(Adobe Update Manager)を経由して、9月下旬よりアップデートファイルを無償提供する。また、「Adobe After Effects CS3 Professional」も、10月中のアップデーター提供でP2対応を実施する。
さらにPanasonic P2対応だけでなく、先日のIBC2007においてソニーが発表した新型カムコーダー「XDCAM EX」についても、サードパーティーのドイツMainConcept AGが提供するプラグインソフト「MPEG PRO」(6万3000円)によって対応する。Main Conceptは10月下旬に対応アップデーターを公開するとしている。なお、Premiere ProのネイティブでのXDCAM対応については、「将来のバージョンで対応を予定していますが、現時点では具体的なプランはありません」(古村氏)とするにとどまった。